第5章・VSアシュロン③
アシュロンが吹き飛び魔法が消えるとセリアとクロアはその場に倒れるように座り込む
2人とも体力もそこを付いているし、魔力切れをおこしているため身体も暫くは動かないだろう
最初に魔力切れをおこしてダウンしていたリーニャは既に俺の背中でぐっすりおやすみ状態である
俺はすぐさまリーニャを背負ったままセリアとクロアの近くに行くと
「2人ともお疲れ様、とりあえずこれ飲んで少しは動けるようにしといてくれ」
と言いうと色々とポーション類を手渡した
何故急いでいるかというとまだ戦いは終わっていないからである
俺が2人にポーション類を渡し終えた頃、瓦礫の山の中から再びアシュロンが飛び出してくる
流石に2人の全力魔法を真正面から受けてしまったためオーラでも全てを打ち消せずに身体中傷だらけ血塗れで羽も一枚欠損しているがまだまだ戦闘を続行することができる様子であった
スキルで反応の大きさを見てみてもまだ少し余力があるのが分かる
アシュロンは瓦礫から飛び出で再び空中に浮くと
「お主達の力は賞賛たるに値する!全力の我にここまでのダメージを与えることができるとは思いもしなかった。だがまだ邪神とその従魔達と戦うには力が少し足りぬ、更なる力を我に見せてみよ!!!」
と大声でいうとアシュロンの身体の傷がみるみるうちに治り始めた
恐らく魔力があり神格化が続いている間はあんなふうに傷や怪我はすぐ直せるのだろう
そして再び完全な状態に戻ったアシュロンは再び大剣を召喚すると、まだ動けるまで回復はしていないセリアとクロアを狙うかのように俺達方へと向かってくる
それを見た俺はもう2人が限界なのがはっきりと分かったので後は引き継ぐことにする
アシュロンはまずはセリアに狙いを定めたのか接近してくるとセリアへと大剣を振り下ろす
それを俺は腰にぶら下げてあったお飾りの剣で容易く受け止める
俺に受け止められたことが信じられなかったのかアシュロンは驚いた様子で一旦俺から距離をとると
「・・・お主はいったい何者なんだ?我の一撃はそう容易く止められるものでは無いぞ?ましてや只の人間には到底不可能なのだが」
と俺に興味を移したのか聞いてきた
それに対し俺は
「至って普通の冒険者さ」
と適当に答えたあと続けて
「もうこいつらは戦闘続行不可なのは見てわかるだろう?試練は終わりじゃないのか?」
と聞き返す
俺の問いを聞いたアシュロンは
「この者達の力では邪神共と戦うにはまだ足りぬ、それにここに来たということは女神達からそう信託を受けたのであろう?ならば覚悟を示してもらわねばならん」
と返してきた
アシュロンの言葉の中に少し気になる点があった俺は再び問い返し問答をはじめる
「女神からの信託とは?俺達はただこのダンジョンを攻略していただけなんだが」
「女神達からの加護を貰ったときに信託を受けたもしくは女神達に会ったのであろう?」
「いやただ気がついたら加護貰ってただけなんだが………」
「そんなはずはあるまい、女神の加護を受けし英雄候補が各種族から現れし時は邪神共の影響が出る前兆のはずだ。そしてこれから起こりうることに対しての信託も降りるはず」
「それなら既に邪神の従魔と戦っている。それにしても女神の加護がついたのは最近だぞ?」
「なに!?既に始まっているというのか・・・・それで今までに戦ったのは何体だ?」
「戦ったのは2体だな、一応1体は完全に封印してあるから残りは1体のはずだ」
「その2体はこの者達が倒したのか?そうとなると些か力不足のような気がするのだが」
「あぁ、それなら倒したのは俺だ。こいつらはこれからに向けて今強くなっていってるのさ」
と俺が言うとアシュロンは今までの雰囲気から一変し怒りを露わにすると
「ふざけるな!女神達の加護も無いたかが人間風情に倒せるわけなかろう!それにお主は人間の英雄候補ですらないではないか!」
と怒鳴ってきた
それを受け俺は平然と
「なら試してみろよ」
と言うとアシュロンに剣の切っ先を向けた
先程から随分馬鹿にしてくれたので少しばかり痛い目に合わせても問題ないだろう
それにちょっとばかしこいつをボコっておかないと頑張ってくれた3人に申し訳ない
俺が挑発をするとアシュロンはすんなりとそれに乗ってくれ怒りを強めると
「粋がるなよ人間風情が!先にお主を排除してくれる」
と言うとオーラの出力をあげ威圧感を増してきた
それを見た俺は少しは動けるようになったであろうセリアとクロアにリーニャを預けると
「ちょっと待っててくれ、あいつボコってくるから」
と笑顔で言うとお手軽魔法である自作魔法・鉄壁結界を使い3人に被害がいかないように結界を貼る
本来なら腕輪があるので問題ないのだが先程の戦いでセリアはアシュロンの攻撃でクロアはアシュロンの放つオーラによって本人達の知らぬ間にどんどんダメージを受けており腕輪の魔力もかなり少なくなってきているので頼れないというわけだ
そして俺は3人がしっかり結界で守られていることを確認した後アシュロンに向かって
「1分で方をつけてやる」
というと躊躇いなく威圧感を放ちはじめた
そして
「召喚・魔剣」
と言う右手に魔剣を召喚するとそのままアシュロンへと向かって跳躍した
……To be continued →




