ボクは話すのが嫌い。
ボクは話すのが嫌いだ。
ボクが話した言葉は、人を傷つけてしまう。
ボクが話した単語は、人を不快にさせてしまう。
だから、話すのが嫌い。
でも、みんな、ボクに話せっていうんだ。
話さなきゃ伝わらないでしょ。
話せば分かってくれるんだよ。
そんな甘ったるい誘惑を、みんなしてくる。
でもそうやって、話せば話すほど、
みんなはボクを嫌いになっていく。
そんな奴だとは思わなかった。
最低な野郎だな。
そう言って、いつもみんなはどこかに行ってしまうんだ。
だから、話すのが嫌い。
でも、それでも、みんなはボクに話せという。
話せば、
あいつ、頭おかしいんじゃないの?
話せば、
近づかない方がいいよ。あんな奴。
話すほど、
口から出た無自覚な幻想の刃が、ボクの知らぬ間に、
みんなを傷つけてしまう。
そして、陰がボクを蝕んでいく。
だから、ボクは、話すのが嫌いだ。
感想は書かれたら読みます。