35話 大きな光と小さな悪魔
遅れまして大変申し訳ございません。
諸事情によりスマホで投稿させていただきます。
なお、更新は今まで通り不定期です。
あまり期待せずにお待ち下さい。
この遺跡の攻略に3年かかりました。
「ボクのおかげだね! 褒めて褒めて!」
俺の機転により、アシュラミミックを倒した後はさらに迷宮の奥深くへと進んでいった。
途中、すべる床に出くわしたり、鎧の罠が襲ってきたりしたが、身軽なクレアは避けることができた、クレアは。
俺はわりと満身創痍だった。
「まだ奥に着かないのか? 体がボロボロなんだが、クレアさん?」
「風の匂いが止んだから、もうすぐだと思うんだけど……」
それからさらに紆余曲折あって、重々しい扉の前にたどり着いた俺たちは、静かに扉を開けた。
するとルクス苔の光が目に飛び込んできて、その眩しさに慣れてくると、少し開けた空間に出た。
広間の中央には台座があり、台座の上には何かが乗っている。俺とクレアは、罠がないか慎重に調べながら歩みを進める。
「あっ、台の上に何かある」
「これが、願いを叶えてくれるっていう不思議なものか?」
それは、赤い宝玉のような丸い物体だった。見ていると、吸い込まれるような不気味な魅力を感じる。
「キレイだけど、なんか……」
「なんか、禍々しい玉だな」
クレアはコクと頷いた。俺が手を触れてみるが、赤い宝玉はうんともすんとも言わない。
持ち上げたり、回してみたり、撫でてみたりしたが、一向に反応がない。
「なにやってんのさ、ちょっとボクに貸して」
しびれを切らしたクレアが触れた瞬間だった。
突如、赤い宝玉が光りだす。
キュピイイイイン!
大きな光と音が部屋に拡散し、そこに現れたのは……悪魔だった。
「オレさまの眠りを妨げるものは誰だ……」
「う、うわああああっ!!」
クレアがピョンと跳ねて驚いている。しかし、すぐに落ち着いたようだ。なにせ出てきた悪魔が……ミニサイズだったから。
「ちっさ……」
クレアがそう呟くのも無理はない。立派な悪魔の翼に、立派な尻尾、悪魔じみた体。そのどれもが小さかった。50cmあるだろうか。
「やい、お前たち失礼だな」
悪魔が少しイラついた様子で怒鳴る。そして続けた。
「オレさまは代償の悪魔。オレさまをナメてかかると痛い目見るぜ、なんたってオレさまはすごい力を持ってるからな」
「すごい力?」
俺はもしや、と思って返事をする。
「そうだ。なんでも願いを叶えてやる」
クレアと顔を見合わせる。ジークハルトの話は本当だったらしい。
しかし、こんな小さな悪魔にそんな能力があるのだろうか。
「封印されて力は弱まっちまったが、能力は本物だぜ」
ふふん、と尻尾を揺らして得意げな悪魔を横目に、俺はクレアと相談していた。
「代償の悪魔だってさ、名前からして胡散臭くない?」
「願いを叶えてやるって、取引ってことだよな」
こそこそ相談していると、悪魔が再度話しかけてくる。
「どうした? オレさまに願いを言え」
「どうする?」
「俺はこの悪魔、危険な気がする」
意を決して悪魔に話しかけようとしたその時だった。
「待ちたまえ」
後ろから声がした。