第5章・やっとこさ出発
次の日、俺は目を覚ますといつも通り辺りは薄暗いがいつも違う感覚に包まれる
(そう言えばここはダンジョンの中か。ふーん、ここはずっと薄暗い感じでなんかジメジメしてるんだな。たいてい夜明けの薄暗い時間帯に起きてたからいつもと同じ感覚かと思えばやっぱりダンジョンの中は感じが違うな)
いつもと同じ薄暗さなのにすっきりとはせずに不安にさせるような感覚になるのは、やはりダンジョンの中は本来危険と隣り合わせだからだろう
まぁそれから言えば野宿も大差ない気がするのだが
俺達の野宿は例の物のおかけで安全過ぎるんだけどね
そんなことを思いながら俺は起きると水を作り出して顔を洗った後みんなが起き出してくるまで武器や道具類作りに勤しむことにした
俺の能力では1回発動するにつき手の数である2個までしか作り出すことが出来ない上に初めて作るものにはやや時間がかかってしまう
しかも1回発動するとインターバルが必要なので魔力にものをいわせて物量で押しちゃえ作戦は使えないのだ
今は最初の時よりだいぶインターバルも短くなり1分あれば使える
なのでよく使う魔力吸収ができる剣等は何本がストックしていて、折れたら作る→取り出す→作る→取り出す的な感じでやりくりしているのだ
間に合わなかったりするような敵には普段使わない剣を使うから問題ない
実際に魔人の国とスリイアで邪神の従魔と引き連れてこられた魔獣達等と戦った時も折れまくっている
折れた後に消すことが出来るので残骸は残っていないが残っていたらそれだけで某アーチャーの魔法空間みたいな光景が辺りに再現されること間違いない
他にも魔道具は作れば作るほど理想に近づいていくので大量に作っては消し作っては消しを繰り返して段々と性能をあげていっている
いくら俺が化物的能力を持っていたとしてもこの世界のバランスをそう簡単には狂わせることは出来ないようになっているみたいだ
なので暇さえあればひたすら作る消す作業を繰り返していたりする
おかけで3人に渡してある腕輪は最初から比べると段違いに性能が上がっておりまだまだ上がる余地があるのだ
実際には魔道具だけの性能ではなく俺の自作魔法によって足されている効果もあるのだがこの自作魔法による能力付加も魔道具の性能が宜しくないと上手く発揮されないのだ
フロリアの本やあの折れた剣なんかは魔道具でもないがお試しでやってたら何故か成功したので例外である
まぁその他にも生活用品やポーション類等も結構作ってたりするのだがこちらもどんどん性能が上がっていたりする
布や服等は布が滑らかになり何故か防御力もあがっており、鍋や食器なんかはオリハルコンやミスリル並の強度を誇るようになっている
ポーション類は元より適当に調合しても最上級になるのだが今やそれが調合せずに生み出せる
俺特製のスタミナドリンクなんかはまだ調合してるが
そんな感じで生活用品やポーション類はこの世界の最高水準を突破しはじめてるのであんまり量産しないようにしているため普段愛用している奴以外は数点はなんかのために保存している
そんな感じで1人の時によくやっていることを黙々とおこなっているといつものようにセリアが一番最初に起き出してきた
起き出してきたセリアはいつものように俺に
「おはようございます、ロア様」
と言った後
「昨日はあの後どのような感じになりましたか?」
と聞いてきたので俺はそれに答える
「とりあえずはこの街を出てから帝都に向かう感じかな。多分この街への出入りは監視されてるだろうからちょっとだけめんどくさいけどな」
そう聞くとセリアは理解したと示すように頷くと自分の使っていた寝具を持ってこちらに近づいて来たのでとりあえずそれらを収納してやる
その後セリアがいるのでセリアの魔法の特訓を見てあげながら他の奴らが起きてくるのを待っているとクロア・ノーラ・ローゼが起きてきたのでリーニャを起こすのをセリアに頼んだ後、俺は朝食の準備に取り掛かった
朝食は2人分増えてるのでいつもより大きめの鍋にシチューという名のごった煮と買っておいたパンと卵を使った炒め物等大量に作れるものを作った
その後俺の料理を初めて食べたローゼと昨日のスープによって期待感を膨らませていたノーラから賞賛を受けつつも朝食を全員でとる
セリアとクロア、リーニャはいつものように美味しそうに俺の料理をみるみるうちに減らしていっていた
そして全員が朝食を食べ終わり後片付けを終えたころに俺は早速今日この後の予定を話し始める
「それじゃあこの後の予定を適当に話すよ。まずはこの街を出るところからだな。多分ノーラがこの街にいた事が知られたことでこの街への出入りは厳重にチェックしていると思う。だから各門を使ってこの街から出るのは無理だ。それで色々と揉めるのもめんどくさいから空を飛んで逃げることにした」
俺が空を飛んで逃げると言った時にノーラが素早く反応する
「貴方は飛行を使えるんですか!?」
そう言うノーラの目は昨日の転移を見た時同様に輝いている
俺はそんなノーラに
「ああ、使える。ちなみに俺達は全員使えるからノーラとローゼを誰かが抱えていく感じだな」
と答えた後
「2人とも誰と飛ぶ?」
とノーラとローゼに訪ねた
そう問われたノーラはローゼは少し考えた後
「では貴方にお願いしますわ」
とノーラは俺を指名しローゼはクロアを選んだようだった
ノーラが俺を選んだ時にセリアとクロアが嫌そうな顔をしたのは言うまでもないだろう
なんせ一緒に飛ぶってことは物理的な距離が必然的に近くなるということだからだ
そしてここからこの街を出るまでの手順を軽く説明した俺は忘れ物がないかを確認してからこの小部屋をあとにした
……To be continued →




