第5章・得られた協力
俺の話しを素直に聞いてくれることになった皇帝や大臣達に俺は迅速且つ要点を纏めて事情を説明していく
まずは軽く俺達が今までしてきたことについて説明
その後にこの国が今までどんな状態にあって今がどのような状況にあるのかを話していく
内容としては邪神関連のことと何故皇帝や大臣達の一部が記憶をなくしているかをメインだ
そんな俺の話を皇帝や大臣達は質問を挟むことなくただ静かに真剣に聞いてくれてる
勿論ノーラやローゼも同じだ
なので事情説明は予想外にも素早く済んでしまった
そしてここからが本題だ
これからは俺の帝国に対する要望を伝えていく
まず最初に
「これで事情や状況の説明は終わりだけどなんか質問あるか?」
と聞いておく
俺の話を真剣に聞いていた様子だから話を聞いていないという心配はほとんどしていないが中には真剣に聞いていても理解できないような奴がいるかもしれない
例えばローゼとかローゼとか
そんなことを思っていると予想が的中したようでローゼがノーラに内緒話をしているのが見えた
勿論俺は地獄耳なのでローゼが「申し訳ありませんノーラ様、私はさっきの話をあまりよく理解することが出来ませんでした。後で教えていただけますでしょうか!」とノーラに言っているのはバッチリ聞こえている
他にも大臣の数名が同僚に同じように聞いていたことから俺はこの国の上層部が結構心配になってきてしまった
だってローゼレベルが何人も大臣とか………ねぇ
そんなことはさておき俺の問いかけに対して特に誰も発言せずこのまま次の話にいこうかなーっておもったとき皇帝が口を開く
「質問というよりそちに確認したい。今そちが話してくれた事は全て真実であるのだな?」
俺はそう言われて迷うことなく返答する
「勿論、さっき話したことに嘘偽りはないよ。それに本当に敵がいたかどうかは帝都の周りをみたり国民に聞いてみたらわかるさ」
そういう俺の言葉を聞いた皇帝は何かを考えこむ
それを見て周りの大臣は皇帝と俺とを交互にキョロキョロみている
なんかコレ見てると皇帝のカリスマ性が凄いのか周りの大臣達がぽんこつなのか分からない
なんせ他の国では俺の言葉に対して大臣とか国の上の立場の奴らは軒並み反論や罵倒をしてくるのにこの国の大臣達は未だ俺に対して発言してこない
いや正確に言えば最初冒険者の格好で凸したときはなんか言っていたけどあれも皇帝がなんも言わなかったらこいつらもなんも言わなかった気がする
そう思っていると皇帝が再び口を開く
「少しばかり我の問いに答えてくれ」
そう言われた俺は快く頷く
それを確認した皇帝はいくつか質問してきたので俺はそれに答えていった
「まずひとつ。そちが今までしてきたことが真実ならばもう3種族間での戦闘は起きていないということだな?」
「そうなるな。全部を確認しているわけじゃないけど今はどの国も出軍していないはずだ」
「そうか、ではふたつめだ。そちは邪神が復活すると言っていたな、それは大体いつ頃なのだ?」
「これも大まかな予測、いや正確にはさっき言ったこの国を乗っ取っていた不滅真祖ってやつの言ってたことなんだけどだいたい1ヶ月くらいらしい」
「1ヶ月だと!・・・その場所は分かっておるのか?」
「これもまた正確にはわかっていない。だけど女神達に聞いてみれば分かると思っているし予測も既にたててある」
「なるほどの………ではこれで最後じゃ。そちは我らが協力をすれば邪神とやらに勝てると申すか?」
そう聞かれ俺は少し返答に困る
何故なら邪神の従魔共には3種族が協力するならば何とか勝てるかもしれない
だが邪神だけは別だ
ぶっちゃけ俺も勝てるか分からない
だって未だに俺の種族は完全な神になっていない上に俺達のステータスなんかを弄っているのが神という立場なら今の俺よりは確実に強いというわけだ
まぁ神の中でも上下はあると思うから確実に勝てないというわけではないのだけれども
それにしても邪神はこの世界にきて俺がはじめて勝てるかどうか分からない相手だ
気軽に勝てるなんて言えない
俺は少し悩んだのち
「3種族が協力しないと確実に勝てない、それだけははっきりしている。だけど邪神に勝てるかもどうかはやってみないと分からない」
とそう答えた
俺の台詞にノーラとローゼ、それに皇帝や大臣達
更にセリアとクロアでさえもが動揺する
皇帝や大臣達は勝てるかどうか分からない戦をしなくてはならない状況であることに対する驚き
セリアやクロア、ノーラにローゼは邪神が俺ほどの強さを持っているのに勝てるかどうかが分からない相手であるということに対しての驚きである
特にセリアとクロアの驚きは多分中級くらいの冒険者感知スキルでも把握出来るくらい気配にブレがあった
余程俺の負ける姿が想像出来ないらしい
ちなみにリーニャは俺の背中で夢の世界に旅立っている
折角のお洒落なのに勿体ない
俺の返答により場を沈黙がしばしの間支配する
そしてやはりその沈黙を破ったのは皇帝であった
「分かった。そちの言葉を全面的に信用し、帝国はそちに惜しまず協力をすることを決定する。だが決して民達に対する無闇な要望はしないでほしい、そこだけは考慮してくれ。それ以外なら出来るだけ協力することを皇帝の名において約束しよう!」
そう力強く、皇帝は言い放った
その姿を見て大臣達は驚きや狼狽した表情を変えより真剣な表情になる
ノーラやローゼも同様だ
すなわち皇帝のこの言葉で覚悟がきまったのであろう
俺はそんな皇帝に
「分かった。無闇に人の命を散らせるような要望は決してしない。だけど出来る限りは協力してもらうつもりだ」
と答えこれからの予定、すなわち帝国への要望を伝えることにした
……To be continued




