第3章・戦闘の終わりorz
俺はボロボロになりながらも隣にいた女性を必死に守っていたゼラスの元へと歩み寄っていく
その女性は話の流れで分かったがやはりリーニャのお母さんなのだろう
必死になって妻を守っているあたりぜラスはリーニャだけでなく奥さんも溺愛してそうだ
そんなふうに周りを観察した俺は魔剣を仕舞った後、歩み寄りながらぜラスに話しかける
「これで終わりか?魔王よ。そんなことでは我から大事な愛娘を取り返す事なぞできんぞ?」
とまだ演技を続けながら言うと
「くっ………化け物め……。だがここで負けるわけにはいかない!リーニャは私の大事な娘だからな!」
と言いながらゼラスは立ち上がり
「生活魔法・肉体強化」
を唱え俺に接近戦を挑んできた
この魔法は身体能力を一時的に引き上げるもので昨日グロスも使ったように人間や魔人達は基本的にこれを使ってから接近戦をする
効果は魔力量と魔力操作の上手さによって変わる
ちなみに俺が前使ったのは改良版だ
まぁ使ってもあんまり意味がなかったりするのだが
そしてあっという間に俺と肉薄してきたので俺も武器を手放し対応する
やはり元の魔力が高く戦闘技能も肉弾戦に特化しているためグロスよりもやや拳が重い
そしてリーニャに恰好いいところを見せたいのか、はたまた単純に余力がないのか全力で攻めてくる
俺はどうやって戦闘を終わらせてその後処理をどうするかなーなんて呑気に考えながらゼラスの相手をする
ぶっちゃけ万全ならともかく今のゼラスは既に息も絶え絶え気味でありもう少しで体力が切れるのは明白だ
なのでそれまでは付き合うことにした
俺とゼラスが拳を打ち付け合い肉弾戦をしている間、周りでは意識を取り戻した比較的軽傷の魔人達が、吹っ飛ばされた意識を失って重症を負っている魔人達を瓦礫の下から救い出したりして忙しそうにしている
基本的に魔人族は回復魔法を取得出来ているものが少ない
だがその分錬金や調合等のスキルがあるため回復ポーションはかなり多く作れるからそれで代用している
しかしやはり高品質になると数が限られており重症くらいになってくるとすぐには直せないようだ
俺は後で魔人達を治すことを決定した
まぁほとんど俺のせいだしね(´>∀<`)ゝ
そうしてしばらく近接戦を繰り広げた後、急にぜラスの動きが鈍くなりついに片膝を着いてしまった
ついに体力と魔力、そして魔法の効果が切れたのだろう
たがゼラスは必死に俺に向かってこようとしている
そこには魔王として、1人の父親としての意地が見えた
それを見て俺が口を開く
「これまでのようだな魔王よ。さて、次はこの国を滅ぼすとでもするかね」
それを聞いたぜラスは
「まだ終わってない!くっ・・・・くそっ!」
と必死に立ち上がろうとするがもう力は残ってないようだ
俺が再び口を開く
「その体では我を止めることなどできんな。どれ目の前でまずお前の大事な娘から殺すとするか」
それを聞いたゼラスは悲痛な声で
「それだけは辞めてくれ!頼む、頼むから。殺すならリーニャの代わりに俺にしてくれ」
と懇願してきた
するとリーニャの母親らしき人もこちらに来て
「私の命も差し出します。どうかリーニャとこの国の魔人達は殺さないでください」
と言われた
(あれ??何でこんなことになってんだろ。この雰囲気完全に俺ひとりが悪者じゃね?(・3・)アルェーオッカシイナー。どこでこうなった)
とノリだけで考えなく台詞を放っていた俺は少し困惑気味である
調子にのった結果がこうであるから自業自得だ
すると後ろからも
「辞めてロア!お父さんとお母さんを殺さないで!」
とリーニャからも泣きそうな声で懇願された
もう完全に俺は大悪党扱いである
流石の俺でも泣いたちゃうぞ(つД`)
すると周りの魔人達からも追い打ちのように懇願される
「魔王様を殺すなら是非私を!」
「その方はこの国に必要です!どうか変わりに私を」
「お願いします!魔王様達を殺さないで」
等々口々に言ってくる
重症なものまで掠れ声で言ってくるからさらに堪える
そしてとどめとばかりにこの様子を観ていたのか
『ロア様、流石に少しやり過ぎかと』
とセリアから念話が届いた
もうやってられない
「こんちくしょうめ!みんな揃って俺1人を悪者扱いしやがって、やってらんねぇ!てかリーニャ、ちゃんと流れ教えてたよなぁ?裏切ってんじゃねぇぞ」
と大声でまくし立てた
それを見た周り一同は俺の豹変ぶりに驚きのあまり声を失っている
そして俺はもうこのお巫山戯に終止符を打つことにした
「もういいや、この格好もやめよ。おい魔王、とりあえず戦闘は終わりだ」
そう言うと俺は甲冑を片付けリーニャの方へと歩いていった
近づくとリーニャは少し笑顔を引き攣らせて
「・・・リーニャ分かってたよ?ロアがお父さんとお母さんに酷いことしないって………」
と目を泳がせながら言ってきた
この目は確実に嘘を言っている目だ
予定してた計画を忘れやがってと俺は思ったが、まぁ子供だし目の前で親がやられそうになったら仕方ないかと思い許すことにした
そしてリーニャを覆っていた結界を解除すると
リーニャを連れて魔王夫妻の方へと歩みはじめた
……To be continued →