かばん
「美月有紗っ……。見てなさいよ。
私が恐怖のどん底に突き落としてやるんだからぁっ!!」
私は少し笑いながら言った。
これを焼却炉に入れちゃえばっ……!!
人気者にはなれなくても、美月有紗ならどーにかできるでしょ。
「ふふっ、ふふふふふっ。あーっはっはっはっははは!!」
私はこらえきれずに笑ってしまった。
もう、止まらないわ。
この笑い!!
見てなさいよ、美月有紗!!
私が必ず、見返してやるんだから!!
絶対に、リーダーの地位を奪ってやるんだからっ!
そう、絶対に、ね……。
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「いくよーっ。せーのっ!!」
私は掛け声をしながら上の子を支える。
年上が支えた方が、安定感があるからね。
あの時のことがあったから……。
桃……。
元気かな……。
あの時、落とした奴を、私は一生許さない。
あの時、私は休んでいたから、見ていなかった。
許さない。
絶対に許さないっ!!
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二人の思いはすれ違っていた。
有紗は、桃を落としたのが奈緒だと知らなかった。
しかし、有紗は桃を落とした奴を憎んでいる。
ということは、有紗は気付かないうちに奈緒を憎んでいたのだった。
一方、奈緒は、有紗を憎んでいる。
その理由は、偉そうだからと、リーダーだからといばっているから。
しかし、有紗には当てはまらない。
つまり、奈緒の一方的なものなのだった。
そのことをお互い知らない。
だから、こんなことが起こっていたのだった。
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「奈緒は早退したの?」
私は部のみんなに聞いた。
誰か知っているはずだ。
「分からないです。多分、いないから保健室にいるのでは……?」
もうっ!!
なんで、敬語なのかなぁっ。
別に今は部活中だし、いいのにっ。
まあいいや。
「じゃ、ちょっと保健室行ってくる。来てないなんて、
よっぽど悪いんじゃないかな。誰か一緒に来てくれない?」
「あっ、私、行きます!」
人一倍部活を頑張っている安藤さんが言ってくれた。
私は、なるべくそういうのを見ているつもりだ。
どうせだから、行くときに伝えよう。
「ねえ、安藤さん。」
「はい。何でしょうか?」
もう。
そんなにかしこまらなくてもいいのに。
「あの、いつも部活頑張ってくれてありがとう。だから……」
「きゃあぁぁぁ!!」
えっ、なにっ!?
誰の声?
「行こうっ!!」
「あっ、はいっ!!」
私たちは走った。
声のした方に。
「どうしたのっ?」
そこは、焼却炉だった。
帰宅部でうちのクラスの島川さんがいる。
「島川さん、どうしたの?」
「あっ、美月さん。あの、あれ……。」
島川さんの指差す方を見ると、そこには女の子がいた。
何か黒っぽいものを持っている。
何あれ……?
今日は全部燃やす日なのに!!
あの子も一緒に燃えちゃうじゃん!!
「止まれぇーーーーー!!燃えちゃうよぉぉ!!」
私は叫んだ。
すると、その子が振り返った。
黒いものを落とす。
何あれ、かばん……?
燃やすつもりだった?
「ゃっば!!」
女の子は何か言うと、かばんを置いてどこかへ行ってしまった。
私たちは、かばんを見に行った。
そして、私は絶句した。
かばんが、私のものだったのだ。
「ひどいっ……。美月先輩のかばんを燃やそうとしてたなんて!!」
安藤さんがそう言った。
あの子、なんのつもりだったの?
私に、何か恨みでもあるの?
何だったんだろう。
「美月さん、あの子、きっと一年か二年よ。三年はいなかったもの。」
「えっ?」
「私、教室で寝てたから。気付かなくて、ごめんなさい。」
寝てたんだ!!
じゃあ、気付かなかったとしても、誰か来たってことなんだ!
三年じゃなかったとしたら……。
っていうか、部活に出てなかった人ってことだから、特定できるよね。
島川さんを信じよう。
うん。
信じることが大事だよ。
絶対。
「とにかく、もうかばんは無事だったんだからいいんだよ。」
「でも、絶対犯人は見つけましょうね!!」
あ、安藤さん……。
何でそんなやる気あるの?
「安藤さん、大事にしたくないから、このことには触れないで。」
「えっ?でもっ……」
「大丈夫だから。ね?」
「はいっ。」
ほっ。よかったぁ。
あ、さっきのこと言わなくちゃ。
「あの、安藤さん。」
「はい?」
「あの、さっきの話なんだけど、私が卒業したら、リーダーになってくれない?」
「えぇぇぇぇ!?私がですかっ!?」
驚きすぎだよ……。
そんなに信じられないかな?
安藤さん、終わった後も残って練習とかしてるし、絶対向いてるよ!!
「いつも残って練習とかしてるし、絶対できると思うんだ。」
「えっ、見てたんですか!?恥ずかしいです……。」
うわぁ、かわいい……。
恥ずかしいとか、かわいすぎるよ。
私、絶対こういうの棚に上げちゃうよ。
偉いなぁ。
私も頑張らなくちゃ。
チームの子の体調管理とかね。
うんうん。
長かった。
疲れた。
以上。
ばいばい。




