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現れたヒーロー達!?果たして彼らの望むことは!?




     語り部

朽葉   悪魔

曙    少女

東雲   少年


死色   殺し屋

朱色   殺し屋


珊瑚朱  白群

納戸   白群

萌黄   白群

常盤   白群






「*****。」

 優しい悪魔はシニカルに笑った。

 誰もがみせられる妖艶で美しい笑顔。

「さあ。選べ、ここからどうなるかはお前次第だ。」

 悪魔の両手には、子供の腕が握られている。

 二人。

 少年と少女。

 意識はない。

 だらりとぶら下がっている。

「お前が救えるのは一人。一人はお前の下へ。もう一人は私の物だ。殺すかもしれんし、殺さないかもしれん。ふふっ。さあ選べよ少年。」

 いかにも楽しそうに笑う。

「それとも……………お前が私の下に来るか?いいだろう。面白い。そしたらこの二人は離してやろう。」

 月明かりに照らされる。

 美しい悪魔は逆光に照らされ、シークレットと……なる。

「もうひとつあるとしたら…………………私を殺すというのがあるぞ。」

 無理だがな。と悪魔は付け足す。

 シニカルな笑いは続く。

「どうした?もう答えは出たんじゃないのか?なあ?少年。」

 答えは一つと言わんばかりの口調。

 少年は答えた。


「■■だ。」


 その答えに美しい悪魔は笑った。

 大笑いした。

 その答えを求めていたかのように。

「ははは………はははははは!お前ならそう言うと思っていたよ!愉快だ!愉快愉快!今夜は祭だ!楽しい!」

 はーあ。と美しい悪魔は息を吐いた。

「いいぜ。それでおーけい。」

 美しい悪魔は二人の腕を離し、少年の方へと歩く。

 そしてーーーーーーー少年を指差した。

 否、指刺した。

「……………うぐぅ………。」

 少年は倒れる。

「みんな生かさず殺さずだ。それならお前の望み通りだろう?」

 美しい悪魔はシニカルに笑う。

 ーーーー選ばないを選んだ少年は美しい悪魔の手によって闇に堕ちた。



***********



 白群、菫、撫子、洒落柿、桔梗、浅葱。

 殺し屋。

 白群が一位。

 浅葱が七位……となっている。

 一言で言えばファミリー。家族である。

 殺し屋に生まれたものは殺しの世界で生きることを義務づけられる。

 ーーーーーーそういう風に育てられる。

 狂ったものである。

 一般人はそんな存在を知らない。知っていても近づかないだろう。

 そんな殺し屋たちが戦争を始めようとしている。

 その戦争が始まれば殺し屋はともかく、一般人も死ぬ。

 ーーーーーー絶対に。

 それを止めようとしている、悪魔。綺麗で美しく妖艶な悪魔。

 朽葉。

「朽ちていく葉。はかなく、美しいだろう?私の様だ。」

 と悪魔は言っていた。

 お前は朽ちていくのか!?といいたかった。


 そして、僕たち三人は朽葉に連れられ、ここにいる。


「兄貴。私達は何するの?」

「聞いてなかったのかよお前。」

 右から話し掛けて来たたのは曙。

 幼女だ。

 五月蝿い奴だ。

 身長は百十センチ前後。

 服は学ランに朱いスカート。

「きいてたもん!途中から眠たくなってきただけで………。」

「よくわかった。寝てたんだな。」

「煩いもん!」

「だって。朽葉。こいつに説明をもう一度。」

 といいながら左を見る。

 美しい悪魔。

 ーーーーーーが眠そうにしていた。

 美しくて無敵の悪魔の筈なんだけどな。

「ああん?めんどくせぇ。勝手に動け。以上。」

「……………よく分かりました。」

 駄目だこいつら。

「東雲に聞いたらどうだ?あいつなら聞いてるだろ?」

「東雲は聞いているでしょうけど説明は出来ないですよ。」

「…………ああ。そうだな。」

 僕の背後に朽葉は目をやって言った。

 僕の背後には少年が一人。

 東雲。

 意識がぶっ飛んでる奴。意識が疎いというか………。

 でも、話は基本聞いている。

 外見は曙より二、三センチ小さく上はセーラー服。下はズボン。

「あけぼのは勝手に動けばいいの?兄貴?」

「朽葉に聞けよ。」

 曙は朽葉の方向に向く。

「朽葉さんそれでいいんですか?」

 僕と朽葉の時の態度が全く違げえ!

 なんてやろうだ。

「うん。ただし、東雲と一緒に行動しろよ。」

「分かりました。しかし兄貴に「二人とも可愛すぎるから別々に行動してくんねーと俺が萌え死ぬぜ!だから宜しく!うひゃひゃひゃひゃ!」って言われたんですけど………。」

 そんなこといってねぇ!

