最終章・女神とのおはなし(パートb)
「これから話す内容はとても重要な事です。遇異物だけでなく貴方達全員が真剣に聞いておいてください」
そう前置きをしたシシリアは俺達の話を聞く準備が整うのを確認すると話をはじめた
「今回アナザーが復活すると同時に彼女の古からの従魔である冥腐三首子犬と六首邪覇龍、そして深淵死霊王も復活するはずです。本来なら不滅真相もそこに加わるはずでしたが何故か存在そのものが消滅していますので恐らくアナザーでも復活させることは出来ないでしょう。ですがそれでもアナザーとその3体、更にはかなりの大群の魔獣を相手にするのはきついと思います」
「そしてここが前回と大きく異なるところなのですが以前アナザーを封印することが出来た戦いの際には私達3柱が地上に顕現することが出来た故に私達が3種族を先導し無事アナザーと3体の従魔を封印することに成功しました。ですが今回は私達が地上に顕現することは恐らく出来ないと思います。例え出来たとしても僅かな時間、それこそアナザーや従魔達に封印を施すことが出来るくらいの時間しか無理でしょう。なので今回は貴方達が中心となってアナザー達と戦って貰わないといけないのです」
シシリアはそう言いながら申し訳なさそうにしている
リーリスとセクメトも少し表情を強ばらせている
俺達だけで戦うとなるとかなり分が悪いと考えているからであろう
なんせアナザーは目の前の3人とほぼ同等の力をもつ
それに加えて現時点で俺以外だとかなり苦戦する魔術が3体にアホみたいな数のその他諸々の魔獣達だ
いくら3種族が協力するとはいえ苦戦するのが目に見えている
だがここで少し気になることがあるのでシシリアに質問してみる
「なんで今回はあんた達は地上に顕現することができないんだ?」
「それは私達が地上に顕現するためにかなりの力を必要とするからです。前回は充分な力が蓄えれていたために地上でもアナザーと何とか戦うことが出来ましたが今回は力が足りません。故にもし地上に顕現するとしても使える魔法は1度が限界だと思いますね」
「ならなんでアナザーは地上で力を存分にふるえてんの?あんた達と同じ神様なんだろ?」
「彼女は3種族を管理し見守るのではなく殲滅するために力を一部破棄して地上に行くことを選んだので地上でも活動出来るのです。私達もアナザーと同じようにすれば地上で活動出来るのですがそうしてしまうとこの世界の管理や不具合の調整をするのもがいなくなってしまいます。1度地上に降りることを選ぶともうこの場所に戻りシステムを使うことは出来ません。もし私達もそうなればこの世界は徐々に崩壊していくでしょう」
「なら誰か1人だけでも地上に降りるのは無理なのか?ここには誰か1人でも残ってシステム弄ってりゃいいんだろ?」
「そのシステムの維持にもかなりの力が必要なのです。元々4柱でバランスを保っていたシステムですので現在私達3柱でそれを保っているだけでもギリギリな状態です」
「なるほどね。じゃああんた達の協力は最後の最後までとっておかないといけないってわけか。切り札的な存在だな」
「そうですね。本当にどうしようもなくなった時に私達を呼んでいただくといいです。私達を呼ぶのは3種族それぞれの英雄の方が可能です。それに恐らく遇異物、貴方も呼べますね」
シシリアはそう言うと更に話を続ける
「ですので先程も説明した通り今回は貴方達を中心としてアナザー達と戦ってもらわないといけません。特に遇異物、貴方が相手をするのは誰か分かっていますね?」
そうシシリアに言われた俺は即答する
「分かってる。俺がアナザーとやらを抑えてればいいんだろ?」
そう答えた俺だがこれに関しては邪神復活が決まった時からこうなることはだいたい分かっていた
女神達がほぼ協力出来ないと言った時点で確定した感じかな
女神を除くとアナザーに対抗しうる存在は現時点では俺しかいない
そもそも希暗やセリア達がこれから成長して強くなったとしてもアナザーとはあまり戦わせたくないのが本音だ
なんせ一部能力が使えないと言っても元は神様
どんなことをしてくるか分からない相手に戦うのは本当にやりづらい
まぁ俺相手だと向こうもそう思うだろうけど
それに希暗達は希望暗達が戦うべき相手がいる
俺の即答を聞いたシシリアは再び俺に問いかける
「そうです、アナザーを抑えることが出来るのは現時点で貴方しかいません。恐らく貴方とアナザーの力はほぼ同格、戦闘に関する経験値が多い分アナザーが少し有利かもしれません。貴方はこの世界にきて恐らく初めてであろう苦戦を強いられると思います。それでも1人でアナザーを抑えられる自信はありますか?」
そんなシシリアの問いに俺は再び即答する
「当たり前だろ。俺がやらないといけない、戦う理由はそれで充分。ここにいるみんなを死なせるわけにはいかないからな」
そんな俺の答えをきいて満足そうな女神達3人
そして驚きを示しつつも感心している4人と何故か嬉しそうにしている4人
ここに来てからずっと蚊帳の外にいる奴らも一応話はちゃんと聞いているようだ
なお寝ているお子ちゃまは除く
俺の答えに満足したのか次にシシリアは希暗とセリアに視線を向けると
「次に貴方達今代の英雄の成すべきことです。貴方達はアナザーの従魔であるあの3体と戦わねばなりません。恐らく今は無理でもこれからアナザーが復活するまでの間に修行を積み先程の魔法を使いこなせるようになれば勝ち筋が見えてくるでしょう。信じられる仲間と共に無事あの3体を討伐するのです。貴方達が3種族を勝利を導く存在となることを見守っています」
そう言った
やはり希暗達3人がメインで相手しなくてはならないのはアナザーの従魔のあの3体だろう
うち一体は戦っていないので実力は分からないが残りの2体に関してはほとんど分かっている
どちらも一癖も二癖もある手強い相手だ
俺が相手出来るならば余裕で屠って来るのだけどアナザー相手にそんな余裕はないだろう
だから今回は3人を中心としてみんなに頑張って貰わないといけない
その前に訓練しないとだけどね
シシリアからそう言われた希暗とセリアは決意を胸にどちらも了承の意を示す返答をする
リーニャに関してはクロアにでも任せておこう
でもそうなるとセリアが1人になるのか
希暗達は3人なのでせめて2人組で対処させたい
まぁそこら辺はのちのち考えていこう
シシリアは2人の返答を聞き笑みを浮かべると口を開く
「これで私達から貴方達へ伝えたい事は全て伝えました。何が質問はありますか?」
そうシシリアが言うが誰も質問が無さそうなので再びシシリアが話し出す
「でしたらそろそろお別れの時間ですね。また何か私達に聞きたいことがあれば頭の中で念じてみてください、恐らくここに居る全員共に可能なはずです。では貴方達を元の場所へとお送りしますね。貴方達がアナザー達を打ち破ることを期待しています」
そうシシリアが言うと俺達を眩い光が包み込む
そして気がついた時には俺達は元いた巫女が住む建物の中へと戻っていたのだった
……To be continued




