第2章・セリア家族との対面
その後俺は大勢の白狼族に見られながら2人の後をついて村を進んでいく
移動途中は針のむしろのように視線が俺に対して向けられていたが俺としては予想の範疇なので問題ない
むしろこれからの行動について色々考えていた
村の中ほどまで進むとそこには一際大きな家が数件見え、中でも2件はこの村の中心であると感じるような風貌であった
その家の手前でセリアとネモは立ち止まるり俺のの方を向くと
「ロア様、こちらが私達の実家です。右の青いのがネモの実家、左の赤いのが私の実家になります」
とセリアから説明を受け納得がいった
ネモもセリアも白狼族を代表する一族の出身のはずなので実家もまたそれに見合うくらい立派なのであろう
すると赤色の家の方から威厳のある風貌の男性とそれに付き従うように寄り添っている女性、さらにその女性の後ろに隠れるように中学生くらいの女の子がこちらに向かってきた
それを見て
「お父様、お母様。お久しぶりでございます」
とセリアが口を開いた
どうやらこの3人はセリアの家族みたいだ
やはりこの父親も強いのだろう
なんて考えているといきなりセリアの父親が俺に向かって切りかかってきた
そのスピードはセリアよりも少し早い
だが俺からすればほぼとまって見えているようもの
俺は左胸に向かって突き出された剣を左手の指2本でで先を抑えこむ
よくアニメとか漫画でみる二本の指で剣先をとめるのをやってみたかった俺は切りつけられたにも関わらず内心少し喜ぶ
言っておくが俺はMでは無い!
すると父親は少し驚いた表情をみせたがすぐに無表情に戻り剣をひくと
「穢らわしい人間が何故ここにおる。それとお前は本当に人間なのか?今まで俺の剣をこうもたやすく止めた奴などおらんぞ」
と聞かれた
すると
「お父様お辞めください!ロア様は私とネモの命の恩人です」
とセリアが割って入ってきた
それを聞いてセリアの家族は怪訝そうな表情をしていたので俺が説明する
「一応そういうことになってるな。それとセリアは今は俺の奴隷だ、俺に何かあったら困るんじゃないのか?」
とセリアに左手を見せるように言い軽く脅しておく
奴隷は主人が死ぬか契約が切れると、前の主人の持ち物となるか別の主人を探す必要がある
それを一ヶ月以内に行わないと死ぬらしい
つまり俺が死ぬとセリアはミセラの奴隷商館に戻る必要が出てくるということだ
こう如何にも獣人が嫌いそうな風に言うと何故か父親はセリアの様子を観察したあと何かを理解したのか再び俺に問いかけてきた
「お前はいったい娘に何をした!?人間の卑怯な瞞しでも使ったんじゃないだろうな!」
と怒り始めた
俺が頭に?マークを浮かべどうかしたものか考えていると
「娘のお前に対する目は完全に信頼したものだ、いやそれ以上に好意をもっているように見える」
とセリアの父親が言うと
「ち、違います。そんなことはありません」
とセリアが焦ったように否定を示したが
「お前は昔から態度に出やすい娘だった。現にそいつに対して親しみがないとそんなに近くにいる訳が無かろう」
と断言されてしまったセリアは無言になり下を向いてしまった
俺もあまり気にしてなかったが確かにセリアはどんどん俺との距離が近くなっているようだ
と言うよりせっかく悪役っぽく言ってみたのに全部おジャンである(泣)
それを確認したセリアの父親は更に続ける
「・・・その様子だと本当のようだな。娘が人間風情に靡くはずもない、貴様をここで殺してくれるわ」
と再び戦闘体制に入る父親をみて
「違います!ロア様はそのようなことは何もしていません、ただ私が好意を持ってしまっただけです」
とセリアは言い切った
俺を受けセリアの母親と女の子、ネモは驚きの表情を隠せず唖然としていた
とりあえずここで俺も口を開いておく
「俺もセリアに少なからず好意を持っているし、これから手放すつもりもないな。まぁそれでも取り返すためにかかってくるというのなら全力で叩き潰す」
と伝えると
セリアの父親は俺達の様子をみて
「・・・どうやら本当のようだな。とりあえず話を聞こう」
そう言うと武器を下ろし家の中に戻っていった
俺とセリアはまだ唖然としていたほかの3人の意識を現実へと戻すと、セリアの実家の中へと入っていった
中に入りリビングのような少し広めの部屋で俺達は話をすることにした
まずはネモが暗闇の森での調査結果と黒龍のこと、そして俺達がどういった経緯で出会ってここまで来たのかを事細かに話を始めた
その後、次はセリアが人間に捕まってから俺に買われ今に至るまでの話を大まかに説明した
その話を聞きセリアの父親は俺に尋ねてきた
「お前はどのような理由でこの国に来たというのだ?余程の理由がなければ今の状況で人間がここに来るなんぞただの自殺行為じゃぞ?」
そう言われるとセリアもこちらの疑問の目を向けてくる
俺はまだセリアにすらこの国に来る必要があった理由を話してはいない
ダンジョン最下層で爺さんから貰った知識によってこの世界で起きていることをある程度推測し、それを確かめるためにここに来る必要があったのだ
俺はここは話すしかないと思い
セリアの家族とネモに説明をすることにした
……To be continue →