剣よりも強いペン
私は発明に成功した。剣に勝てるペンである。
ペンは剣よりも強しだなんて言葉がある。これはあくまで言葉の綾だ。だからこそ俺は現実に戦っても勝てるペンを作ってやろうと考えたのだ。
とは言っても単純に大きくして鉄よりも強い金属で覆えば普通に勝ててしまう。
しかしこれではペンではない。ペンの形をした鈍器だ。
私はあくまでも通常のペンとして使えるサイズで剣に勝つことを目標に頑張った。
私は10年の時をかけてついに完成させたのだ。
まずは外装から。基本となるデザインはよく売っている普通のボールペンを参考にした。しかし普通のペンとは違う。
圧倒的な硬度である。まずは剣に耐えられるほどの硬さを持っていなければ話にならないからな。世界一硬い鉱物を加工してペンの形に成形した。
しかし剣の攻撃を受け止められるからといって勝てるわけがない。そもそもペンは短いのだからペンでガードするなんてほぼ不可能だろう。
長さから生じるリーチ差を改善しなければならなかった。
ということで搭載したのがレーザーである。レーザーであれば剣に射程において大差をつけられる。
強弱をつけられるようになっており、剣を焼き切るほどの圧倒的熱量から相手に眩しいと思わせる程度の光まで自由自在だ。
調整によっては対象を焦がすことで文字を書くことができるペンとしての書く機能も搭載している。
そして最後に書く機能である。これがないと始まらない。インクを圧縮し詰め込める量を増やすことで圧倒的なインクの持ちを実現させた。従来のペンの数十倍を誇っている。
その3つの能力を持ったペンに死角などない。
私はそれを証明するべくアンドロイドにペンと剣を持たせて戦わせた。
その決着は一瞬でついた。ペンの圧勝だった。剣を持った方は何もすることが出来なかった。
剣よりも強いペンが完成したことに大喜びしていた私に対して、戦いのシーンを見せていた息子がこう言った。
「これペンって言ってるけどさ、どう考えてもペンがおまけで付いてるレーザーだよね」
私は何も言い返すことができなかった。
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