最終章・満足♪♪満足♪♪
この国に伝わる秘宝であり初代英雄が使用したとされている伝説の武器・カルマ
俺の持つ武器の中でも上位の性能を誇る魔剣
そんな2つの武器を用いて俺と希暗は常人であるならばまず目に見えない速度で剣戟を行う
1度武器がぶつかれば激しい金属音と共に衝撃波が生まれ1度その剣が空を切れば斬撃が結界を襲う
そんなキチガイ同士の戦闘を結界の外から見ている奴らは言葉を失う
中には顎がはずれるんじゃないかと思うくらいに口を開けてボーッと見ている奴もいる
そんな周りにいるルーカスや大臣達、それに騎士団員やクラスメイト達が言葉を失っている理由は多分であはあるけど主に3つ考えられる
1つは希暗が持ったているのがこの国で厳重に保管されているはずの伝説の剣であるということ
これに関しては予め希暗にめんどくさいことが起きるから使わないようにと言うのを言い忘れていた俺のせいなのでまぁいいや
どうせレプリカは置いてあるし希暗以外にカルマを使いこなせる人はいないはずなので嘘を貫き通せばどうとでもなる
そして2つ目は俺が甲冑を脱ぎ捨て正体を見せたこと
クラスメイト達からすれば死んだはずの俺がここにいることに対してまず驚き、次に俺がとんでもない強さを持っていることに驚いているだろう
だけど何故俺を見て怯えたように涙目になっている奴がいるのかは分かんない
そんなに怖がられるようなことしたっけ((すっとぼけ))
それにクラスメイト以外でも俺が異世界人であるということに気がついたのも少なからずいるみたいで、それは主に騎士団員でありそいつらもクラスメイト達同様に目の前で死んだはずの俺が生きていたことに対して驚いているみたい
その他のルーカス含め気づいていない奴らは単純に俺が人間であったことに対して何かしら思うことがあるようだ
そんで最後に3つ目
これは言うまでもないが希暗の実力についてだ
なんせクラスメイト達からすれば希暗の実力は完全に未知な存在であっても遠山や近山よりは下であろうと思っていた奴がほとんど
それに希暗の実力を唯一知っていたラハット以外の面々もラハットより希暗の方が強いという事実に対して驚きを隠せない様子
それが素人目にも分かるくらいに今の俺と希暗の戦いのレベルが常軌を逸脱しているのが分かるんだけど
そんな感じで一時は全員が驚きのあまり声も出せなくなっていたようだが次第に希暗を応援する声がではじめる
もちろん最初に応援をはじめたのは桜前だ
それにつられてかラハットが事実上負けたことによって意気消沈していた首脳陣もそれとなく希暗を応援する流れにのっていく
だがそんな声援は耳に入らないとばかりに必死な様子で希暗は俺と切り結んでいる
なんせ今現在希暗は精霊王モードを使用してのほぼ全力状態
それに対して俺はまだ力半分といったところ
俺にまだまだ余裕があるというのが分かっているのだろう
希暗は更にギアをあげて俺に対して苛烈な攻撃を仕掛けてくる
その余波のせいでリーニャの貼る結界が悲鳴を上げているのだけどまだ俺の貼っている結界には影響がないので問題ない
もし結界が無くなったら………言わずもがな大惨事である
そして希暗とのタイマンを始めて凡そ10分後
突然希暗は攻撃の手をやめると俺から距離をとる
それと同時に精霊王モードも解除した
どうしたものか?
そう俺が不思議に思っているとその疑問に答えるかのように希暗が言葉を発する
「アシュロンとは互角に戦えたこの力でもまだまだ呂阿には届いてないね。前に呂阿と戦った時にこの力に目覚めてから結構僕も強くなってきたつもりだったんだけどなぁ……」
そう言う希暗は悔しそうだ
そんな希暗の言葉を無言のまま俺が聞いていると再び希暗は言葉を紡ぐ
「これから見せるのは僕が新しく手に入れた力だよ。今から僕の全力を君にぶつける!」
そう言うと希暗は白髪に漆黒の瞳へと容姿を変え纏うオーラのようなものが更に大きくなる
話には聞いていたけどこれが希暗の出せる全力である覇王モード
まだ目覚めたばかりで持続時間は短いために短期決戦用にしか使うことが出来ないがクロア曰くその力はアシュロンをも上回るらしい
これが今回俺が試してみたかった希暗の力だ
更にテンションが上がる俺は魔剣をしまい込むと新たに一振の刀を取り出す
この刀はこの前帝都にある皇城からこっそりと拝借しているものでその性能はカルマにも劣らない
そして武器を構えた俺に向かって希暗が攻撃を仕掛けてくる
(おっ!確かにかなり早くなってる。それに力もかなり上がっているな。こりゃ本当にアシュロンよりも強いわ)
というのが希暗の攻撃を受けた俺の感想
実際に希暗の移動速度は既に周りにいる誰からもはっきりとは見えないレベル、すなわちセリアとほぼ同格に達しているし力の方もクロアと比べても遜色ない
そんな希暗に対して俺も今までの態度とはうってかわり攻撃の姿勢に入る
つまり今俺と希暗は結界の中を高速で動き回りつつも互いに攻撃を繰り広げている状態だ
俺達の速度が目に追えない奴らからしたらこの部屋に響く剣と剣がぶつかった音と結界の軋みでしか中で戦闘が行われているという事実には気づけないだろう
それほどまでに俺達の戦闘のレベルは超次元にある
だがそんな戦闘も長くは持たない
なんせ希暗の覇王モードはまだまだ使用時間が短いから
徐々に力を失っていく希暗をみて俺はそろそろこの戦いに幕を降ろすことを決める
個人的には十分楽しめたしこれだけの実力を見せつけておけば俺に逆らおうなんて考えるやつもいなくなっていることだろう
そう思い俺は希暗に
「とりあえず今回はこれで終わらす。ちょっと痛くするけどごめんな」
と告げると驚いた表情の希暗に構わず一気に接近する
そして手に持つ刀・アグニによって希暗の胴体へと鋭い一撃を繰り出す
そんな俺の攻撃を希暗はカルマで受け止めようとするが無駄だ
このアグニ
実は初見殺しといっていいレベルのある能力がある
そんなチート能力によってカルマで防ぐことができなかった希暗はそのまま胴体に一撃を受け意識を飛ばすと桜前や白月のいる方へと吹き飛ばされた
もちろん飛ばした方向は調整してある
そして誰も俺と戦える者が居なくなった広間を沈黙が支配する中俺が発言する
「これで終わりだな。さて、それでは俺の要求を全部呑んでもらうとするかね」
そう俺が言ったことで今回の作戦の中心であった俺の実力を見せつけるぜ!の部分は終わりをつげた
……To be continued




