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攻勢と終戦

次の日、フリードリヒ大佐がまた部隊を招集したが今度もまた愕然とさせる命令を発した、それは突撃である事だ。昨日、旅団が来たが編成し終わったばかりである事や昨日の激戦で兵士が消耗している、そして激戦を潜り抜けた兵士の疲労がかなり溜まっているなど様々な事で無謀だと言える、しかし我々は反対できない。階級が低いからではない、フリードリヒ大佐は政治将校と言う事もあり反逆や脱走は死罪に処することになっているからである。誰もが不安と絶望の中に居るが仕方あるまい、祖国に献身する事が帝国に対する忠誠の証、そして名誉であるからというが実際は高級将校以外は例え貴族の出であっても、上に従うしか出来ない。


神に祈りを済ませる時間だけは与えてくれた大佐は重砲から戦車、そして後数分で着く爆撃機隊を用意して後は笛を鳴らすのを待つだけであった。


甲高い、笛の音が鳴り響くと共に塹壕から飛び出した、重砲の砲撃音、戦車のエンジンの音と、キャタピラの音が味方から、重機関銃の弾が空気を切り裂く音、敵兵の小銃の弾の音、悲鳴、叫び、誰かが倒れる音、色々な音が聞こえてくる中、重心を低くしながらも走り突撃している。敵の塹壕に近づいた時に支給された、ルガーP08のスネイルマガジンを装填し近接戦に切り替えた。


敵の塹壕に入る事に成功し小銃を背嚢に着け、拳銃とスコップの装備へと変えた。


「敵だ!侵入されているぞ!」


ノルデント王国の兵士に侵入された事を発見されたようだが近くに誰も居なかったので誰かが見つかったのだろう。 銃声が響くと同時に塹壕に榴弾砲が飛んできた。


「味方が居るのに砲撃してくるとは!必死に防衛するのは分かるが狂ってやがる!」


そう思っていると、部下が近づいてきた。


「伍長!このままでは狙い撃ちされてしまいます!」


伏せながら考えている所に上官がやって来た。


「カール伍長!このまま居ると砲撃にやられるぞ!部下を連れて第2の塹壕に突撃しろ!」


「了解!突撃します!」


運良く敵と遭遇しなかったが次の塹壕は分からないが部下を連れてとにかく突撃を開始した。


砲撃音が更に多くなっている、そして機関銃による銃撃音も激しくなっている、部下5名は何とか着いて来ている。


第2の塹壕に近づいた時に榴弾砲の音や機関銃の銃撃音、それどころか音が無く静まり返った時に拡声器からノルデント王国に対して停戦かつ降伏勧告の声が聞こえてきた。


「どういうことだ?」


疑問に思っていると上官が近づいて来てこう言った。


「どうやらノルデント王国が降伏したようだ、抵抗している場所もあるようだが我々の勝ちだ、自陣に戻れ」


そう聞いた時と同時に帝国軍側から歓声が上がった、これで故郷に帰れると思いつつ自陣の塹壕に戻った。


フリードリヒ大佐が大喜びで生き残った皆を歓迎してくれた。


「諸君、良くやった!我が帝国の勝利だ!祝いに温かい食事を用意した!」


塹壕内のテーブルに大きな温かいステーキが置かれていた。


「諸君、食べたまえ!」


皆がワイワイ騒いでいる、こんな食べ物にありつけたのは1か月前だと思い、ステーキを口に入れた瞬間、テンションが下がった。


デデ肉だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 塹壕戦は細くくねった道で、身を隠す場所も確保出来ないまま突撃し、目前に迫った相手を原始的な武器(ナイフや銃剣、時には有刺鉄線を巻き付けた棍棒)で殺す前時代的な戦争だったそうです。いやだなぁ、…
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