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※でえと。
「このあいだのお礼よ。付き合いなさい」
卯は言った。
「随分と唐突だねぇ」
酉は面の下で目を細める。
「この子の為に、似合うリボンを探すのよ」
『ねこ』を差し出した。(心なしか得意そうな顔をしている)
「これも良いと思うけれど、いつもと違うものがいいのなら、コレとかどう?」
「……ふん、趣味は悪く無いのね」
「……髪に何か付いてるよ」
そう言って酉は卯の髪に触れた。
「あまり気安く触らないで」
むっとした顔で見上げると
「大丈夫。取れたから」
髪から手を離した酉は笑いながら離れた。
『………』
その様子を『ねこ』は見つめていた。
「送ってあげようか?」
「貴方、私を何だと思ってるの」
「そうだったね」
くるりと身を翻すと
「じゃあ、気を付けて」
酉は微笑を浮かべた。
自室に戻った卯は自身の髪に『ねこ』とお揃いの髪飾りが付けられていることに気が付き、「ヤな奴!」と布団に悪態を吐いた。