第4章・伝説の魔獣の復活
《sideフロリア&リア》
王の話から2日たった朝
遂に魔獣達が王都に到達するであろう日になった
朝早くから王都の南門の前には国中から集まった冒険者およそ千名、各貴族の私兵が合計約5百名、王都の住民からの志願兵含む王都在中戦力で5百名の合計して約2千名あまりが集まってきている
対する魔獣の群衆は最低1万、多い場合で2万にも上ると予測されている
しかも魔獣達の監視をしていた調査員との連絡が昨日の昼ぐらいから取れなくなっているとの事だ
調査員は高ランク魔獣と遭遇しても戦ったり逃げることが出来るぐらいの力がある
それを手にかけた魔獣がいるとなると警戒するのが当たり前だ
それに数だけでももう絶望的であるのに高ランクが何体もいるとなるともう生き延びる未来が見えない
周りが緊張に包まれながらも迎撃の準備に勤しんでいるなかフロリアもリアを伴い王都を囲む防壁の上に立っていた
周りにはこの国有数の魔法を使えるもの達が揃っている
フロリア達の役割はここから魔法を放つことで空中にいる魔獣達を担当することだ
だが空をとべるであろう魔獣の数に対してここにいる者はせいぜい2百、どう足掻いても圧倒的に足りないことは明らかであった
そうして周りが喧騒している中不安げな面持ちのリアがフロリアに話しかける
「フロリア様、体調と準備の方は大丈夫でしすか?」
と問われるとフロリアは
「ええ、どちらも問題ないです。久々に魔法を沢山使うことになるので少しばかりの不安はありますが」
と返した後続けて
「リアの方も大丈夫ですか?一昨日からかなり不安げな様子に見えますが」
とリアに尋ねた
それを受けリアは
「・・・はい、準備の方は大丈夫です………。しかしまだ嫌な胸騒ぎが無くならないんです……」
と苦しそうに言う
いくら胸騒ぎなど無くてもこの戦いが絶望的な状況にあるのは腕が立つ者なら誰でも感じうることだろう
リアも実際冒険者のランクとしてはAランク並の実力者であったが故にフロリアの護衛兼侍従となっている
リアの言葉を受けてフロリアも少し不安げな雰囲気に呑まれながらも
「例えどれだけこの戦いがきつい状況であっても諦めることはできないのです。私達が守る王都にはまだ避難し終えてない人も沢山いるのですから」
と杖を握る手に力を入れながら言う
ちなみに魔法使いにとって杖は魔力消費を抑える役割があり魔法と接近戦を同時に行うタイプの者以外の遠距離からの固定砲台役の人間で魔法を使うものなら大抵もっている
ちなみに呂阿は別次元なので関係ないとして後衛担当の白月が杖を持っていなかったのは杖と同じ役割かつ高性能な指輪をしていたからである
もちろんこのような道具は魔力操作の腕前次第で必要なくなる
そう言ったフロリアの言葉に何かしらの覚悟を感じ取ったリアは
「わかりました。私もこの命尽きるまでフロリア様と共に戦います」
と再度決意を固めたようであった
そして2人がそれぞれの決意を述べ終わったとき
「魔獣接近を確認!まもなくここに到着します!」
と言う斥候の報告が聞こえてきた
その声を聞いたこの場にいる全員に緊張がはしる
そして門の前で指揮をとる予定の王が
「これより魔獣との戦闘がはじまる!者共、魔獣達に人間の力を見せつけてやれ!」
と鼓舞するとそれに答えるようにその場にいた者達が
「「「「おおー!魔獣共を殲滅しろー!」」」」
とやる気の満ちた声で反応していた
そして全員が戦闘態勢をとった頃
「魔獣の姿がまもなく見えます!その数およそ2万!」
と言う当初の予想の軽く2倍をいく絶望的な数字が告げられる
それを聞いた人々は焦ったような雰囲気になるが
「狼狽えるな!どうせ低ランクばかりだ、我々なら勝てる!」
と言う王の発言を聞き再び士気が高まった
数分後、大量の魔獣が砂埃を上げながらこちらに進軍してきているのが確認できるようになる
ざっと見た感じではゴブリン、コボルド、オーク等の低ランク魔獣が大多数でその中にぽつぽつ高ランク魔獣が見えるような感じである
空を飛んでいる魔獣達のほうを見てみても同じような割合であった
それを見た冒険者や兵士達は何とかなるのではないかという安易な考えを持つものが出てくる
しかしそれは僅かな時間の後絶望へと塗り替えられた
魔獣達がこちらに向かってきている時
突然
ドゴォォォォォォォーーーン!!!
と魔獣達のいる方向から大きな水柱があがる
恐らく湖の方で何かあったのだろう
そして水柱による水飛沫が無くなったあとそこには巨大な一匹の頭が6つある真っ黒な龍がいた
そしてその龍が
「ギュオオオオオオン!!!!」
と咆哮を上げる
それだけでかなり離れているだけなのにフロリアを含めその場にいた全員が恐怖によって鳥肌がたった
フロリアも
(・・・どうやらリアの予感の方が正しかったみたいですね……)
と考えるほどの威圧感であった
そして全員が一瞬で理解する
この魔獣だけは次元が違うということを
そうしてスリイア王都における伝説の魔獣&大量の魔獣と人間達による死闘と言うなの一方的な蹂躙がはじまろうとしていた
……To be continued →