第3章・エルフの村へ
俺が幻術を見せてから3分ほどたった後ようやく理解が追いついたのか前にいる女のエルフが口を開く
「特級魔法だと!?人間にそれが使えるやつがいたなんて聞いたことない。それにあんな大きな音をたてたのに周りの魔獣がよってこないのはなぜだ?」
とやや興奮気味に言った
それに続いて男の方も口を開く
「確かにそうだ、あれだけの魔法を使えば周りが騒がしくなるはず。人間、いったい何をやったんだ?」
と聞いてきたので
「あれは幻影と幻聴だよ。あんたら全員に魔法で幻術をかけたのさ」
と俺は素直に返しておく
あれはただの力を示すためのデモンストレーションなので特に偽りを話す必要性はない
そんな俺の言葉にセリアは少し納得したようだがリーニャは分かっていないようであった
が又しても俺の作戦は失敗したようだ
「ふざけるな!幻術は闇魔法でしか使えないはずだ、人間のお前が使えるわけないだろう。それにお前には魔法スキルが火しかないはずだ!」
とどうやら鑑定して俺の偽ステータスをみたようだ
俺もうっかりしてた
ステータスを見られることや、闇魔法は魔人だけって言うのをすっかり忘れていた
見た目人間、ステータス弱弱の俺があんな魔法使ったなんて誰が信じられるだろうか
いや、誰も信じないだろう
更に不審がり俺への警戒を強めるエルフ達をみて俺はため息をついた後
「そこら辺は秘密だな。まぁ結局どうであろうと、俺1人でお前達は敵じゃないってことだ」
と投げやりに答えた
それを聞いたエルフ達はプライドを傷つけられたのか7名は怒りを顕にしていたが先頭にいる男だけは冷静に
「悔しいがその人間の言う通りだな……。我々全員いっぺんに幻術をかけられるということはつまり殺すのも容易いということ。お前ら武器を下ろせ」
そう言われてエルフ達は全員武器をおろした
その後再び男が口を開く
「さして人間よ、お前の目的は何だ?。この周辺の異変について聞きたいと言っていたがそれはどういう事だ?」
と聞いてきた
俺はそれに対応する
「言葉の通りだ。俺達は獣人の国の方からあの山を登ってここまで来たんだが、山に赤龍や飛龍の姿がみえなかった。それにこの樹海も話に聞いていたより全然高ランクの魔獣がいないようだからな。ここに住んでいる奴らなら少しは知っているかと思って聞いてみたいんだ。それにエルフには他にも聞きたいことがあるしな(ボソッ)」
そう言うと男は少し考えこんだ後
「分かった。なら我々の村にお前達を案内しよう」
と言ってきた
それを聞いて隣の女性は反対の意を示したがこの男には逆らえないらしく素直を従うことにしたみたいだ
とりあえずエルフの中でも上の立場のような男のステータスを確認してみる
名前 カイン マクベス
種族 エルフ
役職 村長
体力 B(+)
筋力 B
魔力 A
物防 B
魔防 B(+)
俊敏 A
知力 B
運 B(-)
技能・・・・剣術Lv3、弓術Lv3、短剣術Lv2、精霊魔法(風)、風魔法Lv2、土魔法Lv2、解体Lv2、感知Lv3、指揮Lv2、採取Lv3、鑑定Lv2
と結構強い
そして精霊契約もしているみたいだ
他のエルフもさり気なく見てみたが全員が精霊契約をしているようであった
その後俺はリーニャを肩車したままセリアを連れてカインの案内の元エルフの村へと向かうことにした
取り囲んでいたエルフ達は先に村に帰ってこのことを伝えるそうで今はカインと女性のザラの2人だけであった
するとカインが話しかけてきた
「そう言えば何故お前達は獣人の国から魔人の国へと向かおうとしているのだ?いまのような状態でそのような事は自殺行為であろうに」
と聞かれたので俺が答える
「この娘を親元に返してやるためだよ。何かの縁から偶然出会ったからな」
と言うとカインは笑い出した
「はっはっは、わざわざ魔人の子供を親元に届けるために敵地の真っ只中に向かう人間もいたのか。まぁ確かにお前ほどの力があればそれも容易いだろう。それにその子もかなりわけありのようだしな」
と鑑定を使ってリーニャの立場が分かったらしく苦笑いをしていた
俺もちょうど聞きたかったことがあるので聞いてみる
「なぁおっさん、あんたはいったい何歳なんだ?俺の知ってるエルフは寿命が長いんだがそこら辺どうなんだ」
それを聞きカインが答える
「確かに我々エルフは他の種族と比べて寿命が長いな。ちなみに俺は今年で100歳ちょうどだ」
思ったより年寄りだった
俺は追加で更に質問する
「おっさんの村で一番長生きなのは誰だ?」
「そうだな……。多分俺の父だな、確か今年で256歳だったはずだ」
どうやら前回の3種族間の大戦を知っていそうだ
これは思わぬ所でいい情報が手に入るかもしれない
「その人に少し聞きたいことがあるんだが話はできそうか?」
と聞くと
「ああ多分問題ないな。でもいまお前が言ったようにこの周辺で異変が起きている、若しかしたら手伝って貰うような事態が起きるかもしれんぞ」
と言われたので
「任せとけ。ただで情報だけ貰おうなんて都合がよすぎるからな」
と返す
その後も少し話をしながら歩くこと10分ほどでどうやらエルフの村へとついたみたいだ
ついた場所は一見何も無かったがカインが何か唱えると人が通れるくらいの穴が目の前に空きそこに入っていったのでついて入った
すると中には家や畑といった村の風景が広がっておりどうやらエルフ達の村の結界の仕組みは俺の作る簡易結界と同じみたいだった
そして俺達は話をするべく村の中央へと向かっていった
……To be continued