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第11章

更新カメですいません(ノд<。)゜。ちょいスランプ中なのでじっくり悩みつつ話を進めていきたいと思っておりますm(_ _;)m


「うぅ…ん…」


誰かが優しくわたしの頭を撫でてくれている。


気持ちいい……これは夢……?


撫でられてる感覚にわたしは少し微笑む。


暖かい手…。


幼い頃、よくこんな風にお母様に撫でて貰ったな。


とても優しく微笑んで撫でてくれるお母様の手がわたしは大好きだった。


「…お母様…」


わたしは撫でくれる暖かい手を自分の頬に引き寄せる。


「ルイーゼさん、そろそろ起きませんか?」


……ん?ルイーゼさん…?


「お母様…?」


わたしは手を引き寄せたまま薄らと眼を開け、お母様を呼ぶ。


「残念ながらわたしはルイーゼさんのお母様じゃありませんよ」


寝ぼけ眼のわたしの前には何時見ても美しいヴューイ様の顔……。


「えっっ!?」


「おはようございます」


驚いてベッドから飛び起きるわたしにヴューイ様はクスクス笑いながら挨拶をする。


「ど……どうしてわたしの部屋に……!?」


「ここはわたしの部屋ですよ。昨日の夜の事忘れたんですか?」


「昨日の夜…?……あっ!」


思い出した!


昨日……ヴューイ様の部屋でお風呂を借りた上にマリノアさんに髪を梳いて貰ってた途中で寝ちゃって……。


「思い出しました?」


「あの…ご迷惑おかけしました」


昨日の醜態を思い出したわたしは俯きながらヴューイ様に謝罪する。


「迷惑なんて思ってませんよ。わたしの方が迷惑をかけてしまいましたね。すいません」


「いえっ!わたしの不注意で噴水に落ちてしまって……」


昨日の醜態を思い出しただけで恥ずかしくなり、わたしは真っ赤になった顔を隠す様に俯いた。


「噴水に落ちた時はビックリしましたけどね。あなたの可愛い寝顔が見れたのでわたしにとっては役得でしたよ」


「ね、寝顔!?」


「そろそろ起こそうと思って頭を撫でたらニッコリ微笑んで本当に可愛いかったですよ」


クスクス笑いヴューイ様はわたしの顔を覗き込む。


「わっ忘れてください!ヴューイ様の記憶から抹消してください!!」


「それは無理ですよ。あまりにも可愛い過ぎましたから」


ヴューイ様は更に顔を真っ赤にするわたしの髪を一筋救い上げると優しく口づけを落とした。


「もぅ…からかわないでください」


「からかうなんて心外ですね。わたしは何時も本気で言ってるんですよ?」


そう言ってヴューイ様は恥ずかしくて俯くわたしの顎に指を絡めて優しく上を向かせる。


視線をヴューイ様に向ければヴューイ様の艶めく視線と絡まり、わたしの心臓が信じられない程の早さで暴れ出した。


「わかりましたから……離れてください」


「ルイーゼさん、わたしが本気だって信じてないでしょう?」


暴れ出す心臓を必死で宥めながら言葉を絞り出すわたしの耳元でヴューイ様は囁いた。


信じろって方が無理でしょ?


心の中ではそう思っても至近距離のヴューイ様に言葉が喉に張りついた様に声すら出ない。


「どれ程わたしが本気なのか身体に教えてあげましょうか?」


「…離してください…わたし、帰らないと…」


とんでもない言葉にわたしは顔を背け、逃げようとするけど顎に絡ってるヴューイ様の指がそれを許さない。


「ルイーゼさん」


わたしの名前を呼ぶヴューイ様の甘い声、艶っぽい真紅の眼……全てがわたしの頭をクラクラさせる。


―――ルイーゼお姉様はヴューイ様の事好きなの?―――


ふいにアヴィスに聞かれた言葉がクラクラする頭の中で響いた。


わたし…わたし、ヴューイ様の事…好き…なの…?


