最終章・本日は別視点にてお送りします(´・ω・`)
《side 王城組》
朝早くから呂阿によって王城へと送り届けられた希暗達3人は希暗の部屋にて呼び出しがかかるまでとりあえず待機する
といっても呼び出しがあるのが今日であるかどうかはまだ確実ではない
もし呼び出しが今日ならばフロリアとリアがこの部屋にわざわざ来てくれるため一応呼び出しに応じて呂阿の作戦に支障をきたさない程度の格好にて寛ぐ3人
昨夜に長時間睡眠を取ったとはいえここ数日の疲労の蓄積かかなりのものでまだまだ疲れた様子が見て取れる
そんな3人はそれぞれベットの上に横になりながらのんびりと会話をしている
最初に口を開いたのは桜前で
「ねぇ希暗、結局昨日は詳しく聞けなかったけれど私と歩が意識を失ってからあとどんなことがあったの?」
と希暗に訪ねる
桜前の言う通りまだ桜前と白月は希暗が無事に試練を全て乗り越えたということしか知らない
といってもあの時の戦いについて何があったかを全て話してしまうと桜前と白月の理解が追いつかないような事が多いしあまり伝えたくないこともある
特に殺されかけたなんて伝えたら桜前がどんな反応をとるか………分からない
なので希暗は大まかに昨日の出来事を伝える
「あのあと2人が意識を失ってからは僕とアシュロンとの一騎打ちだったよ。僕も全力を尽くしたけど後一歩のところで勝てなかったけどね」
そんな希暗に
「クロアさんはその間何してたの?2人なら勝てたんじゃない?」
と桜前が聞くが希暗は首を横に振りながら答える
「アシュロンとの戦いは僕だけで受けるべき試練だったからクロアさんは手伝えなかったんだよ。それに玲奈と白月さんを戦闘の余波からずっと守ってもらっていたしね。実際にお互いの最後の攻撃が衝突した時なんて多分あの部屋の中はどの場所も危険地帯みたいなものだったよ。だから2人はクロアさんにお礼を言っといたほうがいいよ。あの人が身を挺して守ってくれたおかげで無傷だったわけだし」
そんな希暗の言葉にクロアにまだおれいを言っていない2人は少し気まずい思いをするが、どうせまたこのあとすぐに会えるのだからその時に必ずお礼をしようと心の中で誓う
そしてまだまだ質問したりないのか桜前の質問は続く
「で希暗の話だと結局希暗はアシュロン…?に負けちゃったのよね?それでどうして試練をクリアしたことになったの?」
そんな桜前の問いに希暗は1部の真実を伏せて濁した返答をする
「それは試練のクリア条件がアシュロンに打ち勝つことじゃなかったからだよ。最後の試練のクリア条件は邪神やその従魔達とまともに戦うことが出来るかどうかの実力を測るためのもの。だからアシュロンがその実力が充分僕にあると思ったから試練はクリアっていうことになったんだ。それに呂阿が言っていたけど地上ならばともかくあのダンジョン最下層のアシュロンのホームとも言える場所でアシュロンに勝つのは結構無理ゲーに近いって話だしね」
そう希暗は言うが実際のクリア条件は少し違う
アシュロンが英雄候補へ課す試練のクリア条件は3つ
1つは希暗も言った通りに邪神やその従魔達とまともに戦うことができるぐらいの実力があること
2つは上限がない成長をするだけの潜在能力を有していること
1つ目と2つ目に関しては英雄候補に選ばれている時点でほぼ達成できるといっても過言ではない
もちろんそれにはかなりの努力が必要だけれども
そしてアシュロンや女神達が最も需要としているのが3つ目の条件
それは如何なる強敵と相対した時でも決して諦めることなく最後まで戦えること
これだけはステータスなんかを見ても実際にその境地に陥って見なければ分からない
だから女神達はアシュロンという遣いを地上に寄越して3種族それぞれの英雄候補達へ試練を課すのだ
今回の英雄候補である3人は全力が3つ全ての条件をきちんと満たしてある
3つ目の条件に関してはセリアとリーニャにはそもそも諦めて逃げるという選択肢は無く、希暗は1度諦めかけたが再び決意を胸に新たな力に目覚めたことで無事に達成している
1つ目2つ目の条件に関しては3人が3人とも成長チート(呂阿曰く主人公補正)を手にしているために問題なく達成してる
こう考えるとその3人についていけているクロアもだいぶ化物みたいな存在な気がする
そんな希暗の知らない事情も色々とあるが話を続けようとする3人の耳にこの部屋の扉をノックする音と共に
「希暗様、予定通りお父様の言伝により呼びに来ました。お帰りになられてますか?」
というフロリアの声が聞こえる
その声が聞こえると希暗は素早くベットから降りてフロリア達を部屋の中へと入れるべく扉を開ける
何しろ相手はこの国の王女
こんな風に親しくしている場面を見られるとあまりよろしくないし、純粋に適当な対応をするのは失礼極まりない
希暗が扉を開けるとすぐにフロリアとリアは部屋の中へと入ってくる
桜前と白月もだらけモードをやめ今は椅子に座っている状態だ
そして扉が完全閉じられ外に声が漏れないのを確認してからフロリアは口を開く
「それではこのあとすぐに広間へと集まっていただきます。このあと別の者が異世界人の皆様に呼び出しをかけて回るはずです。一応私とリアはこの部屋に待機しておいて欲しいという連絡が先程呂阿からありましたので私達はここにて待機です。特に今回は私があの場にいる必要もないので特に問題はありません。それと希暗様方は呂阿から既に今日の作戦についてお話は聞いておられますか?」
そういうフロリアの問いに希暗が答える
「呂阿からは僕達の役目を昨日説明されているので大丈夫ですよ。それとこれは呂阿から王女様達へ渡すように言われている物です」
そう言って希暗は魔法の袋から2つの腕輪を取り出すとリアへと手渡す
「それは着けると魔力を消費することで呂阿や同じ腕輪を着けている者同士で手軽に念話することができるらしいです。呂阿は少し燃費が悪いのがキツいかもって言ってました。一応僕達も全員それを付けてます」
そう言って服の裾を捲り腕輪を見せる希暗
一応希暗としては安全性を保証するために見せたのであるがそんなこと何の意味もなくリアとフロリアはなんの躊躇いもなく装着していた
2人共呂阿への信頼度がかなり高い
それを見て希暗は思い出したように2人に続けて伝える
「それとこの腕輪は絶対に他の人の手に渡らないようにして肌身離さず持っていて欲しいとのことです。理由は教えてくれませんでしたが呂阿の言うことですので何か重要な意味があるのでしょう」
希暗がそう言うとフロリアとリアは頷いて了承の意を示す
まぁ言わなくてもフロリアは呂阿から貰ったものを手放すはずなどないのであるが
ちなみに呂阿のこの言葉の理由はこれからだいぶ後に分かることになる
そしてそのあとも作戦や今後の予定について軽く話し合っているとフロリアの言う通りにこの部屋にも呼び出しがかかる
「それでは皆様。無事に事が済むのを願ってますね」
そうフロリアに言われた希暗達はフロリアとリアを残し、王や大臣達の待つ広間へと足を進めるのであった
……To be continued




