卒業
私、美月有紗は、今日、卒業します。
うわー、寂しいなぁ。
それに、チア部もすっごい心配なんだなぁ。
奈緒とか安藤さんとか、大丈夫かなぁ?
めちゃくちゃ心配。
本っ当に、大丈夫じゃなさそう……。
チア部がどうか、廃部だけにはなりませんようにっ!!
まあ、人数多いから大丈夫かとは思うけど。
仲間割れが心配だなぁ。
高校近いし、たまに見に来なくちゃなぁ。
「美月先輩、ご卒業おめでとうございますっ」
安藤さんがそう話しかけてきた。
私はにっこりと笑って言う。
「ありがとう。来年度は頑張ってね」
「は、はいっ!! 美月先輩みたいになります!!」
いや、私みたいになるのは、よした方が良いと思うよっ!?
本当に。うん。
「あ、えっと……頑張ってね。安藤さん」
そんなこと言えないけどさ~っ。
言えるはずないじゃんか。
『私みたいになっちゃだめだよ』
なんてっ!!
無理無理。
「美月先輩?」
「あっ、何でもない。じゃあ、行くね」
私は安藤さんと別れて、卒業生のところに行った。
「有紗、もう卒業だね。桃も、喜んでるかな……」
私の仲良しの、そして、桃の仲良しの杏樹が言った。
桃……ごめんね。
私が見てなかったから。
私のせいだから。
「杏樹、私のせいなんだよね。桃が入院するハメになったのは」
「有紗……そんなことないよ。落とした子が悪いんだから」
そう、私は知らない。
落とした子を。
私は、知りたい。
卒業するまでに。
今日中に。
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私がやっていることは間違ってない……と思ってる。
でも、違うの?
私は、ベットに寝ころびながらそう思う。
あの時、先輩を落としたのは私なのに。
いつまでもウソを続けるつもりなの?
そんなの、ダメだ。
美月先輩が卒業する前に、私が言わなくちゃいけない。
もちろん、かばんのことも。
私は、学校に電話をかけた。
この足じゃ学校には行けない。
「もしもし。あの、同じ部の美月有紗さんと会話したいんですが」
『はい。しばらくお待ちください』
先生の声だった。
多分、教頭先生だ。
そして、美月先輩が出た。
『はい。誰ですか?』
「あ、美月先輩。奈緒です」
『奈緒っ!? どうしたの? こんな時に』
美月先輩はとても驚いていた。
どうかしたのかな……?
「あの、美月先輩……」
言うんだ、言うんだ私。
『どうしたの?』
「私が、桃先輩を、落としたんです。ごめんなさい」
『えっ……?』
終わった……。
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『私が、桃先輩を、落としたんです。ごめんなさい』
「えっ……?」
電話の奥から聞こえてきた、奈緒の声。
私はその言葉に驚きすぎて、全然言葉が出てこなかった。
桃を落としたのは、奈緒?
そんなこと……。
私は、とてもショックだった。
さらに、私の心が潰れるかのような、ショックなことを告げられた。
『美月先輩のかばんを焼却炉に持って行ったのも、私なんです』
泣きそうな声だった。
でも、泣きたいのはこっちだよ……。
私は、ずっと奈緒を信じてたのに。
やればできる子だと思って、叱って、褒めて……。
私は一人前のチアダンサーになれるように、精一杯サポートしてきたのに。
奈緒には届かなかったの?
「奈緒には……分からなかったの?」
私は、冷たい一言を発した。
奈緒がびくついているのが、見なくても分かる。
奈緒は、どう思ってるの……?
『ごめ……なさい。言えなかった。怒られるのが怖くて。でも、
いつまでも嘘ついてるのも怖くなって、美月先輩が卒業する前に、今電話したんです』
奈緒……。
奈緒も分かってくれてたんだね。
「分かった。かばんのことも、もういい。でも、桃に謝って。あんたの病室の近くだろうから」
私はそう言った。
奈緒は、『分かりました……』と言って、電話を切った。
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やっば……。
桃先輩に謝る?
許してくれるはずないじゃん……。
でも、私は挑戦する!!
えっと、桃さんの部屋は……となり!?
私は看護士さんに桃さんを連れてきてもらった。
「何の御用ですか」
桃さんは冷たかった。
しらっとした顔で私を見ていた。
私が落としたこと、知ってる?
じゃあなんで、美月先輩に言わなかったの?
「あの、落としちゃって、本当にごめんなさい!!」
「じゃあなんで、すぐに謝りに来なかったの?」
あぁ……つつかれた。
こういう時は、なんて言えば?
あぁ、もう適当だぁぁぁ!!
「あの、勇気がなくて」
「もう一年以上経ってるのに?」
「と、とにかく、ごめんなさいっ!! 美月先輩に、もう言いましたから」
「いらないこと……」
は?
なんか、私嫌われてる?
「とにかく、用件はそれだけなんなら、もう帰るわ」
「え、はい……」
あとから、看護士さんが言った。
――――あの子はツンデレなのよ。大丈夫。許してくれてるサインだから。
ツンデレ……。
とにかく、許してもらえてよかったぁ……。
私は、チア部に復帰した。
ちゃんと、これからは頑張りますから、心配しないでくださいね。
――――――美月先輩?
終わりました!!
少し長かったですが、お疲れですか?
これからも頑張りますので、応援お願いします!!