「ルイーゼさん、そんな無防備な顔しないでください。キスしたくなりますから」


思い悩むわたしの耳元でヴューイ様が甘い声で囁いた。


「えっっ!?」


「冗談ですよ。それより早く着替えた方がいいですね。そろそろ夜が明けますよ」


驚いた顔のわたしにヴューイ様は悪戯っぽい微笑みを浮かべると顎に絡めていた指を離した。


「は…い……」


やっと解放された安堵感にため息混じりに返事するわたしを見つめながらヴューイ様はクスクス笑うと扉の側に移動する。


「マリノア、扉の外にいるんでしょう?入って来て下さい」


――――ガチャ


「失礼いたします。ルイーゼさんの衣服を持ってまりました。」


扉を開けるヴューイ様にマリノアさんは驚く様子もなく、ニッコリと微笑んで部屋に入ってきた。


「盗み聞きなんて悪趣味ですね」


「何の事でしょうか?さぁ、ルイーゼさん、これに着替えて……あら?」


少し苦笑するヴューイ様を余所にわたしに衣服を渡そうと手を触った瞬間、マリノアさんの表情が曇った。


「あの……?マリノ……」


「あなた…熱があるんじゃない?」


マリノアさんは曇った表情のままわたしの額にてを当てた。


「え……?」


「やっぱり…熱があるわ。きっとこんな時期に水遊びしたのが原因ね」


驚くわたしの額と自分の額の熱を比べながら少しため息をついてマリノアさん言った。


「……すいません……」


「とにかく風邪を引いたルイーゼさんをこのままアヴィス様のお部屋に返すワケにはいかないわ。当分はこの部屋で安静にしていなさい」


額に当てていた手で謝るわたしの頭をゆっくりと撫でながらマリノアさんが言った。


「それは困ります!」


「どうしてかしら?」


「アヴィス…様にはわたししか侍女が居ません。わたしがいなければアヴィス様のお世話をする人間が居なくなってしまいます」


優しく尋ねるマリノアさんにわたしは少し俯いて答える。


「そうだったの。じゃ、あなたが治るまでわたしがアヴィス様のお世話をしてあげるわ。ヴューイ様もそれで宜しいですね?」


「わたしは全然構いませんよ。ルイーゼさんに風邪を引かしてしまったのはわたしのせいなのですから」


「そんな…!これ以上ヴューイ様やマリノアさんにご迷惑おかけするワケにはいきません」


そう言って慌ててベッドから立ち上がろうとするわたしの肩をマリノアさんが静かに掴んだ。


「ルイーゼさん、あなたが今1番迷惑をかけてはダメなのはどなたかしら?」


「……それは……」


「試練を受けているこの大事な時期にあなたがアヴィス様に風邪をうつすワケにはいかないでしょう?」


口籠もるわたしの背中をゆっくり撫でながらマリノアさんは子供に言い聞かす様に優しく言った。


「………はい」


「心配しなくても大丈夫よ。わたしがちゃんとアヴィス様のお世話するからね」


マリノアさんはニッコリと微笑むとわたしをベッドに寝かし付ける。


「また様子を見に来ますからね。あなたは何も心配せずにゆっくり休んで風邪を治しなさい」


「ありがとうございます」


お礼を言うわたしの頭をマリノアさんは優しく撫でてくれた。


「夜が明けたら王宮の医師に診て貰いますからルイーゼさんはそれまでは少し眠った方がいいですね」


「あの…ヴューイ様。お願いがあるんですが…」


ベッドの傍らに座ってわたしの手を握るヴューイ様にわたしはおずおずと言った。


「何でしょう?」


「わたしがヴューイ様のお部屋で寝込んでしまった事は誰にも言わないでくださいませんか?」


「わかりました。診てもらう医師にも他の侍女たちにも他言しないように言っておきます」


優しく微笑みヴューイ様はお願いを快諾してくれてわたしはホッとする。


「ゆっくり休んでくださいね。わたしは隣の部屋にいますから何かあったら呼んでください」


「ありがとうございます」


「では、おやすみなさい」


ヴューイ様はクスリと笑うと満面の笑みを浮かべてお礼を言うわたしの額に優しい口づけを落とした。


「ヴューイ様!」


「おやすみのキスですよ。額より唇が良かったですか?」


額を手で押さえ真っ赤になって驚くわたしにヴューイ様は悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「どっちも遠慮いたします!」


「ヴューイ様、病人であるルイーゼさんをからかってはいけませんよ。さぁ、失礼いたしましょう?」


わたしたちのやり取りを見てクスクス笑いながらそう言うとマリノアさんはヴューイ様を急かし扉の方に歩きだした。


「マリノアさん、アヴィス様の事よろしくお願いします」


「任せてちょうだい」


マリノアさんは少し微笑んでからヴューイ様と共に部屋を出て行った。


1人になり静寂が訪れる部屋のベッドに横たわったままわたしは大きなため息を洩らした。


何時もは風邪なんて引いた事ないのにこんな事になるなんて……。


「とにかく早く治さなきゃね」


自分に言い聞かす様にそう言うとわたしは布団を被り直し、ゆっくりと眼を閉じた………。





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