第4章・事情説明パート1
《side フロリア達》
本から急に声が聞こえたことで一瞬一同は驚きによって動きが止まる
すると再度
「あれー誰もそこにいないのか?いたら反応してくれ〜」
と再び間の抜けた声が発せられた
それを聞いたフロリアが
「・・・もしかして呂阿ですか?」
と答える
すると本から
「おっ、その声はフロリアか。今そこどこ?周りに他に誰かいる?」
と声が聞こえてくる
それに再びフロリアが答える
「今は希暗様のお部屋にお邪魔しています。部屋の中にはわたしとリア、それに希暗様のお仲間の計5名です」
それを受け本(を介して呂阿)は
「なら大丈夫だな。じゃあフロリア、その本を床に置いて少し離れてくれ。聞こえてると思うけど他の奴も離れててくれよな」
とさらっととんでもないことを言う
本を使って通信することでさえとんでもないことなのにさらに転移までするときた
本当に呂阿はこの世界の技術をゆうに超えている
それを聞いたフロリアは持っていた本を部屋の中心部に置き距離をとった
同じようリア・希暗・桜前・白月もそれぞれ距離をとる
それを確認したフロリアは
「指示どおりに床に置いて全員距離をとりましたよ呂阿」
と本に向かって声をかける
すると本から
「分かった、じゃあ今からそっち行くぞ」
と聞こえてきた
それを聞いた一同がどうやってくるのか?と首を傾げていると急に本が光り出す
そして本から魔法陣が浮かびあがり部屋の中が一瞬閃光に包まれる
その光の眩しさからフロリア達が目を閉じて再び開けると本のあるところに3人の人影があった
そしてその中の1人が
「無事成功だな、案外なんでも出来ちゃうもんだな魔法って」
と呑気にいう
その声の主は先程本から聞こえていた声と同じで呂阿であった
他のふたりは言うまでもなくセリアとリーニャである
その光景にフロリア達はただただ驚くことしか出来なかった
《side change》
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時は遡りまだ希暗達がそれぞれの役割をしているころ
呂阿は湖でリーニャとセリアと呑気に遊んでいた
遊びの内容は様々で最初は2人に石切を教えて誰が一番行けるかを競っていた
ちなみに勿論ハンデで2人の回数はセリアは出来た数の2倍、リーニャは5倍したものを俺と比べる
こんなにハンデをあげてもいいのかと思うかもしれないが魔法を使えばこれくらい必要になると思ったからだ
まずは2人にお手本となるべく説明する
「俺の知っている遊びで石切っていうんだけどな。こうやって平べったい石を水面に向けてなげて何回跳ねるかを競うやつだ、まぁちょっと見てろ」
と説明でもないような説明を軽くすると俺は初級土魔法・土球を魔力操作によって形を変えたあと強度を上げる
そうすることで石よりも強固な土の塊の出来上がりだ
俺は作り上げた者を適当なフォームで投擲した
勿論力はかなり抑えてある
すると俺の投げた石擬は20回ほど跳ねたあと湖の中央付近で沈んでいった
それを見たリーニャは
「それ面白そう!リーニャもやってみる!」
とさっそくやる気でセリアも何も言わなかったが目が光っている感じがしたので恐らく興味はあるのだろう
俺はそうして2人のために大量の石擬を生産すると3人でしばし投げまくった
そしてほとんど俺が勝ってしまったことによりリーニャが
「リーニャが勝つまでやる!」
と言い出ししまい本当に俺が負けるまでやってしまった
その間セリアもリーニャも共に20回ぐらい平気に超えるくらいの腕前になり投げた石擬の数は恐らく4桁に到達してしまったと思えるくらいであった
そうしてその後も魔法の試し打ちや湖で水上スキーのような事をして遊んでいると夜もいい更け具合になってきたので俺はみんなに会いに行くために昼間フロリアに渡した本に仕掛けた小細工を発動する
ちなみに仕掛けたのは自作魔法の位置特定と通話可能化である
これによって俺は本の周りの状況と本を通じてその近くにいる奴との会話が出来るのだ
しかもその場所に転移できる
もう何でもありな気がしてきたが気にしないでおこう
とりあえず俺は本の周りの状況を見てみると周りには魔力の波動からフロリア・リア・希暗・桜前・白月がいることが分かった
そして他にはいないっぽいのでまず声をかけてみる
「あーテステス、只今マイクのテスト中。こちらをKRA、誰か応答出来ますか〜?」
と言う
しかし誰も声を返してこない
魔法の失敗かなと思いつつ再び声をかける
「あれー誰もそこにいないのか?いたら反応してくれ〜」
と言うとフロリアが反応してくれた
それから俺は転移してその場所に向かうべくフロリアに指示を出す
そして準備が完了したようなのでセリアとリーニャを呼ぶと
「今から王城に行くから」
と短く伝え
リーニャを肩車し、セリアの手を握るとさっそく転移をした
そして無事本のある位置に移動が完了する
そして固まっているフロリア達を見ながら呑気に
「無事成功だな、案外なんでも出来ちゃうもんだな魔法って」
と俺はぬけぬけと言い放った
……To be continued →




