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最終章・試練の終わりと初対面

《side 希暗》



突然容姿を変え重症だった傷も治り無傷の状態になった希暗

そんな希暗の様子を見てクロアも少し驚いていたが、当の本人の方が余計に驚いている


(あれ?どうして傷が全部無くなっているんだろう。それにさっきまでは全く残っていなかった魔力が満ち溢れるくらいに感じられる…)

自分の状態を把握した希暗はそう考える

だがそんな希暗の様子をみてアシュロンは特に驚くこともなくまるでこうなるのを知っていたかのように呟く


「やっと至ったのか……危うく貴重な戦力を失いかねなかったではないか。まったくあの馬鹿者は…」

そんなアシュロンの声が聞こえたのか希暗は事情を把握していそうなアシュロンに尋ねる


「これはいったい何が起きたんですか?傷も全部無くなっているばかりか魔力が全快して更に溢れ出てきているようにも感じるんですが」

そんな希暗の問いにアシュロンは答える


「それはお前の持つ潜在能力を全て引き出した結果に過ぎん。詳しく聞きたければあの馬鹿者に聞けばいいだろう」

そう言うとこの場にいない別の誰かにアシュロンは話しかける


「さっきから聞こえているのだろう?さっさと姿を現せこの馬鹿者が」

そんなアシュロンの言葉が誰に向けられているのかわからない希暗とクロアはこの部屋に別の誰かがいるのではないかと思い辺りを見回すが誰もいない

だが不意に別の誰かの声が部屋の中に響く


『相変わらず耳障りな声だ、ちゃんとしっかりと聞こえているわ。それより馬鹿者とはなんだ、馬鹿者とは』

どこから聞こえているのか分からない声にクロアは戸惑うが、希暗はこの声を聞いたことがあるためにアシュロンが誰と会話しているのか理解する

そんな2人をおいてアシュロンは謎の声の主と話を続ける


「馬鹿者は馬鹿者だろう。さっさと力を全部貸し与えればいいものを最後まで渋りおって」


『ふん!知れたことよ。まだ我が契約者が我の力を十全に使える程の実力に至ってなかったまでよ』


「嘘をつくな。どうせ自分が疲れるのが嫌だっただけだろうに」


『そ、そんなことないぞ!……本当に考えあったのことよ』

そんな2人の会話はまるで旧知の仲であるかのように続けられ次第に全く関係ない話へとうつっていく


「そんなんだからお前はあの時我らの足を引っ張って迷惑かけたのではないか!」


『そんなこと言ったらお前だってガス欠になって使い物にならなかったではないか!』

等々昔話に花を咲かせ(?)て言い争いをしている

そんな2人の会話に口を挟むのは少々難しいものがあったが、このままでは何も理解することが出来ないうちに2人の中で話が完結してしまいかねないので希暗はアシュロンに話しかける


「えっと………そろそろさっきの質問に対する説明をしてもらってもいいですか?」

そう希暗に言われハッとしたかのように希暗達の存在を思い出したアシュロンはヒートアップしていた会話を一旦やめ


「そ、そうであるな。ということだ、お前も話がしやすいように姿を現せ」

と言い放つ

そうすると未だに地面に座り込んでいる希暗の身体の中から魔力が少し減った感覚がすると同時に、希暗の背後に筋骨隆々の髭を生やした爺がどこからともなく姿を現した

これには希暗もびっくりして少し謎の爺から離れようとするが爺は希暗から一定距離以上離れることがない

どうして離れないのか?そう考える希暗に謎の爺が話しかけてくる


「これこれ、そんなことをしてもお前と我は一心同体。一定距離以上離れることは出来んぞ」

そう言われて謎の爺の声を聞いてはじめてこの爺が誰なのかが分かった希暗は戸惑いつつも訪ねる


「もしかして貴方が僕の契約してる精霊王?」

そう問われ精霊王は胸を張り声高々に答える


「いかにも、我がこの世界の精霊を束ねる王・コロリスである!今はお前さんと契約しているがな」

そんなコロリスの自己紹介的なものを聞いてはじめて精霊王の名前を知った希暗はとりあえず聞いてみたかったことを次々に質問する


「じゃあコロリスさん、色々と聞きたいことがあるけど聞いてもいい?」


「ドンと来い!分かる範囲なら何でも答えよう」


「それじゃあまず1つ目。さっきまで死にかけだった僕の傷が全部治って魔力も回復しているのはどうして?」


「それは我とお前さんのパスが完全に繋がったからよの。つまり今のお前さんと我は本当の意味で一心同体。魔力に関してはお互いに共有出来る部分が存在するし、こうやって我を実体化させることも可能である。ただしお前さんが死んでしまうと我も一定期間消滅するというリスクもあるけどの」


「そ、そうなんですね……、それじゃあ2つ目。僕は今この状態で戦うとどれぐらいの強さになりますか?」


「ふーむ、そうじゃの………。実力だけならば邪神の従魔達と比べても引けはとらんな。だが些か持続時間が短い、今は我の力でその姿を保っておるが本来今のお前さんの実力ならば1分も保たせれないだろう」


「なるほど………この力も訓練次第で使いこなせるようになりますか?」


「うむ、勿論である!お前さんの頑張りは充分理解しておる、これからも短期間ではあるがまだ時間の猶予はある。お前さんと戦場で肩を並べられることを期待しておるぞ」

そんな感じで希暗はコロリスに今まで聞きたかったことを質問しそれにコロリスが答えていく

この機会を逃せば今の状態、覇王モード(希暗命名)を使いこなせるようにならなければコロリスを実体化させることは出来ない

そうなると聞きたいことも聞けない

なので今とりあえず聞きたいことは全部訪ねておく

そうすればあとはひたすら訓練する以外に考慮する必要のあることが無くなるからだ


そうしてしばらく希暗とコロリスのやり取りが行われていると突然コロリスの身体が半透明になり次第に薄くなっていく

そんな様子をみて


「そろそろ限界のようだな」

とアシュロンが呟く

つまりコロリスを実体化させるだけの魔力が足りなくなったのであろう

それを分かっているのかコロリスは最後に希暗にあることを伝える


「我が契約者よ。お前さんが女神より授かりし魔法を使いこなし我の力を全て引き出せたならば必ず邪神共を討ち滅ぼせるであろう。お前さんが力をつけ再び我を実体化させるのを楽しみに待っているぞ」

そう言うとコロリスは姿を消し、希暗の容姿ももとの黒髪に戻っていった







……To be continued

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