第5章・帝都到着
無事ポトンの街から出ることの出来た俺達は街から離れた場所で周りの安全を確認してから
「よし、大丈夫そうだな。それじゃあみんな姿を現していいぞ」
と俺が促すと3人は透明マント擬を脱ぎ、俺は魔法を解除して全員がお互いを視認できる状態にする
俺はその後何故か頬を赤らめながら若干興奮状態にあるノーラを降ろしクロアも青ざめた表情をしているローゼを降ろす
恐らくノーラは初めて空を飛べたことに感動していて、ローゼの方は高い所が苦手なのだろう
それぞれ
「私も自分で空を飛んでみたいですわ」
「もう空を飛ぶなんてごめんです………」
と対極の感想を漏らしていた
そんな2人にあまり触れずに俺は早速帝都へと出発するべく話を切り出す
「それじゃこのまま帝都に行くぞ。普通だと徒歩なら2週間ほどで馬なら5日くらいかかる距離らしい。だけど今回は急いでるからそんなに時間をかけるわけにはいかない。だからここはこれを使う!」
と後半の言葉に合わせて俺は空間収納よりあるものを取り出した
透明マントに続きやって見たかったネタである
5人はまたもや俺が取り出した物が理解出来ないらしくセリアが
「ロア様・・・私にはそれが野菜にしか見えないのですが………」
と困った様子でたずねてきた
勿論ノーラやローゼ、クロアも同じように困惑気味である
だがただ1人リーニャは
「次はどんな面白い物なの!?リーニャ楽しみ!」
と期待に胸を膨らませて俺の持っている物見ていた
確かに俺の持っているのは一見するとただの野菜、元の世界で言う南瓜である
ただ南瓜と言えば小さい子供なら1度見た時に不思議に思っただろう
あの名作〇ンデレラの魔法の馬車を
俺は早速実演するべく南瓜を少し離れた所に投げるとそれに向かい
「自作魔法・特異変形」
とわざわざ振り付けもして大仰に唱えた
この魔法は対象の物を俺の想像している形へとある程度変形させることができる
勿論無茶な変形は今のところ不可能であり変形させるためにもしっかりとしたイメージができてないと失敗する
更に必要な魔力も結構多い
だが今回はちゃんと何度もシュミレーションしていたので大丈夫だ
ここであの曲がBGMであれば完璧なのだがそちらは無理だった
なぜなら俺が超音痴だからだ
俺が魔法を使うと南瓜はみるみるうちに人が中に入れる馬車で馬に引かれる部分へと変形していく
これを見て再度俺は自分がやりたい放題を満喫している事を自覚した
少し経ったあと南瓜は完全に変形を終え6人程なら問題なく入ることが出来る大きさへとなったので魔法の発動を止める
もちろん今のままだとただ単に南瓜が大きくなり中が空洞になってるだけなので馬車っぽさは全くない
変形する南瓜を見てセリアとクロア、ノーラとローゼはまたもやわけのわからないといった風の様子であったがリーニャは一人だけ
「凄いの!こんなに大きい野菜は初めて見るの!」
とただ大きくなっただけの南瓜で喜んでいた
なので俺はこれをどう使うか説明していく
「帝都まではこれでいく。本来なら今まで通りの行き方でもいいんだけど今回はノーラ達がいるからな。ずっと背負っていくとしたら背負う方も背負われる方もきついだろ」
と言い、更に続けて
「とりあえず中に入ってみてくれ」
と言いみんなに中に入るように促した
そう俺に言われるとセリアとクロアはすぐに従いノーラとローゼは恐る恐るながらも中へと入る
リーニャは真っ先に突入しているので問題ない
俺は全員が入ったのを確認すると南瓜の中へと入り込んだ
南瓜の中は本当に馬車で人が乗る部分のように座る場所もあり側面には窓と扉も付いてある
ただ今は馬の代わりがいないのであの魔法の馬車は再現出来ないのだ
なので今回はただ巨大な南瓜に乗って移動する
これは外から見たらとてつもなくシュールな絵面に間違いない
俺は乗り込むとセリアとクロアの間に座る
対面にノーラとローゼ、俺の膝の上にリーニャがいる感じだ
そして早速移動を開始するべくまずは南瓜を俺の魔力によって包み込む
そして魔力で包みこみ自分自身としっかり固定されているのを確認すると飛行によって浮かびそのまま帝都の方へとかなりの速度で飛びはじめた
あらかじめどうやって移動するのを伝えられていなかったみんなは南瓜が飛びはじめた途端に少し驚きの様子をみせる
そして南瓜が飛んで移動しているということを窓から外を見て実感したセリアとクロアは
「こんな方法で移動するとは……流石です」
「これなら私の背中よりも安全で楽そうですね」
とそれぞれ感心しているようでリーニャは興奮しながらも外の景色を楽しんでいるようだった
ノーラも最初は驚きで固まっているようだったがリーニャが外の景色の感想を言っているのを聞いたことでそちらに興味が移ったのか窓から景色を眺めて
「素晴らしいです………こんな景色が見られるなんて」
と感動しているようであった
ただ1人飛んでいることを気づいたことによって絶望的な表情になりパニックに陥りかけていたローゼには以前の希暗達同様に夢の世界へと旅立ってもらった
こいつが騒ぐと思ったから先に飛ぶことを伝えなかったのである
そうしてしばらくの間俺達は空の旅を楽しみつつこれからの予定少し話しながらかなりの速度で帝都へと向かっていく
向かう場所が帝都であることに最初ノーラ達は反対してきたが俺の
「問題ない、任せろ」
のひとことでノーラが引き下がるとそれに従いローゼも黙った
またこれは後で気づいたのだがこの時俺は不可視化の魔法を使うのをすっかり忘れていてたまたま見かけた冒険者達によって新たな球体の飛行型魔獣が出たという話が広まったのは別の話だ
一応高度は高めで飛行していたので南瓜だとは気づかなかったらしい
そんなこんなで飛んでいくことおよそ数時間
予定よりも随分早い日が暮れるころに無事帝都のすぐ近くへと辿り着くことが出来たのだった
……To be continued →




