第4章・戦闘前夜(other side)
《side 希暗》
希暗達異世界人と人間軍がが王都を出発して早くも4日がたった
いよいよ目的の平原へとたどり着き明日はじまるであろう魔人達との戦闘を控え人間軍とクラスメイト達は緊張した雰囲気のなか野営をしている
それでも兵士達は和気あいあいと不安を吹き飛ばすように振る舞い、クラスメイト達もそれぞれのグループで話し合いをしている様子であった
たがやはり無理があるのか暗い顔をしている人もちらほら見てとれる
ちなみに希暗は今回の旅の間ずっと桜前や白月との3人で行動しており道中に現れた魔獣の狩りもそのパーティーによって行っていた
明日の戦闘も3人で連携して行う予定である
また旅が始まってからも遠山や近山がしつこく一緒に戦わないかと言ってきたが相変わらず冷たく桜前があしらっている
さすがのしつこさに1人対応している桜前も結構疲れているみたいだ
それもそのはず今の希暗と白月は戦闘の事よりも考えていることがあるから基本的に戦闘以外ではずっと考え込んでいる
それの原因は出発前夜に旦椋から聞いた話のせいだ
時は少し遡り旦椋が希暗達に話を始めたころに戻る
3人の了承を受け旦椋が話をはじめる
「これはこの前広間での話し合いがあった日の話。あの後黒晴達が出ていったあと誰も話をしなくなって自然とみんなバラバラに解散し始めた。私もすぐに出ていった、道具作りの続きをしようと思ったから。けど向かっている途中に忘れ物があることに気がついて広間に戻ったらそこに遠山と近山がいて何やらにやけながら話しているみたいだった。だから少し気になってこっそりと話を聞いてみた」
と言い一旦区切ると再び口を開く
「その時聞いた内容は…………黒晴をどうにかして殺そうと言ったものだった」
こう旦椋が言ったとき3人は驚きを隠せなかった
どんなに嫌っていようが同じクラスメイトを殺そうとするなんて考え無いだろうとおもっていたからだ
これを聞いた桜前は殺意を迸らせはじめている
3人の様子を見て旦椋はさらに続ける
「それで計画の内容はいつか戦場に出たらどさくさに紛れて殺る・・・と内容だった。多分今回の戦闘中に何らかの行動を起こすと思う……」
と言った
それを聞いた桜前は
「何考えてんのよあの2人は!どうして希暗を殺そうとするのよ!」
と怒りが爆発しかけてる
それを聞いて旦椋が答える
「遠山は桜前の事好き、だから希暗が邪魔なんだと思う」
それを聞いた白月が
「ならどうして近山君も?友達だから手伝っているだけなのかな」
と言った
これを聞いた旦椋は少し顔を暗めながら
「違う………、近山の方は既に手伝ってもらってようなものだから……」
と言った
これを聞いた希暗は嫌な予感を胸にひめながら旦椋に聞く
「もしかして近山君の方の目的っていうのは………」
それを聞いて旦椋は答える
「・・・そう、近山は呂阿を殺すことを考えていた。近山は白月の事が好きだから………。これで分かったかもしれないけど黒晴がダンジョンでコケたのは遠山のせい、、、最初から遠山と近山は黒晴と呂阿を排除することを考えていたらしい………」
と語った
それを受けて3人はそれぞれ別々の感情や反応を示した
桜前は
「ふざけてるわよあの2人。そんなことしてなんにも思わないなんて気が狂ってる!」
と怒り
白月は
「なんで・・・・なんでそんな理由なんかで神楽君が死ななきゃならなかったの………」
とただ泣くばかり
そして希暗は何も言わずじっと目を閉じて黙っていた
そのような事の真実と企みを聞いて以来、希暗と白月は遠山と近山に近づこうとしなかった
もちろん口も聞いていない
当たり前だけどクラスメイトを平気で殺そうと企むような奴らに関わりたいはずもない
そして今日も3人で固まって会話をしていた
「ねぇ希暗と歩、あなたは明日から戦闘がはじまるかもしれないけど大丈夫なの?」
と桜前が2人に問う
それを受け希暗は
「わからない、今は正直何をするのが正しくて何をするべきなのががわからないんだ……」
と呟くように返す
白月の方も
「・・・私もよく分からない。自分がどうしたいのかが……」
と小声で返した
それらを受けて桜前は2人に喝を入れる
「2人とも!まずは明日は無事に魔人達を撤退させることを考えなきゃ行けないでしょ?それにいつ仕掛けてくるか分からないことにも対処してちゃんと王都にかえるんでしょ?」
と言った
それを聞いた2人ははっとしたように
「そうだね……悪かったよ玲奈。まずは目先のことに集中して乗り切らないとね」
「うん、私も間違ってたよ。ありがとう玲奈ちゃん」
とそれぞれ桜前に応えた
その後周りが徐々に寝静まっていくのを確認して3人も眠ることにする
一応何かあるかもしれないので3人は交代で見張りをすることにしてから割り当てられている寝床へと向かっていった
そして完全に当たりが闇に包まれた頃、見張り以外の人間軍は兵士も騎士団も他のクラスメイト達もそれぞれに不安や戦闘への興奮等を抱いたまま全員が寝静まっていった
……To be continued →