最終章・VS最後の試練>>3
《side 希暗達》
精霊王モードを発動し風精霊魔法である空歩を使用してからアシュロンへと近づく希暗
そんな希暗の手には精霊魔法によって作られたものではないひと振りの大剣が握られている
その大剣の名前はカルマ
初代人間族の英雄が使ったとされている剣であり、スリイアの国宝として大切に保管されていたやつである
カルマは性能としては呂阿の持つ神剣とほぼ同格であり属性付与は何もされていないが剣の大きさや長さ、更には形を魔力を流すことで自由自在に変形することが出来る代物だ
1度実験してみたところ小さくできて刃渡り10cm程のナイフぐらいに、大きくできて全長10mの太刀が希暗が扱うのを考えると限界であった
ちなみに呂阿が軽く試してみたところ某斬魄〇のように一瞬だけではあるが何キロも伸ばすことができたりしたのでふるうことはできないが相手の意をつく攻撃なら色々使い道があるだろう
なぜそれを希暗が持っているのかは呂阿がアホをやったせいであり率直に言うとスリイアの王城にある保管庫から盗んだからである
その剣の存在自体は呂阿が女神達からさりげなく聞いたことによって知ることができたもので、ちょうど希暗のメイン武器によくね?と考えた呂阿が希暗に相談することなく王城から盗……拝借してそれを希暗に渡したってわけだ
ちなみに希暗はこれがスリイアにとってとんでもなく大切なもので無断で持ってきていることなど知らずに単純に喜んで受け取っていた
一応呂阿が性能としては本物に似たレプリカを置いてきてはあるのでどうせバレない
なんせこの剣の性能を十分に引き出せるような強者がスリイアにはいないから
そんなわけで羽を生やし飛んでいるアシュロンと空歩を使用している希暗は空中と地上の両方を使って再び剣戟を繰り広げる
ちなみに空歩は飛行の上位互換の魔法であり、空中でもまるで地上にいるかのように戦闘を行うことが出来たりする
なので今現在だと空中戦においてはアシュロンよりも希暗の方が1本リードしている感じ
だがそれだといってもいまいち攻め切ることができない希暗
武器の性能は希暗の武器の方が格上であることで現在の実力はやや希暗が上
だが全力を出せる時間はアシュロンが少し長い
なので希暗が勝つためにはアシュロンにダメージを与えまくり神格化を解く以外にない
そう考えた希暗は剣の大きさを自由自在に変えることでアシュロンを翻弄していく
流石のアシュロンも今の希暗の速度と力強さに加え変化自在の武器を前にして攻めることはほぼ出来ずに防戦一方となりつつある
これに関しては完全にアシュロンは完全に予想外であるが故に驚きを隠せないが、かといって自分の土俵においては負けることなど許されないという思いから少しのダメージならおうことを覚悟して防御だけでなく攻撃も行いはじめる
そんなアシュロンの動きに一瞬戸惑った希暗ではあるが素早く意識を切り替えるとここぞとばかりにアシュロンへと傷を負わしていく
神格化状態のアシュロンは傷を負うたびに自動で修復するがその時に神力をどんどん消費していくので神格化の持続時間はその度に減っていく
それは希暗も同じことで希暗の精霊王モードは残りの魔力が希暗の持つ魔力量の3%を切るまで使用することができる
そして今現在は魔力を消費し続ける精霊王モードに加えて魔法もずっと発動している
なので魔法を発動し続けている分精霊王モードが使えなくなるまでの時間が短くなる
空歩の発動をやめれば精霊王モードの持続時間は少し伸びるのだけども、空歩の発動をやめてしまったら飛ぶことのできるアシュロンに対してかなり不利になってしまう
それを分かっているからアシュロンも多少不利である空中戦を挟むのをやめないのだ
つまり今の2人の勝負はどちらが先に今の状態を維持することが出来なくなるかという勝負であり、お互いにお互いの条件をだいたい把握しているためにかなり白熱した近接戦闘が繰り広げられ続ける
その凄まじさはクロアですらも参入すればただではすまないようなレベル
というより今のクロアでは神格化状態のアシュロンと精霊王モードの希暗を相手に勝つのは無理だ
それほどまでにアシュロンは強いし、希暗は成長している
かといってクロアが前回アシュロンに負けた時のままであるわけがない
あのあとセリアとクロアは呂阿に見つからないようにしている(と思っているけど実際結構バレてる)訓練にて新たに切り札と呼べるものを作り出すことに成功している
呂阿やアシュロンを驚かせた合体魔法の上をいく強さをもつセリアとクロアの新必殺技
ちなみに今現在呂阿は女神達からリーニャとセリアが授かった魔法の訓練を2人としているのだが、その際にセリアの新必殺技を見て言葉を失うといったリアクションを見せておりその様子にセリアが大変満足気な表情をみせていたことをクロアは知らない
更にリーニャとセリアの合体魔法も披露され呂阿の中で2人の評価がうなぎのぼりに上がっていっていることもクロアは知らない
そのことでセリアとリーニャがクロアにクロアがいない時のことを自慢含めてはなしたときにクロアが2人を羨ましく感じて悔しがったりするのはもう想定内の流れであろう
そんなクロアの事情はさておきアシュロンと希暗の戦闘はもう終盤戦
どちらもほとんど神力や魔力が残っておらずに肩で息をしている時点で体力の方もそこをつきかけているのが目に見て取れる
2人は1度距離をとると残りの魔力(神力)をかき集めておそらく最後の一撃になるであろう攻撃へと集中する
その様子をみてこの攻撃の余波を考えたクロアはまだ意識を取り戻さない桜前と白月を背負い結界を貼ることで耐える準備を整える
そして攻撃の準備が整ったのかアシュロンが希暗へと話しかける
「よもやここまで貴様がやるとは全く想定していなかった。お主の力は賞賛に値する。だが我を打ち破らねば試練を乗り越えたとは言えぬ!我の最後の全力での一撃、耐えきって見せよ!」
そう言うとアシュロンの体の前に紫色の球体が現れどんどん大きくなる
そんなアシュロンの魔法をみて希暗も最後の全力の一撃を放つべくカルマへと限界まで魔力を注ぐ
そして互いの魔法の準備が出来た時
「喰らえ!極星破球」
「王級精霊魔法・新王楼覇光」
2人の詠唱とともに魔法は放たれとてつもない爆音と衝撃を撒き散らしながら2つの魔法は正面からぶつかった
……To be continued