第5章・ちょっと予想外
俺が2人の強さに感嘆している間もずっとセリアとクロアは未だにどちらが早く倒せたのかのいい争いをしている
「私の方が早く倒せました!だからこの勝負は私の勝ちです」
「何を言ってるんですか?私の方がどう見ても早かったじゃないですか。いい加減負けを認めてください」
「クロアこそ早く認めたらどうですか?見苦しいですよ」
「それはこちらのセリフです。あなたこそ自分の負けを認められないようでは主に愛想を尽かされますよ?」
「なっ!?それ言えばあなたもロア様に見捨てられるのではないですか?」
「っ!?仕方ありませんね。ここはどちらが勝ちだったのか主様にお聞きしましょう」
「そうですね、ロア様に聞いて白黒つけましょう」
と言いながら俺を巻き込むことが決定したようで2人は俺の前へと歩いてくると
「「どっちが早く倒せましたか!?ロア様(主様)」」
と威圧感たっぷりで聞いてきた
それに対し俺は
(え〜〜、これどっちが勝ったのかをはっきり言ったらこの後が面倒くさそうだなぁ………よし決めた、こうしよう)
と一瞬で考えをまとめると期待の眼差しをこちらに向けている2人の方を向いて
「2人ともごめん、ちょっと引っかかる事があって考え事をしていたんだ。だから2人が問題なく勝てるって分かってからはよく見てないんだ」
と半分嘘半分本当の事を申し訳なさそうな表情を作って言った
勿論実際はどっちが先に魔獣を倒し反応を消滅させたのかは分かっている
それを聞いた2人は
「「そうですか……」」
と少し落ち込んだ様子をみせる
だがこのままでは再び言い争いになるのが分かっているので俺は再び口を開くと
「でも2人とも本当に強くなってるな。さっきの魔獣なんかはSランク相当なのに余裕がある戦いぶりだったしな。これからも頼りにしているぞ2人共」
と言いながらセリアとクロアの頭を軽く撫でる
困った時は笑顔で頭を撫でる
これでこの2人なら大抵なんとかなる(確信)
実際その通りでありセリアとクロアは嬉しそうにしているのでなにも問題ない
少しの間撫てから俺は2人の頭から手を離す
すると2人共名残惜しそうにしていたがハッとしたように何かに気づいたクロアが
「主様、先程言われた気になることと言うのは何なんでしょうか?」
と真剣な表情になって聞いてきた
それを聞きセリアも真剣な表情になると俺の答えを待つようにこちらに眼差しを向けてくる
それに対して俺はボス部屋に入った時から疑問に思っていたことを2人に話すことにした
「それなんだけどな、実はこの場所から下に魔獣の反応が一切ないんだ。今までなら下の階層の魔獣の反応を捉えることは出来てんだけどな、今はここから下には何の反応もない」
と俺が言うとセリアが
「ではこのダンジョンの最下層はここということなんでしょうか?」
と聞いてきた
その問いに俺は
「多分そうなんだろうと俺も思う。だけどちょっとこの部屋の奥にさなんか今まで無かった扉があるだろ?その先に大きな反応が一個あるんだな。多分今までのダンジョンにいた奴の中でもとびきり強い」
と返す
俺の言葉を聞いた2人は少し驚きつつも俺が指さす方向へと目を向ける
俺の言った通りに俺が指差す方向には今までのボス部屋には無かったような扉がひっそりと構えられていた
2人は扉を確認した後そちらの方向に意識を向けている
恐らく俺の言った反応があるかどうか、またその大きさから推測できる強さを測りたいと思ったのだろう
だが少しした後セリアもクロアも悔しそうな表情をすると
「すいません、私には感知出来ないみたいです」
「私も同じく感知出来ません、申し訳ないです」
と言ってきた
それもそうだろう
多分あの扉には中の気配を伺えないように魔法が施されているうえに反応の主は相当な力量であると伺えるので恐らく隠蔽技術もかなりのものだと思う
まぁそんなもん俺には関係ないんだが
俺は落ちこんだ様子の2人に
「2人が感知出来ないのはあの扉のせいだな、多分特殊な魔法が施されている。だから分からなくても仕方ないよ」
と言って励ましたあとに
「じゃあちょっと休憩した後に行ってみるか。ここがダンジョンの最下層っぽいし次のラスボスみたいなの倒したら終わりだと思う」
と続けた
俺は内心最下層が120層とか言う情報どっから来たんやとツッコミを入れながらも幾許か疲れた様子であった2人を休ませるために少し早いかもしれないが昼飯の準備をそそくさとしはじめる
セリアとクロアも俺の指示に従って昼飯の準備を手作ってくれている
そして今まで存在感空気であったリーニャは俺が昼飯を取り出しはじめると匂いにつられたのか起き出してきてさっそく食事をとりはじめていた
まぁ魔力は凄いが体力はまだまだ俺達について来るには足りないので眠るのは仕方ないし一応戦闘していたのでお腹も空いていたのだろう
セリアもクロアも俺が取り出した食事(勿論宿屋からパクったやつ)を黙々と食べていく
俺も美味しそうに食事をとる3人をみながら適当に食べ物をつまんでいく
俺はまだ今日は戦闘しておらずあまり腹が減っていないため3人を優先して食べさせることにした
そして宿屋から頂戴した食べ物も底を尽き、今まで色々な街でちょくちょく手に入れてきていた食べ物類全てまで消費され尽くしたあとにやっと3人は満足したらしい
それを見て俺は
「じゃあそろそろ行こうか、準備は大丈夫?」
と3人に聞く
それに対し3人は
「「「はい(うん)!」」」
と元気よく答えてくれたので俺は手早く後片付けをするとボス部屋の奥にある扉へと向かっていった
……To be continued →