 一人称、俺じゃねーし!

 曙め………………。

「駄目だよ。こいつは………ロシコンだから。」

 なんか朽葉に悲しい目で見られてる!?

「ロシコンってなんだよ……………。ロリコンだろ?」

「く!くーーーー朽葉さん!ここにロリコンって認めた人がいます!」

「かかったな。」

「罠だったのかよ!?僕はロリコンじゃねぇ!」

「本物のロリコンは自分の事をロリコンだと自覚していないらしいですよ。兄貴。幼女も立派な女性なんですって。……………………………まさか兄貴も………。」

「違う。………筈だ。僕はロリコンじゃない。」

 つうか曙、僕にも敬語。

 ラッキー。

「どうでもいい。二人とも黙れ。」

 朽葉が呆れた口調でいう。

「すみません。」

「ごめんなさい。」

 謝る。

 僕らの服従関係は完璧だな!

 流石、朽葉様!

「話戻すぞ。」

「はい。」

「これから向かうのは殺し屋国際会議。」

「そんなのあるんですか?」

「嘘だ。そんなものない。」

 おちゃめですね!朽葉さん!

 でもすこし分かりずらいです!

「じゃあ結局、何処に向かってるんですか?」

「白群の本拠地。」

「一番強い所………ですか?」

「そう。」

「どうしてですか?」

「さあ?」

 笑う朽葉。

「馬鹿じゃないのー?兄貴。一番強い所を潰せば終わるでしょ?」

「………あぁ。そういうことか。」

 潰せば終わる。という言葉はおおざっぱ過ぎるが………。

 その通りだろう。

 白群を弱らせれば、今は抑えることが出来る。ということか。

 まぁ解決にはなってないけど。

 終わりはする。

 終わらせるだけなら簡単………か。

 その通りだな。

「でも、僕等で敵うんですか?そんなに強い奴らに。」

 そう。

 僕ら、(僕、曙、東雲)はコロシとやらを始めてからまだ半年しかたっていない。

 敵うのか?そんな奴らに僕らは…………。

 …………と。

「無理に決まってんだろがぁ!!」

 朽葉は叫んだ。

 …………叫んだ?

 朽葉が……叫んだ。

 くく朽葉が!叫んだ!

「-----お前らは弱いんだよ。だから私が強いんだ。弱いときは死ね。強いときは生きろ。分かったか?」

 ひでえ!

 でもかっこいい!?

 なんか隣で曙がキラキラした目で朽葉みてるし!

 おい!曙!お前は死ねといわれたんだぞ!分かってるのか?いや。分かってない。こいつ馬鹿だから!

「じゃあいくぞ。」

 と朽葉が発し、僕らは進もうとしたーーーーーー。



「そいつはやめて欲しいなァ。」


 後ろに立っていたのは少年だった。




***********



 少年と言っても東雲より身長は高い。

 僕より少し小さい。といった程度。

 といっても僕が朽葉にたまに少年と呼ばれるのだから少年といってもいいだろう。

 しかし、ここまで近くに来ても分からないとは…………。

 いや、朽葉は気付いていた。僕の背後をみたとき東雲の方より少し後ろを向いていた。

 あえて、突っ込まなかった。

 ひでぇ。

 可哀相に。

「おにィさんだかおねェさんだかしらねェけど、白群の所に行くんだろォ?そいつは困るなァ。強いのか?弱いのか?相手してやんよ。」

「……………。あぁ。てめぇ白群の野郎か。………え……と、私らは『スーパーミラクルシニカルユニセフカラクルサイクルカラフルラスイチキラキラスペーススペックタチキリチェーンツッコミナックルヌードルハリキリハラキリフジヤマリーダーネコソギカラオケヤサクレヘッポコサイコロラジカル体操隊。』よろしく。」

 なが!

 意味わかんねぇ!

 ラジカルとラジオ間違えて理解してる!ラジオ体操だよ!

 覚えられねぇ………………。

「ふゥん?スーパーミラクルシニカルユニセフカラクルサイクルカラフルラスイチキラキラスペーススペックタチキリチェーンツッコミナックルヌードルハリキリハラキリフジヤマリーダーネコソギカラオケヤサクレヘッポコサイコロラジカル体操隊。ねェ…………………だせェ。」

 覚えた!スゲェ!

 そして、その意見はおおいに合ってる!

「ださくないもん!」

 曙が叫んだ!?

 何故そこまでキレる!?

「あッそう。てめェら名前は?」

「くっちー。」

 と朽葉。

 くっちー!?

「あっけーだもん!」

 と曙。

 あっけーは流石におかしいって!

 おっけーを噛みました!みたいな!

