最終章・この不躾なリッチーに引導を!
《side リーニャ&希暗達》
希暗がひたすら深淵死霊王に攻撃を加えて動きを制限している間に少し後方より魔法攻撃部隊が光魔法を打ち込みまくる
そんな単純な作業を繰り返して最初は順調に作戦通りにすすめていた3種族連合軍だけれどもついに予定が狂いはじめる
綻びがまず最初に出たのは防衛部隊
ゼラス率いる遊撃部隊やリーニャ個人によって魔獣達はある程度殲滅することが出来ているもののやはり防衛部隊にまとわりつく魔獣達は時間と共に増えていく
そんなまとわりつく魔獣達を倒し防衛部隊を支えるために魔法攻撃部隊の面々は深淵死霊王への攻撃数を減らし、その分を防衛部隊の支援へと向けないといけなくなる
そんな感じで時間と共に防衛部隊は疲弊し、また魔法攻撃部隊から深淵死霊王への魔法攻撃数もどんどん少なくなる
そして戦端が開かれて約数十分
今はもはや希暗がほぼ単体で深淵死霊王と戦っていると言っても過言ではない状況へと陥っていた
それでも戦況としてはぼぼ互角
ゼラス率いる遊撃部隊は希暗と深淵死霊王との戦いに邪魔が入らないように魔獣達を殲滅しているものの、そちらの対処にまわることによって後方部隊の支援があまり出来ていない
防衛部隊と魔法攻撃部隊は自身達に襲いかかる魔獣達の処理で手一杯になりつつあり、被害の方も決して少ない訳では無い
それでもやはり戦況が互角なのは深淵死霊王をほぼ1人で抑え続ける希暗
更には周りから集まってくる魔獣達を空を飛び回りながらただ1人で殲滅しているリーニャ
更には後方部隊にて主力となっている桜前と白月の存在が大きい
だがこのままでは確実に戦況は不利になる
そう考えたゼラスはリーニャにある事を指示する
「リーニャ!例の魔法を使うなら今だ!全力でぶちかましてやれ!あとのことはお父さん達に任せろ!」
そう大声で上空にいるリーニャに声をかけるゼラス
そんなゼラスの支持を聞いてリーニャは
「分かったの!今からリーニャの最強の魔法をみんなに見せてあげる!」
そう言うと後方部隊の奥の方へと飛んでいくと戦場全てを視野に入れることが出来る位置にとどまる
そして残っている全魔力をかき集め練り上げると
「神魔法・極夜蓬莱!」
と大声で唱えた
すると一瞬辺りが真っ暗になったかのような錯覚をこの場にいる全員が見る
だがそれは所詮錯覚
実際味方である3種族連合軍の人々には効果はない
だがリーニャの敵である魔獣達は別だ
「なにっ!この魔法はあの鬱陶しい女神達の……!くっ、何も見ることが出来ん」
そういい希暗に対する魔法の発動と大鎌による攻撃をやめて少し後退するのは深淵死霊王
流石に最上位の魔獣なだけあって深淵死霊王には盲目の状態異常しか効果がなかったようだ
だがその他の魔獣はそうはいかない
盲目に加えて麻痺・毒・睡眠・混乱・気絶などといった状態異常もおまけで付与されておりリーニャの魔法の対象となった魔獣達は軒並み戦闘不能状態に陥る
その数おそよこの戦場に存在する魔獣の約9割
そしてこれこそが一発逆転のチャンスの時
「今だ!今なら簡単に魔獣を倒せる!全員で魔獣達が再び攻撃しだす前にトドメをさせ!リーニャの頑張りを無駄にするな!」
と大声で指示を出すガロ
そんなガロの言葉を聞いてその場にいた全員の士気は高まり魔法攻撃部隊を中心に次々と魔獣達へとトドメをさしていく
その間に遊撃部隊も戦場を縦横無尽に駆け巡り魔獣達を殲滅していっており、なかでもゼラスが
「父親の威厳を見せる時!」
とか叫びながら無双している
ゼラス本来の能力値なら考えられないような高威力の特級魔法を連発していたりするあたり本当にリーニャに負けないためだけに火事場の馬鹿力を発揮しているようだ
だがそんなゼラスは今回に限ってはダサい親馬鹿ではなくここにいる人々を導くかっこいい存在として見られており余計に他の人々の士気を高めていたりする
ちなみにゼラスがそうしてリーニャにいい所を見せようと頑張っている間、先程の神魔法の発動により魔力切れ状態となっているリーニャは1番安全な後方部隊の最後方でエマに抱きしめられながら熟睡中だったりする
親馬鹿あはわれなり……
そしてリーニャの魔法により戦況が一気に3種族連合軍の方へと傾いた今、希暗もこの流れにのるべく全力を出し一気に深淵死霊王との戦闘に方をつけるつもりの様子
深淵死霊王が後退した隙を見逃さずにすぐさま精霊王モード……ではなく覇王モードになると自身の傍らにコロリスを実体化させると
「状況は分かってるでしょ?今からこの戦いに決着をつけるよ!」
そうコロリスに声をかける
するとコロリスも
「うぬ、任せておれい。わしの力の真髄、あの骸骨に見せつけてやろう」
そう言うと希暗から受け取った魔力と自身が予め内包している魔力をふんだんに惜しみなく使用しある魔法の準備をする
そんなコロリスを見た希暗は自分自身の役割を果たすべく残りの心もとない魔力を身体強化にまわしつつ、再び盲目となったことで多少狼狽えている深淵死霊王へと肉薄するとカルマで怒涛の攻撃ラッシュをあびせる
これには流石の深淵死霊王もたまったもんじゃなく
「ぐっ…!小賢しい魔法を使いおって!もういい、この場のすべてを我の魔法にて消しつくてくれるわ!」
と言うと身体中にダメージを負うのを覚悟しながらも魔法の準備に取り掛かる
恐らく以前呂阿に使用したアナザーより授かりしなんちゃら魔法を使うのであろう
だがこれも全て希暗…もとい呂阿の計画通り- =͟͟͞͞ ( ꒪౪꒪)ฅ
盲目の深淵死霊王は実体化されたコロリスに気づいておらず隙を見せても所詮斬撃と謎の輝く炎でのダメージしか受けないと思っている
ちなみになぜコロリスの存在に気づいていないかというとコロリスの魔力は全て覇王モードの希暗と同質であるため目が見えない今は感知スキルでは把握出来ないのだ
つまり隙を見せたが最後
先に魔法を準備しているコロリスより先に深淵死霊王が魔法を発動できるはずもない
そして希暗の
「今だよ!」
という掛け声のもとで
「「王級精霊魔法・希輝天籟」」
と希暗とコロリス、2人同時に魔力を全てを使い尽くした光の属性を持つ魔法を使用した
深淵死霊王の唯一の弱点である光魔法
それの最上位レベルのものを直撃すればそれ即ち……消滅を意味するよね
希暗とコロリス
現在の2人の持つ全ての魔力を注ぎ込んだ魔法
それにより深淵死霊王は誰によってトドメをさされたかすらも分からないままにその存在をこの世界から再び抹消される
そうしてまた1つの戦場において邪神達と3種族との決戦に決着がついたのであった
……To be continued