間幕・王からの依頼と出立前夜
《side 希暗》
希暗達3人が広間に入るとそこには玉座に座る王とその横にラハット、そして王の後ろに数人の大臣がいて王は希暗達の姿を確認すると口を開く
「よくぞ来てくれた、疲れているところ悪いが緊急の事態が発生したのでな」
と言う
そしてさらに続ける
「まずは何が起きたのかを詳しく話そう。ラハット、よろしく頼む」
と王が言うと
「はっ、お任せを」
と言いラハットが希暗達の方を見て話し始めた
「我らの国から各国の動向を監視している者からの連絡がつい先程入った。今回動きがあったのは魔人の国で魔人の軍隊が我が国スリイアに向かって進軍をはじめたということだ。情報が届くまでに5日ほどかかると考えればおそらく10日もすればこの国に到達するだろう。それを阻止すべく我々は4国の中央に位置する平原においてこれを迎え撃つことにした、さしてはそれにおいて異世界人全員に協力を頼みたいとのことだ」
と言うことであった
つまりいままで国境での小競り合いだったのがいよいよ本格的になるという事らしい
ちなみにこの時既に獣人の国との小競り合いは無くなっていたが余裕のないスリイアの人々は攻められなくてラッキー程度にしか考えてなかった
そして王が再び口を開く
「内容はこの通りだ、貴様達異世界人には我が軍の同行し魔人達の侵略を防いでほしい。この話は後ほど他の異世界人にも伝えるべく既にリバールに遣いは出してある。出発は明日の朝、今宵はそれに備えてしっかりと休んでくれ」
と王が言うと
希暗達は
「「「分かりました」」」
と答えた
そしてその後少し予定について詳しい話をラハットより聞いたあと3人は広間を後にした
広間を出ると希暗は桜前と白月に
「僕は少し行くところがあるから先に部屋に戻って準備しておいてくれる?用事が終わったら食事に行く際に部屋に行くからさ」
と言うと
「分かったわ、とりあえず装備の整備と道具類の確認をしておくわね。とりあえず汚れも落としたいし」
そう桜前が言うと白月を連れて自分達の部屋へと向かっていった
それを見送った希暗は1人ある人の元へと向かっていった
城の中を少し歩いていくと希暗は目的の部屋の前につく
そして扉を軽くノックした
すると中から
「どちら様ですか?」
と言いながらリアが扉を開ける
それを受け希暗は
「異世界人のうちの1人の黒晴と言います。少し王女様に用事があるのですがおられますか?」
と言うとリアは
「分かりました。少しお待ちください」
と言い扉を閉めた
そして希暗が準備をしながら少し待っていると
「どうぞお入りください」
とリアが扉を開けてくれたので中に入ると、そこには少し元気が無さそうなフロリアがいた
フロリアが呂阿が消えて以来ずっとあまり元気がなさそうであることは希暗も耳にしていた
勿論呂阿がフロリアと仲が良く、よく合っていたことも希暗は知っている
希暗が中に入るとフロリアが
「初めてまして黒晴さん。今日はどのようなご要件でしょうか?」
と訪ねてくる
それに希暗は答える
「実は僕達は明日から魔人達の侵略を阻止するためにここを出発することになりました。それで……王女様にこれを預かっていて貰いたくて伺いました」
と言うと希暗は魔法の袋から1本の折れた剣を取り出す
それを見たフロリアは少し驚きつつも希暗に尋ねる
「・・・それは、もしかして………」
それを聞いて希暗は答える
「これは僕の親友の・・・呂阿のつかっていた剣です……。今日ダンジョンを攻略してる際に例の部屋、、、、僕達が飛ばされた部屋を見つけてその中にこれが落ちてました………その他には何もありませんでした」
と所々言葉に詰まりながら伝えた
それを聞いてフロリアは
「・・・・・・・・・・・・・」
無言のままその剣を見つめていた
そして希暗が再び口を開く
「明日からの行動にこれを持っていくことは出来ません。だからこの剣を僕が戦場に行っている間大切に預かっていただけないでしょうか?」
と希暗が頼む
するとフロリアは
「・・・・何故私なのですか?」
と掠れ声で希暗に聞いてきた
それに希暗は答える
「王女様が呂阿と親しくしていらしたのは呂阿から聞いてました……なので王女様ならこの剣を決して無下には扱わないと思ってです。・・・その剣は呂阿の・・・形見のようなものですから……」
と希暗は言った
それを聞いたフロリアは希暗に答える
「・・・・・分かりました、その剣をあなたが戻ってくるまでお預かりしましょう。そして無事帰ってきてちゃんと取りに来てください」
と真剣な表情で言った
それを受け希暗は
「ありがとうございます王女様。ちゃんと受け取りに戻ってきます」
と言うとフロリアとリアの元を後にして自分の部屋に向かっていった
その後部屋に戻ると部屋の前に桜前と白月がおり
食事に向かうどのことなので希暗は汚れを落としてから着替えると3人は食堂へと向かっていく
その日の食事は明日から出発ということもあってかいつもより豪勢であった
他のクラスメイト達も帰ってきていたのかほぼ全員が揃っており、みんなわいわいしながら食べている
希暗達は絡まれることがないように気をつけながら手早く食事を済ませると3人は希暗の部屋へと戻っていった
……To be continued →