第5章・行動開始前夜
帝都の近くへと無事辿り着いた俺は今日は帝都に入らずに野宿をすることをみんなに伝える
理由は先にこれからの予定を話して一気にかたをつけた方が楽だからだ
万が一帝都に入って揉め事なんかに巻き込まれたりしてしまったらそれこそ理不尽な暴力を振るいまくるしか無くなってしまう
まぁどのみちそうなるかもしれないけども……
そんな感じの説明を俺が5人にしたところ特に不満や別の意見も出なかったのでいつも通りの野営の準備をはじめる
まずは着実に性能が上がってきている簡易結界を貼ったあとみんなの寝る場所を作りはじめる
寝る場所作りは俺の魔法によってパパっと整地されチャチャっといつものようにセリア達の寝具を設置したあとノーラ達の分も追加で設置した
俺はいつも1人別で寝ているので今はまだ準備する必要は無い
そうしてあらかた準備を終えた俺はさっきから期待の眼差しを俺に向けているリーニャとクロアの期待に応えるべく夕食の準備に取り掛かった
今夜の夕食も料理の完成品の貯蓄が皆無のために俺が作ることになる
料理スキルのおかけで俺が毎回作ってもいいんじゃないか?と思うかもしれないが俺の料理にはある大事なものが欠けている
それは料理のバリエーションだ
俺は切る・焼く・煮るくらいしか出来ないので俺の料理は本当にシンプルなものしか作れないのだ
なので味はまぁまぁ美味しいが飽きるので、街を歩いて散策して美味しかった売り物の料理なんかをちょくちょくストックしてる
俺の空間収納なら腐らないし温度変化もしないからそんなことをしてもなんも問題ない
そんなこんなで本当に適当に料理を作り終えた俺はそれをみんなに配り、夕食を取りながら明日の予定を話すことにした
まずは話をはじめる前に
「それじゃあこれから明日の予定を話していくから」
と前振りをする
何故わざわざ前振りをするかというと前振りしないと付いてこれないアホがいるかもしれないからだ
俺がそう言うと夕食を食べながらも4人は俺に意識を向けているのが分かったので話をはじめることにした
勿論リーニャは我関せずで黙々と食事中だ
「まず最初に言っておくと明日は短期決戦を目標にやっていくから。多少無茶をするけど心得ていてくれ」
と言ってから続きを言っていく
「それじゃあ言うぞ。明日の作戦は皇城に突撃、問題の奴らをとっちめる、それからさっさと逃げるだ!」
そう俺がめちゃくちゃな事を言うとノーラとローゼが驚きを顕にしている
反対にセリアとクロアは特に問題ないのか俺の言うことは絶対なのかわからないが至って普通の様子だ
そんな4人を見て俺は更に続きを
「とりあえず突入するのは俺とノーラだな。セリアとクロアとリーニャ、それにローゼは別の場所で少し陽動してもらう予定だ。まぁ陽動と言っても皇城の前で少し暴れてくれるだけでいいからな。俺が合図するまで兵士達と遊んでてくれ。てな感じだな、よし作戦は以上!」
とさらっと言う
そして俺の言葉を聞いたセリアとクロアから
「「分かりましたロア様(主様)」」
という反応をもらったのでもうこの話は終わりと言わんばかりに俺は夕食の続きをとりはじめた
すると
「貴方巫山戯ておりますの!?そんな適当な感じで何とかなるほど帝国は甘くありませんわよ!?」
とノーラが立ち上がると大声で俺にそう言ってくる
ローゼも俺を馬鹿にしたような視線を向けながらノーラと同じように怒っているようだった
まぁさっきの俺の台詞を聞いてそのまますんなり了承する奴なんてセリアとクロアとリーニャくらいだろう
多分希暗達が聞いてもなんか物申すに違いない
そんなプリプリではなく激おこぷんぷん丸並に怒っているノーラに対し俺は
「そんなこと言われてもな~、俺はいつもこんな感じだし。まぁ信じてくれとしか言えないな。それに俺の案より何か他にいい案があるの?」
と特にさっきの馬鹿げた言葉に対する反省する素振りもなくあっけらかんと言い放つ
さっきの作戦だって俺からしたら大真面目なものだし内容にはなんら問題ない
その俺の言葉を聞いたノーラは最後の、他の案があるのか?という部分を聞いて黙ってしまった
そもそも元々帝都に戻る予定もなかった上に怪しい奴らを倒そうなんて急に言われてそんないい案が浮かぶわけがない
それにもとよりこんな阿呆皇女とポンコツ騎士の考えた作戦なんてろくなものでないに決まっているので聞くつもりは最初からない
ただ反論させないためにそう言っただけだ
実際俺の目論見通りにノーラは言葉につまり今はローゼと2人話し合っている
その間もしっかりと夕食を食べている当たりしっかりしてらっしゃる
そんな感じで夕食も済み本当に俺の案で明日やっていくかと思っていたが、ノーラとローゼが寝る前の日課である魔法の訓練をする俺とリーニャの前にやって来ると
「代案が出来ましたわ!聞いてくださる?」
と言ってきた
まさか今までずっと考えていたとは思わなかったので思わず
「う、うん」
と返答してしまった
するとノーラは自信ありげにあまり膨よかでない胸をはりながら
「まず私達がわざと兵士に捕まりますわ。その時に貴方達は先程の周りから見えなくなる不思議な魔道具でこっそり後を付いてきてくださいな。そして私達がお父様と会えた時に姿を現し怪しげな大臣達を倒すというのはどうでしょう」
と言う
俺はそれを聞いて「はぁ~」とため息をついたあとノーラをしっかり見据えると
「それは駄目だな、危険過ぎる」
と言う
するとノーラは
「ど、どうしてですの!?貴方の作戦よりは遥かにマシだと思いますわ!」
と声を張り上げてそう言う
俺はそんなノーラに
「なら聞くが捕まったあとすぐに殺されないという保証はあるのか?それに皇帝に会えると思ってるのか?」
とノーラの案の問題点を指摘する
俺の指摘を受け言葉に詰まったノーラに俺はとどめの一言を一部に力をこめて告げる
「それに城の中は敵だらけでもはや敵の拠点といってもいいレベルなんだぞ?そんな危険だらけの場所に大事なこいつらを向かわせるわけにはいかない。いくら俺でも多数を相手にしつつ相手の領域で守れるのは1人だけだ」
そう言われたノーラは完全に言い返すことが出来なくなり棒立ちになる
ローゼも何か言おうとしていたが結局何も言ってこなかった
そんな2人に俺は
「俺を信じろ、俺はいつも適当だがやる時はやると決めてる」
そう言うと俺はリーニャに
「リーニャ、今日はもう寝るか」
と言うと何やら俺に秘密の訓練をしているセリアとクロアにも同様に伝える
俺の言葉を受けセリアとクロアとリーニャは素直を従うと早速寝る準備をはじめる
それを見て俺もノーラとローゼに
「もう寝るぞ、明日は朝早いからな」
と伝えると俺も寝るべく自分のすべきことをしはじめた
……To be continued →




