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第5章・第1次呂阿争奪戦(物理)

《side セリア&クロア》



少しだけ時間が戻って呂阿が2人に少し休むことを告げてから呂阿が眠りに落ちた頃

クロアとセリアではどちらが呂阿のそばで2人を見守り、どちらが辺りの警戒をするかで揉めていた


「ロア様とリーニャちゃんの側には私が付きます。だからクロアはそこら辺で真剣に警戒でもしておいてください」

とセリアがクロアに邪魔者を追い払うように言う

それに対しクロアも負けじと


「いいえ主様の側には私がお仕えします、あなたの方こそそこら辺で真面目に警戒でもしていたらどうですか?」

と言い返す

それを受け更にセリアは


「私の方がロア様をお守りするのに適しています。それに私の方がロア様と長い付き合いですから」

とクロアを挑発する

そして再びクロアも


「どうせ大した差ではないでしょう?それに私の方が主様をお守りするのに適しています、何故なら私の方があなたより強いからです」

と言葉を返す

そしてクロアのこの言葉が2人の争いを激化させる引き金となる


「何を寝ぼけたこと言ってるんですか?人化しているクロアよりは私の方が強いに決まっているじゃないですか」


「あなたこそ寝ぼけてるんじゃないですかね?人化の状態ですら私の方が強いに決まってます。だからさっさとあなたはどっかに行ってください、私は主様の側で主様をたっぷり眺めるんですから!ついでに膝枕でもすれば完璧です!」


「私だって久々のロア様とのゆっくりとした時間です、譲るわけには行きません!・・・どうやら1度クロアとはどちらが上かはっきりさせた方がいいみたいですね…」


「いいでしょう、受けて立ちます。前からあなたには敵意を持っていましたのでここでどちらが上かハッキリさせておきましょう」


「私だってクロアには敵意を持っています。突然出てきたくせにロア様に馴れ馴れし過ぎるんです!」


「それを言うならあなたはいつも主様の隣にいたじゃないですか!幼いリーニャちゃんは許せますが主様の横で嬉しそうにしているあなたは許せません!」


「やはりお互い気に食わないようですね。ではどちらがロア様に相応しいかここで決めましょう」

とやり取りをした後、ヒートアップしてしまった2人は呂阿とリーニャが寝ている場所から少し離れた所で向かいあうように立ち睨み合う

そして何の合図も無しにほぼ同時に戦闘を開始した



対立直後まず動いたのはクロアであった

クロアはすぐさまセリアに接近すると素手と足による接近戦を開始する

一応武器なども使えたりはするが元が龍なだけあってやはり得物はない方がしっくりくるのだろう

クロアの全力での攻撃は遠山・近山クラスではまるで見ることも出来ずに即殺されてもおかしくないレベルの速度かつ無駄のない動きに洗練されていた


だがセリアもそんな攻撃をただ喰らうようなレベルでは無くなっている

速度に関してはクロアとセリアではセリアに軍杯が上がるためセリアはクロアの全力での攻撃を交わしつつ、こちらも全力で細剣レイピアを使った攻撃を繰り広げていた

しかし流石はクロアである

身体に魔力を循環させることで魔獣独自の身体能力の上昇方法を行うことによってセリアの細剣レイピアの攻撃を喰らうものの傷一つつかないでいた

ちなみにこの魔力の循環と操作によって身体能力を上昇させるのは特段魔獣独自という訳では無く魔力操作が上手く出来、魔力量が多くあれば誰でもできる

何故魔獣以外が使わないのかというと単にステータス不足なのと身体能力強化の魔法があるからだ


そして2人はしばしの攻防ののち単純な近接戦闘では埒があかないと判断し一旦双方距離をとる

そしてセリアは何の躊躇いもなく魔力を練り上げると


「改作風魔法・風雷槍エアロスパークスピアー

とセリアが使える魔法のなかでもかなり強力な一撃をクロア目掛けて繰り出す

ちなみにこれはロアがセリアやリーニャにも使えるように既存の魔法を改良した自作オリジナル魔法であったりする

もちろん威力と魔力効率はお墨付きだ

しかしこれを大人しく受けるクロアでは無い

クロアも自身の魔力を練り上げ片手に凝縮すると


「特殊魔法・黒竜之息吹ブラゴネスブロア

と龍形態の時のブレスと同じ威力を効果範囲を狭めたものを発動する


そして2人の魔法がぶつかった時中心地にはクレーターができ辺り周辺には地響き・爆音が広がる

ちなみに呂阿が目を覚ましたのもこれが原因だ

更にこの爆音は王都の方にも聞こえており再び軽い混乱に陥ってしまったのは迷惑な話だろう


その後も2人はまるで本当にどちらかを排除するかとのようなに全力で攻撃をしはじめる

もう既に模擬戦というレベルではない気迫だ

各ステータス面ではほぼ全てにおいてクロアがセリアに勝っており魔力量もかなりの差がある

しかしセリアは今までの戦闘技術やスキルを巧みに使うことによってクロアと渡りあっていた

細剣レイピアと素手による接近戦が行われていると思えばすぐさま魔法の撃ち合いがはじまる

こんな感じで2人は衝突を繰り返す


この戦闘一般人が傍から見れば何が起きているのか分からないような2人の戦闘だが、ある程度のレベルのものから見れば別格の強さのふたりがほぼ互角の戦いを繰り広げているように見えただろう

ちなみに呂阿は少し離れていたところからでも何が起きているのか見えているしリーニャも大方全てが把握できている

すなわちこの場の4人はこの世界の基準からはみ出した者達というわけであった


そしてその後も少し加減を忘れた2人による戦闘が繰り広げられた後、セリアとクロアの戦いが更に白熱していきふたりが再度接近戦をはじめようとした時

セリアの細剣レイピアを指2本で摘み、クロアの全力一撃を軽く片手で受け止める化け物が乱入する

2人はその人物をみてハッと気づいたように固まる

そしてその人物、つまりこの争いの原点とも言えるべき存在である呂阿に


「2人とも何をしていたのか説明してくれるよな?」

と冷たい声で言われた2人はまるで蛇に睨まれた蛙のように怯えてそれぞれ


「い、いえロア様…これは…」


「あ、主様…こ、これはですね………」

と2人してどもりながら言い訳をしようとするが

再び口を開いた呂阿の


「ちゃんと全部説明してくれるよな?」

と言う笑っていない笑顔により黙りこんでしまう


そうしてセリアとクロアによる第1次呂阿争奪戦はまくをおろした






……To be continued →

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