「くッちー。にあッけーな。んでお前は?」

 といって敵さんが僕を指差す。

「僕に名前なんてないよ。」

「はァん?お前面白いなァ。よし。お前。」

 面白そうに僕を見る。


「オレと殺ろうぜ。」


「やだ。」

「はァ!?遊ぼうぜ!」

 嫌だよ。めんどくさいし。

「くっちーどうすっ!…………ればいいんですか?」

 吹いた。

 自分で言ってて吹いた。

 くっちーって!

「吹いたな?お前、そいつに殺されてこい。」

 怒られました。

「は……い。えっと。敵さん宜しくお願いします?」

「おゥ。よろしくな!じャあ殺ろうぜ!」

 楽しそうにいう。

「おい。弱い時は死ね。強い時は生きろ。じゃあ、先行ってるからな。」

 と言って歩いて行った。

「いくぜェ?」

 風のように相手は飛び上がった。


第一ラウンドスタート。



***********



「朽葉さん。良かったんですか?」

 と曙が聞く。

 ついでに曙、東雲、朽葉は走っている。

 風のように早い。速い。

「よかったんだ。あれで。私達は先に行く。あいつなら勝てる。」

「へぇー?兄貴が。しばらく会ってなかったんだけど、強くなったんですかー?」

「いいや。強くはなってない。」

 首を緩く振る朽葉。

「ん?じゃああけぼのとしののめで行ったら良かったんじゃないの?ですか?」

「そうだな。あいつなら行けるかなって思ったんだよ。」

「あけぼのにはよくわかんないです。」

 ふて腐れながらいう曙。

 可愛いしかない。

「ほら。そんなこといってる間にもうついたぞ。」

 立ち止まる。

「へぇ。思ってたより小さいなぁ!!」

 嫌味かぁ!?

 と言っても五階建て。

 思っていたよりも大きい。

「やっぱり最上階にいるのか?」

「じゃないですか?東雲に聞きます?」

「聞かなくていいよ。自分で探す。のが楽しいだろう?」

「そうですか。」

 少し残念そうに言う、曙。

「入るかぁー。」

「先入!!」

「あれ?その漢字だっけ?」

「合ってますよ。」

「まぁいいや。」

 いや、違いますよ。

 潜入です。

 先入観とかっていう意味です。

 主人公帰ってこい!

「と、言う前に一人でてきたぜ。」

 曙、東雲、朽葉の前に現れたのは死んだ目をした、女だった。

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。」

 死んだ目で何も言わずナイフを取り出した。

 ナイフというより、手裏剣?

 少し大きい手裏剣に見える。

「あけぼのとしののめの出番ですね。」

「………そうだな。私は中に入る。あいつが通りすぎたら中に入ったといってくれ。」

「生きてましたらね。」

「いきてるに決まってるだろ?」

「そうでした。」

 朽葉は建物の中に入る。

 曙はため息をついた。

「曙、東雲。漢字、イメージ。カラフル、虹色。同じ色、負けないよ☆」

 相手は手裏剣を両手に構える。

「つ………………い」

「なにかいった?」

「んーーす………」

「?」

「たーぁぜろぅ」

「?」

「まーーーー」

「うざい!」

 曙は叫ぶ。

 しかし、相手はきにせずに続ける。

「るにぃ………。」

 ツインスター002?

 得物の名前?

