※饕餮。
妖精
正方向の魔力と核で構成された『生き物』
バケモノ
『穢れ』と核で構成されている、恐らく、生き物
穢れ
負の魔力と『感情』が合わさったもの
「うぅ……、くるしいよぅ……」
可哀想なぐらいに顔を赤くした未は眉間にしわを寄せて熱い息を吐く。
また、か。
その様子に手で両目を覆い、何度目かの溜息を吐いた。
妖精には元々、繁殖しようとする欲は無いし、それに関する臓器が存在しない。 だから、周期で気性が荒れるような"事態"が起こる筈がない。
きっと、こいつに穢れが混ざっている所為だ。
本来身体に無い機能が無理矢理起こるとどのくらい辛くて苦しいのかなんて、妖精じゃない俺には全くわからない。
「ごめんね……」
熱のせいか夜空色の瞳を涙で滲ませ見上げる。
「……だから、気にすんなって言ってるじゃねーか」
頬を撫でると、未の身体が小さく震えた。
「すき、だよ」
「……知ってる」
未の熱を逃す行為に、少し罪悪感を覚える。『バケモノ』のくせに。
"死んでいる"くせに。
「申くん、どこにもいかないで」
大粒の涙を零す目を隠すように未の頭を撫でる
「どこにもいかないでよ、申くん…」
小さく呟き、未は眠ってしまったようだ。
睫毛に溜まっていた涙を拭う。
『泣くなよ、仔羊』
柄にもねーな、と思いながら、核が在る場所に口付けた。
未の核は『不安』の穢れ
申の核は『金属の鎖』と『人間の死体だったもの』