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前任者。
「ねえ、私より前に居た『卯』ってどんな人だったの」
と、卯は問う。
「…………色情魔、かなぁ」
そう、酉からの返答があった。
「色情魔?」
「君と同じ女性……、そう、女性だったんだけど。それと、まあ色っぽいというか。……かなり、参ったよねぇ」
つまり、いかにも『敵の女幹部』という感じだった、らしい。そして、色々とぶっ飛んでもいたらしい。
「君も、別な方面で困っちゃうんだけど」
色々とオレの感情を揺さぶるから。内心で、酉は言葉を付け足す。
「どういう意味よ、それ」
「気にしなくて良いよ」
むっとする卯の頭を、酉は撫でた。その手は直ぐに、卯に払われたが。