第5章・ダンジョン攻略(其ノ弍)
昼休憩を終えた俺達はとりあえず今日の目標である70層到達を目指して先へ進む
本当はその先もいっておきたいのだがこの世界のダンジョンは攻略の続きから入ることは出来ないので一旦入口に戻るとまた最初から行き直しである
それに入口にすぐ戻ることも出来るのが各ボス部屋の奥にある小部屋にある転移陣でしか無理であるのだ
しかもその転移陣は誰か先人が設置してくれていないと存在しないので70層以降にはないはずなのでそれ以降に行ってしまうと入口まで自力帰還しなければならないという鬼畜仕様
まぁ俺の場合途中から入るのも入口付近に帰るのも転移できるので問題ないが
てなわけでまず今日は70層までを目指してやっている
だから明日は70層から攻略出来るといったわけだ
一応120層とかいわれているが実際何層か分からないのでセリアとクロアの消耗具合を考えたら妥当なところだろう
51層からはDランク以上の魔獣しか出ない上に数が多くなってきている
まだ特殊地形でないぶん楽だが決して油断はできる場所ではない
はずなのだがセリアとクロアの前では数が意味をなさないのか魔獣達がどんどんミンチ肉に変えられていくのを俺は後ろからみながら付いていく
ちなみにリーニャも昼飯を食べて覚醒したのか
「リーニャは最強の魔法使い〜♪」
とか言いながら2人に当たらないように魔獣に向けて魔法を使っている
本来はD以上の魔獣には大して効かないはずの初級魔法のみでこんなちっちゃい子供が即滅していくのは傍から見たら開いた口が塞がらないだろう
まぁそれは前衛で無双している2人にも言えることだけれども
その間俺も戦闘に関しては何もしていないが罠の指摘又は発動させてしまった時は即座に解除を行っているので決して暇をしてる訳では無い
そんなふうに攻略を進めるうちに早くも60層のボス部屋にたどり着く
情報によるとここのボスはキングゴブリンとその取り巻きのゴブリンシリーズとの事だ
まぁ普通にいけるかと俺が思ってセリアとクロアに声をかけようとすると突然リーニャが
「ここのボスはリーニャが倒したい!」
と言い出した
それを聞いたセリアとクロアが少し困ったような表情をして俺の方に対処を求める視線を向けてくる
そしてリーニャは期待に満ちた目で俺の顔をのぞき込むようにして首にしがみついている
3人からの視線が刺さっている俺は少し考えたあとリーニャの今の力とボスの強さを考えた上で
「じゃあリーニャちょっとやってみるか、多分魔法でなんとかなる相手だしな。セリアとクロアは万が一もあるから戦闘態勢で待機しといてくれ」
と伝えた
するとそれを聞いたリーニャは
「やったぁ〜、ロア大好き!」
と言いながら俺の首を締める力を強めてきた
これはリーニャにもう少し筋力値があったら洒落にならなかったかもしれない
また俺の言葉を聞いたセリアとクロアも
「分かりましたロア様」
「了解です主様」
とそれぞれ同意をしてくれたので俺はリーニャを降ろすとまずは一応渡しておこうと思ったものを空間収納から取り出す
俺が取り出したのはお巫山戯で使いリーニャが結構気に入っていた魔法少女が持っているようなステッキすなわち杖だ
これはあの時使ったただの玩具ではなく普通に一級品の武器として使える
前に魔法を専門に使う魔人達が杖を持っていたのでリーニャもあればさらに強くなるのかと思い作ってみたのだった
勿論今持たせてる木の枝みたいな杖も強いがこっちの方が気分ものるしいいと思ってのことだ
俺はとり出した物を
「これは魔法の威力を高める武器だ、リーニャにあげるから使ってみて」
と言いリーニャに差し出す
するとリーニャは
「これ前にリーニャが使ったやつだ!可愛いから欲しかったの、ありがとうロア!」
といって杖を受け取るとそのまま飛びついてきた
俺はそれを優しく受け止めて少しの間リーニャの鯖折りもどきを喰らってからリーニャを降ろすと
「じゃあ行ってみるか、リーニャ1発で決めちまえ!」
といいながら一歩前にでて扉に手をつける
そしてリーニャが
「リーニャは最強の魔法使いなの!どんな敵でも一撃で滅するの!」
といい魔力も練りはじめ準備万端のようだった
それを確認した俺はセリアとクロアに目配せをしてから扉ら開けた
扉を開けると中には一際大きなゴブリンとそれの周りに数十体の様々な種類のゴブリンが確認できた
恐らく一際大きなやつがキングゴブリンで間違いないだろう
ゴブリン達は俺達の姿を確認するとこちらに向けて威嚇するように雄叫びを上げている
それを見て俺は
「よしリーニャ、魔法を・・・・」
とリーニャに言うと思ったがリーニャの行動の方が早かった
リーニャは俺達の前に一歩出ると
「一撃必殺、喰らえ俺の最強魔法!」
とまるで誰かと同じような台詞を言った後に
「特級火魔法・火炎地獄」
とリーニャが今使える範囲型の最大威力魔法をなんの遠慮もなくぶっぱなした
だがここで1つ問題が生じる
実はこの魔法は密室で使うものではない
というより使ってはいけない
その事をリーニャには説明したはずなのにすっかり忘れていたようで魔法を打った後に
「あっ………」
とやってしまったことに気づいたようだ
何故この魔法が密室でやってはいけないのかというと少し考えて欲しい
部屋の中でキャンプファイヤーをやったらどうなるのか
そうこれはとんでもない熱量の炎を撒き散らし全てを燃やしていく魔法
つまりその時発する熱量も半端ではなく、辺りを襲う熱風も凄まじい
よって密室で使用すると確実に使用者にも被害が出てしまうのだ
更に酸素も無くなるのでマジやばい
俺はリーニャがこの魔法を使った瞬間にリーニャを素早く抱き上げると後方で待機していたセリアとクロアの元へ一瞬で移動すると
「上級水魔法・包囲水守壁」
と唱え俺達を包むように水で壁を作り襲い来る熱量と熱風から3人を守った
魔法相性と俺とリーニャの魔力の差的に上級魔法でも特級魔法は防ぐことができる
そして無事防ぎきったあと魔法を解除してみるとボス部屋には黒ずんだダンジョンの床や壁、そして燃えカス以外には俺達以外何一つ存在していなかった……
……To be continued →




