第5章・変な人に絡まれた……のまき
男達は俺が黙っているのをいつも通りにビビっているのと勘違いしてくれたのか
「でどうするんだ?まさか俺達Bランクの冒険者にお前らみたいな初心者が歯向かうって言うのか?」
とわざわざ俺に対して威圧するように言ってきてくれる
いやぁ本当にこの手の奴はワンパターンな事しか出来ないのだろうか
真剣にそう思えるほど絡み方が同じだ
案外元の世界での知識も馬鹿にできない
周りにいる冒険者は初心者が高ランクの冒険者に絡まれているというのに助けることは無く、ちらちらとこちらを見ているものや見て見ぬ振りをして無視していくのが殆どだ
まぁこいつは本当にBランクらしいので周りで歯向かえるレベルの奴がいないって言うのが大きな理由だと思うが
だが今の俺にはそんなことを呑気に考えている余裕はない
何故なら早くこいつらに早く対処しないと俺を馬鹿にしたりすることをこの男達が口走ってしまうと後ろの2人が何をするか分からないからだ
なので今日は疲れていることもあって少々手荒な方法で対処させてもらうことにする
俺は無言のまま俺の前で威圧してきている男とその取り巻きでにやにやしている男達にだけ効果が出るようにユニークスキルを発動させる
勿論こいつらが泡を吹いて気絶するくらいの強さに調整してからだ
そして何をされたか分からないまま気を失い倒れていく男達を後目に俺は何事も無かったかのようにこの街を出るべく再び歩き始めた
周りの冒険者達は何が起きたのか分からずに唖然としているが無視だ無視
そのままそそくさと俺はセリアとクロアを連れてその場を立ち去った
その後街の中で食料を買ったりして歩き回っていると俺は感知スキルで俺が絡まれた後からずっと俺達を付けて来ている奴がいるのに気づく
普通に歩いている時はただの偶然かと思ったが俺達の買い物に合わせて立ち止まっているので完全に尾行だろう
反応は合わせて2人、どちらもスリイアの王国騎士団の一員くらいの強さであることが分かる
いったい何の用で俺達をつけているのか分からないがとりあえずトラブルの匂いがプンプンするので俺からは関わらない
関わらないったら関わらない
先程も絡まれたように俺はこの世界に来る前からもだが今までずっとトラブルを呼び寄せることが多かった
現在進行形で、である
だがそのように考えていた時点で俺はもう既に手遅れだったらしい
買い物を終え街を出ようと再び歩みを進めているうちにその反応2人がどんどんこちらに近づいてきた
そして
「そこの貴方、少しよろしくて?」
と後ろから声をかけられる
だがここは安定のスルーで無視して歩き続ける
だって俺が呼ばれてるとは限らないもん
というか俺じゃないもん……多分
なんて考えていると後ろからは
「ちょっと!どうして人が呼んでるのに止まらないんですの!?」
と喚く声が聞こえる
もう完全に俺に言ってることが分かる
セリアとクロアはそれに気がついたらしいが俺が止まらないので歩みを止めることは無い
そしてそのまま歩き続けているとついに痺れを切らしたのか反応の主が後ろから走ってきて俺の前へと飛び出できた
そして俺の前に立つと
「人が呼んでいるのに無視するとはどういう事ですの!?」
と言ってきたので
「・・・気づかなかったなぁ(棒)」
と適当に答えておく
するとその答えが気に食わなかったのか
「その言い方は嘘ですわね!?」
と言ってきた後に何かギャーギャー喚いているが今の俺にはそんなこと聞こえない
問題はその反応の主の見た目とステータスだ
今俺の目の前にいるのは金髪のツインテールで服装は冒険者といった風ではなく何故かドレスであるにも関わらず細剣らしきものを装備してる
まるで戦う王女様みたいだ
いや正確には戦う皇女様である
目の前の女はまじで皇女様であるのだ
俺がそれらを観察して、これから巻き込まれる厄介事を推測していると目の前の皇女はひとしきり言い終えたのか少し間を置くと俺を見据えて
「貴方私のものになりませんこと?」
と言ってきた
まぁ普通に聞けば勘違いすることなくスカウトだと分かるだろう
だーが俺の後ろには俺に関する事になると阿呆になる子が2人いるんだなっ!
その瞬間俺の後ろにいる2人から確実にヤルという意志が伝わるレベル殺気が放たれはじめる
そんなセリアとクロアに気圧された皇女は涙目になりつつ焦った様子で
「ち、違うのよ。別にそんな深い意味じゃなくて…」
と弁解しているが声が小さい
それが聞こえていないセリアとクロアからは
「ロア様、今すぐ始末しましょう」
「このような輩は即刻排除するべきです」
と殺る気に満ちた言葉が紡がれる
そんな2人に少しビビりながらも
「ちょっと待て2人とも、誤解らしいから落ち着け」
と俺は2人を宥めた後もう涙目になっている皇女に向けて
「とりあえず俺になんか用があるんだろう?聞くから少し場所を移そう」
と提案した
俺の提案を聞いてすっかり腰が抜けて地面に座っている皇女は首をぶんぶんと縦に振って同意を示してくれる
そうしてセリアとクロアを鎮めることが出来た頃もう一つの反応の主が皇女へと駆け寄ってきた
多分セリアとクロアに気圧されて今まで近寄れなかったに違いない
その騎士の格好をした女は尻餅をついて腰が抜けている皇女に近づくと
「貴様ら、皇女様にこのような仕打ちをしてもいいと思っているのか!たかが冒険者如きいつでも処刑にできるのであるぞ!」
と言ってきてはいるがいまいち迫力にかける
実際にまだ足ガクブル状態だし
まぁ俺ですらビビる2人の威圧を受けたのだから無理もないだろう
俺はその言葉を無視して女騎士に支えられながら立つ皇女に向けて
「でどこで話を聞けばいいんだ?」
と聞く
するとまたもや女騎士が何か言おうとしていたがそれを皇女が遮ると
「私達が部屋を取っている宿屋があるの、そこでお願いするわ。付いてきて頂戴」
と言うと街を出るのとは違う街の中心に向かう方へとは歩き始めた
少し予定が狂ってしまったが話を聞くといった手前今更断るわけにもいかないので俺はセリアとクロアを引き連れて2人の後に着いていく
厄介事の匂いしかしない2人を見ながら俺は溜息をつくのだった
……To be continued →




