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第8章


どんなに永久に朝が来ないように願っても皆平等に朝は訪れる。


それはわたしにも例外ではなく………。


「そろそろ起きなきゃ……」


頭から被った布団の中でわたしは朝が来た事を感じ鉛の様に重い心と身体を仕方なく動かした。


侍女としての仕事をすべく身支度を整えるとわたしは壁に掛かった鏡を覗き込む。


「酷い顔……」


鏡に映る自分の顔は何時もよりタップリ眠ったハズなのに心なしか顔色が良くないように見えた。


気持ちが憂鬱だと顔色まで悪くなるのかしら。


鏡に映る自分の顔の酷さに思わずわたしは苦笑してしまう。


―――コンコン


「おはようございます。ルイーゼお姉様、体調は大丈夫?」


「おはよう。昨日よりは大分よくなったわ」


ノックと共に部屋に入ってきたアヴィスにわたしは笑顔で迎える。


「何だか昨日より顔色が良くないようだけど」


「本当に大丈夫よ。昨日タップリ睡眠をとったし。そんな事より早く試練に行く仕度しないとね」


心配そうに尋ねるアヴィスをわたしはごまかす様に朝の仕度を急かした。


「その事なんだけどね。今日の試練はお休みでその代わり午後から姫巫女様主催のお茶会があるの……それも出席者の侍女も同伴で……」


「えっ?侍女もなの?」


少し遠慮がちに言うアヴィスにわたしは驚いて尋ねる。


「……ええ。そうみたい。でもルイーゼお姉様の体調が悪いのならわたし……お断りしようかと思っているのよ」


「………」


姫巫女様主催のお茶会なら姫巫女候補であるアヴィスが断るなんて絶対ありえない。


この態度からしてわたしとヴューイ様の賭け話がアヴィスの耳にも入ったのね。


気を遣う様にわたしを見つめるアヴィスに小さくため息をつく。


「アヴィス、わたしなら大丈夫よ。お茶会に一緒に出席するわ」


「でも…」


「わたしの事は気にしないで。折角のお休みなんだからあなたはお茶会までゆっくりしてなさい」


「あ…後ね……わたしに護衛がいないからって今日からヴューイ様が護衛についてくれる事になったの」


「それは知ってるわ。昨日ヴューイ様にお会いした時に聞いたからね」


言いにくそうなアヴィスに出来る限り明るい声でわたしは答える。


「……そう。じゃ、わたし部屋にいるからお茶会までルイーゼお姉様もゆっくり休んでね」


わたしの言葉にアヴィスは少し考えてからそう言うと自分の部屋に帰って行った。


「アヴィス、心配かけてゴメンね」


アヴィスの出て行った扉を見つめながらわたしは呟いた。


「とりあえずお茶会まではヴューイ様と会う事はないわね。でも……1番の問題はお茶会だわ」


朝からヴューイ様に会わなくてすむ事にわたしはホッとしながら近くにあった椅子にゆっくりと腰を下ろす。


侍女も同伴なんてどう考えてもわたし目当てだとしか考えられない。


しかも姫巫女様主催となると絶対全員出席だもの。


お茶会の間、出席者の嫉妬と好奇の視線に晒されるかと思うとわたしは頭が痛くなった。


――――コンコン


1人苦悩するわたしの部屋の扉を誰かがノックした。


「………どなたですか?」


「おはようございます。ヴューイです」


「げっっ!」


午後のお茶会まで会わずにすむと思っていたわたしは突然のヴューイ様の訪問に変な声を上げてしまった。


「少しお邪魔してよろしいですか?」


わたしの奇声が聞こえたのかヴューイ様の声は少し笑いを含んでいる。


どうしよ。返事しちゃったから今更、居留守は使えないし……。


こうなったら用件だけ聞いたらさっさとお帰りいただこう。


わたしが渋々、扉を開けると優しい微笑みを浮かべてヴューイ様が色とりどりの花束を持って立っていた。


「おはようございます」


「………おはようございます。こんな朝早く何かご用ですか?」


「いえ。昨日アヴィス嬢からあなたが体調を崩したとお聞きしたのでお見舞いに来たんですよ」


作り笑いで招き入れるわたしにヴューイ様は微笑みを崩す事なく花束を差し出しながら部屋に入ってきた。


「あ、ありがとうございます。でも体調はもう大丈夫ですわ」


「まだ顔色が悪いようですね」


心配そうな表情のヴューイ様は戸惑いつつも花束を受け取るわたしの頬に手を添え、顔を近付けて来た。


