最終章・VS最後の試練>>2
《side 希暗達》
クロアが桜前と白月を退避させたのを合図にお互いの武器を交えはじめた希暗とアシュロン
希暗は力勝負では勝ち目がないことをすぐさま察し両手に持つ武器の形容を大剣ではなく刀に近い形として細く軽くしたものをふるう
希暗の両手によって繰り出される剣戟は今までのどの闘いの時よりも素早く鋭い
希暗としては死ぬ気で剣をふるうのはこれで2度目
1度目は呂阿のお巫山戯に付き合った時
あの時ももてる力を全て絞り尽くして呂阿と剣戟を繰り出し、呂阿には普通にあしらわれたものの呂阿の持つ大剣も破壊したりするほどの力強さはあった
そして今回も死力を尽くさねばならない相手
もし負けても殺されることはないだろうが希暗の中にあるプライドが疲れているからといって妥協することは許さない
というよりもいつの間にか戦闘脳に染まりつつある希暗も絶対的強者であるアシュロンと闘いをどこか楽しんでいるようにも見える
そんな思い等もあり希暗は今の自分が持つ全てをアシュロンにぶつけるつもりで闘っている
一方、アシュロンのほうはというとやはりまだどこか余力を残している感じが見える
恐らくクロアから見てもまだ余裕があるように見えているだろうし、実際にセリアとクロアで組んで戦った時の方がアシュロンが全力を尽くしていた
その理由としては前回の闘いにおいて消費した力をアシュロンが完全に回復させることが出来ていないというのもあったりするが
あの時はセリアとクロア、更にリーニャの力を持ってしてもアシュロンにはあと少し及ばなかった
だが今やればほぼ確実にセリア達が勝つ
個人個人でセリアやクロアがアシュロンとタイマンをするならばまだこの場所、アシュロンが全力を引き出せるここでは勝てないだろう
それほどまでにアシュロンは強い
流石女神達の力作といったところだ
といっても邪神達との戦いにおいてはアシュロンは全力を出して戦えないので実質的にはこの世界の3種族における最高戦力は呂阿・セリア・クロア・リーニャ・希暗の5人といっても過言ではない
まだこの世界にはクロアのように人化できる高位の魔獣の中にアシュロンと並ぶような実力を持つ強い奴が数体いるのだがそれらが3種族に手を貸してくれるのかといったら……恐らく否だ
自分達の仲間を狩るような者達にわざわざ力を貸すような気のいい魔獣なんているわけないだろう
無理やり飼い慣らされりしたら話は別だけど
そんな事実や未来へのフラグなんかも色々あるが今現在戦闘を繰り広げている希暗とアシュロンはそんな余計なことは考えいない
希暗は死ぬ気で全力を尽くしているので単に余裕がなく、アシュロンは予想を超える希暗の実力に関心しつつも出す力を増しているからだ
希暗が繰り出す2刀による攻撃をアシュロンは大剣1つと身のこなしだけで捌きつつも隙を見ては希暗に攻撃を加えていく
そんなアシュロンの攻撃は一撃一撃が希暗の一撃より遥かに重く希暗は受け太刀をすることができないため最小限の動きでかわしつつ、極力アシュロンに攻撃されることがないように斬撃だけではなく魔法も混ぜるなどして攻撃の密度を増していく
だがそんな希暗の攻撃をものともせずにアシュロンも攻撃の速度をあげていく
お互いに速度をあげていった時に先に限界が来るのはどちらか
そんなものは言うまでもなく地力で負けている希暗の方であろう
徐々にアシュロンの攻撃を捌けなくなった希暗は炎の刀にてアシュロンの大剣を受けてしまう回数がどんどん増えていく
一太刀受ける度に壊される希暗の持つ炎の刀
その度に新たに作り出して攻撃を繰り出し続けるのだがその壊されてから作り出す一瞬のラグがどんどん積み重なっていきついに完全に攻守が逆転してしまう
攻守が逆転してしまえば希暗にはアシュロンに勝つすべが完全無くなってしまう
(このままだとただ消耗させられて負ける!一旦距離をとるしかない。そしたら時間制限はあるけどあの力を使ってみよう………やれるか分からないけどやれるだけやってみるんだ!)
そう考えた希暗は炎の刀に魔力を注ぐとアシュロンへとそれを投げつける
アシュロンはそれを至って普通に大剣にてきりつけるがそれが希暗の狙い通りであり切りつけられた炎の刀は大爆発を起こす
その隙を狙って希暗は一度アシュロンから距離をとることに成功した
そしてすぐさま精霊王モードを使用するために意識を集中させる
今の希暗の状態だと精霊王モードは持続できて約5分程度
その間にアシュロンを打倒して力を認めさせないといけないのだが言うまでもなくかなりきつい
だがやるしかないない
そんな思いで希暗は限界に近い体を無理やり動かす
ちょうどその時爆煙が晴れ中からアシュロンがほぼ無傷で現れると希暗に声をかけてきた
「もう終わりか?貴様の力はこの程度なのか?もしそうであるならば心底期待外れだな」
そう言われ希暗はアシュロンに向けて宣言する
「今から僕の全身全霊の力をもって貴方に立ち向かう!僕だってやれるって所を見せないと行けないんだ、呂阿にばかり任せてはおけないからね!」
そう言うと希暗は精霊王モードを発動させる
その瞬間この部屋の中に希暗から発せられるオーラの奔流がみち、希暗が金色に輝きを放つ
それを見たクロアは希暗の評価を少し変える
今までは取るに足らないただの人間のうちの1人に過ぎないと思っていたが今目の前の希暗が持つ力はクロアの全力を持ってしても勝てるか分からない
そう思わせる程の力強さを感じる
アシュロンもクロア同様に今の希暗から感じられる力強さを感じ
「ほぅ………ここまでであるとは完全に予想を上回るな。それにしてもこのオーラは懐かしのあやつのもの。此度の英雄達は3人共歴代最強であるな、これならば多少は心強いというものだ。それにあの不思議な人間もいることだしな」
と呟く
そんなアシュロンの言葉からは嘘だという雰囲気は感じれないので本心から希暗の力に対して感心しているのだろう
だが力を持っていることが分かったといってもそれが使いこなせていないのでは意味が無い
そう考えアシュロンは希暗に再び声をかける
「では貴様の全力を見せてもらうとするか。我も全力を持って貴様を迎え撃とう!」
そう言うとアシュロンもユニークスキル・神格化を発動し羽を生やすと全身から薄く輝きを放つ
それと同時にアシュロンの反応も威圧感も跳ね上がるように大きくなる
そんな更なる強化を見せるアシュロンの変化に希暗は多少なりとも驚くがだからといって引くわけにはいかない
そうして希暗とアシュロンの第2Rが開始された
……To be continued