最終章・希暗達の試練⑧[改]
《side 希暗達》
101層に続き102層も容易くクリアした希暗達4人
もう半分やけくそ気味になっている希暗に引っ張られるようにどんどんと攻略を進めていく
だが流石に連戦でボス達と戦うのはキツかったらしくクロアを除く3人は109層の攻略を終えた時点で、もう立ち上がる気力すらわかないくらいにヘトヘトに疲れ果てていた
特に希暗に関しては薄ら笑いを浮かべながらボス達と戦っていたり普段からは考えられないくらいに大雑把な戦闘を行い暴れまくったりしていたので、体力も魔力も底をついている
桜前や白月も希暗ほどではないが疲れている様子だ
それでもクロアだけは特に疲れた様子を見せることなくこのあとのダンジョン攻略について色々と考え事をしている
主にこの疲れきった3人で残り何層あるか分からないダンジョンとアシュロンの試練を無事に済ませることができるのか?ということやこの次のボスはきっと……であろうとかだ
特に後者についてクロアは頭を抱えている
何故なら次の層に出てくる魔獣は今まで通りにくるならば100層のボスの上位個体
つまりあのとんでもなく気持ち悪い魔獣の上位バージョンが何体か現れる可能性がとても高いということだ
ここで問題なのはもし予想通りに100層のボスのような魔獣が出た場合、クロアがさっきのように1人で倒してしまいかねないということだ
つまり呂阿の言いつけから外れる行動を取ってしまうことになる
クロアとしてはもうこれ以上呂阿からの言いつけを反故にしたくはないのでかなり気をつけないといけない
それ程までに100層に出てきた魔獣は生理的に受け付けなかった
そんな死屍累々の3人と今後の展開について頭をかかえるクロアがいるのは110層にある扉の前
ここには魔獣が来ないことは分かっているので充分に休息をとることが出来る
そして今現在の時点で呂阿から言われた残り時間まであと約1日もある
つまり少しだけならばゆっくりと出来るのだ
というよりもクロアを除く3人は休まないともう動けそうにもないので必然的にこの場所で休息をとる必要があるのだけども
何故そこまで3人が疲れているのかというと、それはここまでの階層に出てきた魔獣のせいである
101層にでてきたのはリウルフ2体と取り巻きのハイウルフやワーウルフの数十体
これは問題なくクリアできた
102層にでてきたのはコカトリス2体と取り巻きのファイヤーバードやラックチキンの数十体
これまた問題なく処理できた
続く103層にでてきたのはアルマゴーレム2体と数十体のクレーゴーレム
これに関しても希暗のクロアがボス格のアルマゴーレムを相手取り、取り巻きを桜前と白月が倒すことでなんなく対処することができた
だが問題だったのはここからだ
104層に出現したのはディバイグフロッグと数十体のフルフロッグやゲロフロッグ
そしてボス格であるディバイグフロッグはなんと3体も出てきた
つまり希暗の担当する魔獣が2体に増えた
この時点で希暗の疲労が倍増しになるのが決定した同時に攻略に時間がかかるのも決定した
クロアに頼めばすぐに終わるし楽もできたかも知れないがそれは今回の目的から外れる行為であるためにすることは出来ない
なんせただでさえボス格の一体を任せているのだ
これ以上助けてもらうと流石にクロアにとっても疲れるし悪いだろうと希暗は考えていた
だが不運なことにキツくなったのは希暗だけではない
取り巻きの魔獣達の数もおよそ倍近くに増えていたのだ
実際ボス部屋の広さとしては直径100m程の円形
だけどその半分には魔獣が沢山いる状況
広域型殲滅魔法をあまり使うことが出来ない希暗達3人にとっては数が多いのはそのまま攻略の難易度が上がることを意味する
ここで相対するのがリーニャなんかだと敵の数なんかは問題なくただ特大火力の魔法で殲滅するだけなのだがそんなこと出来るのは火魔法か風魔法を上級レベルで使いこなせる人だけ
希暗ならばある程度どの属性の精霊魔法も使えるが基本的に属性ごとの大剣を作り、それと組み合わせのいい魔法しか使ってこなかったし練習していないので使えないのだ
そういうこともあって104層では苦戦を強いられた3人
希暗は斬撃が通り辛い上に様々な毒液を撒き散らすディバイグフロッグ2体を相手に決定打にかける戦闘を強いられているし桜前と白月は数が多すぎる取り巻き達の処理に奔走している
後者2人に関していえばまだ取り巻きの強さが低いため順調に処理できてはいるがこれがCランクから上の強さとなってくるとそうもいかなくなる
そうして約1時間程かけて104層をクリアした4人
続く105層に待っていたのはキングオーク3体と取り巻きのハイオークやオーク等が数十体
取り巻きの数はさっきのカエル達よりは減ったが一体一体の強さは明らかに今回のオーク達が強いので攻略難易度は落ちることなく上がる
更にオークやオーガ等はある程度強い個体になると連携を取り出す奴らがいる
つまりアシュロンや女神達が用意したこのオーク達が連携を取れないような雑魚個体であるわけがないのだ
その結果ハイオークを中心として連携する感じで攻められたことで桜前と白月が危うく18禁展開1歩手前になりかけるがそこにクロアが乱入することで取り巻き達は瞬く間に豚の挽肉へと姿を変えた
希暗の方はさっきのカエルと違って特殊攻撃を持たずに近接戦闘をメインとするキングオーク達は戦いやすかったらしく徐々に四肢を削っていき比較的楽に倒し終えていた
クロアが担当した方のキングオークは爆散して跡形も無くなっていたのは言うまでもないだろう
そして106層ではボス部屋の中にイビルプラントやグールキャプといった食人植物達が一面に生えており、ご丁寧にそれらを隠すように全体的にジャングルのようになっていた
ボス格となる魔獣はいなかったもののこの食人植物達は大変めんどくさく反応も小さいため感知スキルでも熟練の冒険者でないと気づくにくい
基本的にはこういった魔獣がいるところでは松明を持つなどしていれば火が近づいた時点で動き出すので奇襲を受けることはほとんどなかったりする
それからも分かる通りこのタイプの魔獣の弱点は火
そして今回はそれを知っている希暗がただひたすら火の大剣を振り回し、炎を斬撃や炎の大剣自体を飛ばしまくることで全てを燃やし尽くしたことによってこの層はクリアした
食人植物達も近づいてくる希暗に襲いかかろうとしたがあまりにも希暗から発されている熱気が凄かったためにどれも近づけずにただ灰になっていった
そして再び問題が発生したのはこれに続く107層と108層、そして109層の攻略においてである
……To be continued