第2章・黒龍との戦いと油断
俺達は飛び出るタイミングを見計らい、俺の合図のもとそれぞれ女性とドラゴンに向かって走っていく
まだどちらも気づかれていないようだったのでセリアに閃光球を使うように指示を出し俺は女性の元へと急いだ
すぐさま女性の元にたどり着くき近くで見てみるとかなりひどい怪我をしており意識もようよう保っているような感じだった
なので少し揺さぶりながら
「おい、大丈夫か?」
と俺が声をかけると
「あなたは………?・・・黒龍はどうなってるの?」
と息絶えだえながらも返事が返ってきた
見たところ目も焦点があっていないし魔力も完全にカラになっているみたいだ
そんな女性の質問に答えつつ女性を避難させる場所を探しつつ声をかける
「黒龍は今俺の連れが抑えている。今のうちに安全な所へお前を運ぶぞ」
「・・・ありがとう。でも大丈夫なの?あの黒龍は………通常の奴よりも強力な個体みたいよ…?」
「少しの間だから大丈夫だと思う。とりあえず目を瞑ってろ、俺が抱えて運んでやるから」
そういい俺は女性をだき抱えると、セリアに閃光球を使用する許可を出した
俺の合図を受けたセリアは上手く黒龍の目の前に投擲することが出来た
黒龍のほうも初めて見るものでサイズも石ころなみだったため回避の判断が間に合わなかったのだろう
すぐ目の前で光と音が炸裂したあと
「グォオォオオオオ」
と咆哮をあげながら目と耳をやられたため苦しんだ様子でガムシャラに暴れている
そんな暴れる黒竜を見て
(暴れ方もまんまティガレじゃん!!!)
とか思いながらもその隙におれは女性を抱えて戦闘の余波が来ないであろう森と広場との境目のあたりに女性を運んでいき昨晩使用したのと同じ簡易結界を貼ることにした
「今からここに簡易結界を貼る。黒龍を何とか出来たら戻ってくるからそれまで待っていてくれ。多分ここは安全なはずだ」
そう言うと
「あの黒龍を2人で倒せるの?あなたは見た感じあまり強そうには見えないけれど………」
少し落ち着いて来たのか冷静に質問してきたので
「まぁ何とかなるよ、それよりこれあげる。遠慮は要らないから使っといてくれ」
と平然とした様子で答えた俺はは高級回復ポーションと高級魔力回復ポーションを数本ずつ手渡すと急いで結界の準備をしてセリアの場所へと向かうことにした
セリアと黒龍が戦っている場所につくと何とかセリアは怪我をすること無く黒龍の攻撃を避けつつ少しながらも攻撃することができているようだ
反応の大きさ的にはセリアは圧倒的に黒竜よりも劣っているがそこら辺は速度でカバーしているみたいである
(この分なら撃退か逃亡くらいは何とかなりそうだな。森の中に入れば多分見つからないだろうから、くねくねと移動していって結界の中に入れば大丈夫だろ)
なんて呑気に考えてしまった俺は自分が一級フラグ建築士であったということをまたもや忘れてしまっていた
そんな阿呆な俺はその時感知にもう一つ大きな反応があったことに気がつくのが遅れる
その直後セリアに向かってもう1匹黒龍が向かっていくのが見えた
《side セリア》
ロアが女性を救出して安全な場所を確保している間セリアは1人、黒龍に立ち向かっていた
以前1度、黒龍と対決したことのあるセリアは強力な個体であるということにも焦ることなくただただ時間稼ぎに徹している
(この個体は以前戦ったのよりも強い………。だけどご主人様に任されたんだからしっかりと時間を稼がないと)
そう思いながらもセリアは黒龍の攻撃を避け続け少し余裕があれば攻撃も加えていく
このミスリル製魔法回路付きのレイピアの性能はかなり高く、このレベルの個体であってもやすやすと傷を付けていくことが可能であった
それは単に性能だけでなくセリアの腕前もあるのであろう
だがあくまで皮膚の鱗の表面に傷を付けることができる程度である
倒すことなど到底不可能だ
そうしているうちに予定の時間であった3分ほどが過ぎ感知スキルによってロアがこちらに向かってきているのが確認できた
その瞬間セリアも少し安堵してしまいロア同様もう一つよ大きな反応が向かってきていることに気がつくのが遅れた
セリアが気がついた時にはもう1匹の黒龍が自分に向かって飛びかかって来ているのが見えた
セリアは咄嗟に回避に移るが間に合わず黒龍の右手によって叩きつけられ、2匹の黒龍に挟まれる形となってしまった
(・・・流石にこれはきつい……。それにしてもさっき一撃もらったはずなのに怪我や痛みがないのはどうしてでしょうか?それにこの暖かいものに包まれている感覚はいったい?)
そう不思議に思い体を見てみると何やら薄い膜のようなもので覆われていることに気がついた
セリアは素早く全身を観察してみるとそれは腕輪から全身を包むように魔力が溢れ出しているために起きていることも分かった
(この腕輪は……。この全身を包み込んでくれている暖かいものはご主人様の魔力だったんですね……)
セリアにはこの腕輪が私を守るためのものだと言うことに気がついた
そして同じくロアがセリアを如何に大切にしているかも知ることが出来た
だが2体の黒龍に挟まれている絶体絶命なピンチなのは変わらない
この防御してくれる不思議な膜だっていつまで持つか分からない
そして2体がセリアに向かって同時に火のブレスを吐いてきた
(私はここで……。・・・ちゃんとご主人様にこの気持ちを話して置けばよかった……)
そう思いセリアは涙を流し死の覚悟をして目を閉じる
しかしいつになってもブレスが当たった衝撃はやってこない
しかしブレスが何かと衝突したらしき音だけは聞こえてきた
セリアが恐る恐る目を開けると目の前には周りに何か結界のような者が張られ怒っているような表情をしたロアが立っていた
……To be continued →