第5章・逃ーげるんだよ~
俺があまりにも軽く返事をしたことに対してノーラとローゼは驚き、セリアとクロアは少し嫌そうな顔をしている
ちなみにリーニャはまだ起きない
そして少しの沈黙の後ノーラが
「あの・・・本当にいいんですの?私に協力するということは帝国を敵にするということですのよ?」
と遠慮がちに俺に聞いてきた
流石に阿呆皇女でも自分達に協力することがどれほど危険なのか分かっているらしく俺に再確認してくる
それを聞いた俺は
(そもそも再確認するくらなら提案してくんなって話なんだい。まぁどうせ暴れるつもりだったし問題ないさ。てか聞き直さず受け入れろよ(´ー`))
って思ったのだが言葉には出さないように気をつけながら
「聞き直すなら最初から話を出すなよ、馬鹿か?」
と思っいっきり声に出してツッコミを入れた
ついつい心の本音が漏れてしまった
それを聞いたノーラは
「馬鹿じゃないわよ!馬鹿ってう方が馬鹿なのよ!」
とこちらの世界でもその言葉あるのか?といった台詞を言いローゼは
「貴様!ノーラ様を侮辱するのか!」
とまた怒鳴っている
うるさいので怒鳴るのはやめて欲しい
するとその声に反応したのかついにリーニャが起き出してくる
俺の膝の上で伸びをしたリーニャは目を擦りながら薄目で周りを見渡しあと周囲の様子を認識出来たのか俺の方を向くと
「ん~、ここはどこなの?ロア」
と聞いてきた
怒っているローゼとノーラを華麗にスルーするあたり流石リーニャである
マイペースな子供は時にありがたい
俺はリーニャに
「今はちょっとこの2人とお話し中だな。大分寝ていたが体調は大丈夫か?」
と軽く説明した後の体の具合を聞いてみる
するとリーニャは
「うん、いーっぱい寝たからもう大丈夫!でもお腹空いた!」
と元気であることを示すように溌剌とした声で答えてくれた
そう言えばアシュロンのいた部屋に入る前に食べた以降何も食べておらず現在は既に夜だ
昼飯の直後に激しい戦いをして体力も魔力もかなり使用した3人にとっては辛いだろう
そう思い俺はノーラに
「ちょっと話変わるんだけどさ、食事を取りたいんだけど食べてもいい?」
と聞く
全くもって空気を読まない発言なんだが俺だから仕方ないと思い諦めてもらう
そう言われたノーラは馬鹿にされたことに対して怒っていたのが戸惑いに変わると
「い、いいわよ。ついでに私達も食事にすることにするわ。私達はこの部屋に運んで貰うけれど貴方達はどうするの?」
と聞きかえしてきた
それに対し俺は
「あっ、それなら気にしなくていいよ。ここで食べるから」
と言う俺を不思議そうにノーラとローゼが見ている中俺は空間収納からさっき買ったばかりの食べ物をどんどん取り出す
一応この2人も買うところは見ていたはずなんだがまさかこんなふうに出すとは思ってはいなかったのだろう
そしてそんな驚いた様子のふたりを放置して俺はセリアとクロアとリーニャに
「今日は3人ともお疲れ様、もう少し休むことは出来ないだろうけどまずは満足行くまで食べてくれ」
と声をかける
そう俺に言われた3人は待ってましたとばかりに俺の取り出した食べ物へと手を伸ばす
そして3人は嬉しそうな表情を見せながらおもいおもいに食事を取り、今日消費したエネルギーを補給していく
その様子を俺は子供を見守る親のような感じで見つつ自分も適度に食べ物をつまんでいき、ノーラとローゼはただ唖然とし続けているようだった
そうして僅か10分足らずで3人がまともや買い足した料理を全て食べ終えたのを俺は確認した後椅子に座りリーニャを膝に乗せ、セリアとクロアにもう少しだけ後ろにいてくれと伝えたあとノーラへと向き直ると
「待たせて悪かったな、じゃあ話の続きをはじめよっか?・・・・そういやどこまで話したっけ?」
と声をかけた
俺に声をかけられた事でノーラは現実に意識を引き戻すと
「・・・・・さっきのはいったいどこから料理を取り出たのかを聞いてみたいところなのですが今は話を先にした方が良さそうですね」
と言ったあと1拍間を置いてから
「貴方は本当に私達に協力してくれると言うのですか?」
と真剣な表情で聞いてきた
それに対し俺が
「ああ、協力するよ。といっても少し別のやり方でやらせてもらうけどな」
と答えた時、何か大人数の団体がこの宿屋の方に向かってきているのを感知した
そしてそれらの反応の大きさからどうやらまぁまぁの使い手の集団であることも分かった
その集団は宿屋の前で一旦止まるとその中から2人中へと入ってき受付のある辺りへ向かっていく
俺はそこでなされているであろう会話を盗み聞きするべく意識をそちらへ傾ける
目の前のノーラが何か言ってる様だが今はそれは聞こえない
そして聞き耳をたてているとこんな会話が聞こえてきた
「こんばんは、どのようなご要件でしょうか?」
「うむ、我々は現在皇女を探す命を受けて捜索している。もしかするとこの宿屋に泊まっているかもしれぬ故協力願おう」
「私の記憶に寄りますとお客様中には確か皇女様は居られ無かった思いますが…」
「皇女は見た目を変える魔道具を使用しているとのことだ。だから我々もひと目では分からないため全員に尋ねていくことになる」
「それは困りますお客様。もう既にお休みになられている方もおりますので明日の朝というわけには……」
「これは皇帝からの勅命であるぞ!よって逆らう者は捕らえることができる。では調べさせて頂こう」
なんてことが聞こえてきた
何というタイミングの良さだろう
まさか皇女を探している奴らが来るなんて
俺はこの事を手早くノーラへと伝える
「ノーラ、お前を探しているらしい奴らが今この宿屋に来てるぞ」
そう言われたノーラは驚いた様子で
「本当に!?なら早く逃げないと、捕まったら帝都に連れ戻されちゃう」
と狼狽えはじめる
そんなことをしてる間にも次々とそいつらがこの中へと入ってきて全ての部屋へと向かっている
ここに来るのも時間の問題だろう
そう思い俺は有無を言わさずここから移動することにする
まずノーラとローゼに
「とりあえずここから逃げるぞ、ちょっとこっちに来い」
と言うとセリアとクロアを近くに呼ぶ
俺の言葉を聞いたノーラは
「え、どうやって………」
と何か言おうとしていたが無視だ
俺は全員が転移させれる範囲内に入ったことを確認するとそのまま転移を使う準備に入る
行き先はダンジョンにある即席の小部屋である
そして皇女捜索隊がこの部屋につくギリギリのタイミングで俺は転移を使用でき無事ダンジョンの小部屋へと移動することが出来た
……To be continued →