「なっ何す……!?」


「……熱はないようですね」


顔を真っ赤にしながら怒鳴ろうとするわたしの額に自分の額を引っ付けてヴューイ様が言う。


「ね、ね、熱なんてありません。だから……早く離れてください!!」


「イヤ……って言ったらどうします?」


間近に見える綺麗な顔に爆発しそうなくらい心臓が暴れるのを感じ焦るわたしをヴューイ様がさっきとは打って変わって意地悪な笑みを浮かべて見つめていた。


「朝から悪ふざけはやめてください!」


「言ったハズですよ?あなたを遠慮なく口説くとね」


ヴューイ様は意地悪な笑みのままそう言うと頬に添えていた片手をわたしの腰に回し、もう片方の手でわたしの唇をゆっくりとなぞった。


「んっ……!」


「可愛い声出しますね」


唇をなぞる指先に反応して小さく声を上げるわたしの耳元でヴューイ様が艶めいた声で囁く。


「もう…放してください…」


その言葉に恥ずかしくなりわたしはヴューイ様の胸を押して逃げようするけど力が思うように入らない。


まるでヴューイ様に力が吸い取られてるみたいに……。


「昨日みたいに逃げないんですか?」


「………」


逃げたくても逃げられないんです!!


心の中で叫ぶけどその言葉を口にしたら何をされるかわからないのでわたしは無言でヴューイ様を睨み付けた。


「少し意地悪し過ぎましたね」


「ひゃ!?」


ヴューイ様はクスクスと笑いながらわたしの首筋に口づけを落とすと柔らかい感触を感じた身体がビクンと跳ねる。


「この続きはまた今度に……」


艶めいた声でそう囁くとヴューイ様は身体を離し、ゆっくりとわたしを椅子に座らせた。


「……何でこんな事ばかりするんですか?」


「それはあなたががあまりにも可愛いからですよ」


やっと離れられて少しホッとしながらわたしは再び睨み付けるがヴューイ様はニッコリと微笑む。


「そんなハズありません!昨夜だって護衛に……」


昨夜の護衛に言われた事を言いそうになりわたしは思わず手で口を押さえた。


「護衛?」


「……」


少し驚いた表情でヴューイ様は口を押さえていた手を掴むと黙り込むわたしを見つめる。


『お前みたいなのがどうやってヴューイ様に取り入ったんだ?』


容姿も性格も可愛くないのくらい自分が1番よく知ってるわ!


護衛の言葉が甦り、ヴューイ様の視線を避ける様にわたしは顔を背けた。


「昨夜何があったんですか?」


「…何もありません」


「……教えてくれないんですね……誰が何を言ったのかは知りませんがわたしにとってあなたはとても可愛い人だと思っていますよ」


視線を合わせる事なく答えるわたしにヴューイ様は少しため息を洩らすと掴んでいたわたしの手に口づけをした。


「ヴューイ様…!」


歯の浮く様な言葉をサラリと言うヴューイ様に顔を真っ赤にしながらわたしは慌てて掴まれていた手を引っ込める。


「本当に可愛い人ですね。あなたの顔色も良くなった事だし、そろそろ仕事に戻ります。またお茶会の時間に迎えに来るので準備しておいてくださいね」


クスクス笑いながらヴューイ様はそう言って扉の取っ手に手をかけた。


「……あの……ヴューイ様」


「何でしょう?」


「………お見舞いのお花ありがとうございました」


部屋を出て行こうとするヴューイ様にわたしはお礼を言った。


「喜んでいただけて良かったですよ。では、後ほど」


優しい微笑みを浮かべるとヴューイ様は静かに部屋を出て行った。


「……綺麗な花束……」


1人になった部屋でわたしはヴューイ様に貰った花束を見つめる。


『わたしにとってあなたはとても可愛い人ですよ』


先程のヴューイ様の言葉が頭の中でグルグル回り心臓が暴れ出すのを感じる。


……まさか……わたしヴューイ様を……?。


あ…ありえない!絶対ありえな〜い!!


顔を真っ赤にしながら激しく首を振り、わたしは今考えた事を打ち消した。


「……バカな事を考えるよりそろそろアヴィスのお茶会の準備しなくちゃ」


振り過ぎてクラクラする頭を押さえ、大きなため息をつくとわたしはアヴィスの部屋に向かって歩き出した……。




文章力無さ過ぎですいません(>_<。)

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