 と曙は考える。

「名前は?」

「ふふふーーーーーーーー…………………………ふ。たぁ-」

「たぁ?」

「のしぃ。」

 ズコッと曙はこけた。

 名前じゃないのかよ!みたいな。

「名前は!?」

 指をたてぶんぶんとふる。

「なーーーーーーーー」

「うん。」

「まぇぇ?」

「名前、ネーム。分かる?」

「わか……………る。」

 曙と東雲の敵は頷く。

「じゃあ答えて。」

「納戸。」

「なんど………ね?じゃあ宜しく。」

 曙と東雲は刀を構えた。


第二ラウンドスタート



***********



 そのころ、主人公。


「ひャッはァ!お前弱いなァ。オレらの世界じャァ通じないぜェ!」

「……………っ。」

 敵さんのデスサイスを受ける。

 一手一手が重い。

「お前の武器何て言うんだァ!?」

「……………薙刀。」

 日本の伝統的な武器。

 薙刀。

「薙刀ァ?あれかァ!?そんな刃で切れるのかァ!?ぎゃははははは!」

「馬鹿にするなよぅ。」

 しょぼーんとする。

 僕が弱いだけだもん。

「ほらほらほらァ!?しんじまうぜェ!?」

 といって間を詰めてくる。

「名前教えてよ。」

「あァ?なまェ?珊瑚朱だよ!!」

「珊瑚朱君。だね?」

「あァ。」

 デスサイスを薙刀で薙ぎ払う。

 そのままクルッと回して木で殴る。

 そして、刃で切る-------

 なんて、出きなかった。

 デスサイスで抑えられる。

 強いなぁ。珊瑚朱君。

「むー。」

「弱音かァ?」

「ちげぇよ!」

 デスサイスと薙刀がぶつかる。

 ぐっと力を入れる。

「力。」

「え?」

「弱ェェ。」

 それを珊瑚朱君が言った瞬間体がういた。

 押し負けた。

 押された勢いに乗って壁にぶつかる。

 肺が押し潰される感覚。

「………………っう……………。」

「弱ェェ。弱ェェェェェェ!」

 珊瑚朱君は僕の方に走ってくる。

 ダンッと。

 ふみよる。

 デスサイスで押さえられてしまう。

「…………痛いよ。」

「まず、武器離せ。」

 いつにもまして真面目な表情で言う、珊瑚朱君。

「…………はい。」

 カランと薙刀を落とす。

 やばいよ。

 殺される。

「良く出来ました。」

 圧力がかかる。

「……っ。」

 肺が潰れる。

 逃げなきゃ逃げなきゃ。

「お前らなにしに来たんだ?こんなとこまで。ここ白群の家だぜェ?」

「しらない…よ。」

「ふゥん?お前、


白群に入るか?


楽しいぜェ?」

 僕が白群に入る?

 嘘だろ?

「捕虜かなんかなの?なら無駄だと思うなぁ。くっちーなら-----」

「ちげェよ。くッちーはつよいだろ?あいつは。オレが言ってるのは普通に入る。仲良しだ。お前、殺すことを恐れてるだろ。そんなんじゃ、オレには勝てねェぜ?」

「恐れてるってなにさ?」

「殺すという、コウイ。殺されるという、ジジツ。」

 ………………五月蝿いなぁ。

「裏切れば命は救ってやるぜってやつ?」

「……………聞くなよ。」

「僕は、裏切ればいいの?白群さんにはいればいいの?生きたいなら?」

「そうだよ。お前はセンスがある。だから恐怖を無くせ。オレが鍛えてやる。」

「知ってる?」

「なにをだよ。」


「僕が四人の中で一番で強いんだよ。」


 僕は笑った。



***********



「もう!もう!もう!もう!あけぼの疲れた!」

「…………………………………………。」

「誰か話せよ!あけぼのが寂しい人みたいじゃん。いやだもん!あけぼのは友達いっぱいいるもん!」

「………………ふひ………………。」

 曙、東雲、納戸。

 のラウンド。

「あけぼのばっかじゃんじゃん!デデーン!皆のヒーローだもん!あけぼのの人気が上がっちゃう!」

 手裏剣もどき(ツインスター002)と刀。

 リーチは刀の方が長いから有利。

「慮るってさー、おもんぱかる!?おもんばかる!?どっちな!の!」

「…………………しり…………………ませんよ…………………………ぅ。」

「知っててよ!」

 刃と刃がぶつかりカキンカキンとリズミカルに音を鳴らす。

 東雲、曙で刃は二つに対して納戸はツインスター002を一つ。

 しかし、納戸はすべてさばく。

「なんど強いもん!なんで!?」

「………………………………………………………………………………………………………………………………。」

 納戸は首を傾げる。

「もう!会話しよう!」

「知りたい…………で……………………………………………すか………………ぁ?」

 死んだ目で曙を見つめる。

「知りたいけど!みないでよ!あけぼの、こわくて無理!だもん!」

「嘘……だぽん?-………………………………なん………………か……………………きい……………たことあ………る。」

「嘘だぽんなんて言ってないもん!なんど!なんで強いの!?」

「……………死んじゃうから。」

 納戸は簡潔に述べた。

「死んじゃうぅ?ってなに?」

「白………………群で…………………は弱………………い…………と殺さ………れち……ゃうんで……すぅ。」

 弱いと殺される?

 使えない奴は消せ?

 そんなものなのか?

 と曙は思考する。

「………わた…したちいちは………゛ん強い。……………で…もいちば……をすくな………ぁい。」

「強いのしかいないから強くて?強いのしか生きていけないの?」

 納戸は曙に近づく。

 ダンッと踏み込む。

 そして、当たり前の少女のように笑う。

 かわいらしい笑顔。

 納戸は曙に囁く。

「…………………だから私達は狂人のふりをしなきゃいけないんです。強くなくちゃいけないんです。弱いなら待っているのは死。闇。暗。それだけなんです。死にたくない。死にたくない。それだけ。だから私は強くて、白群も強いんです。貴女が行っているとは思いませんが、塾とかでありませんでしたか?一番馬鹿はいじめられる。ある一種のゲーム。それと一緒です。大人達としては馬鹿はやめるし、いじめられたくないから成績は上がる。一石二鳥なんですよ。それとも一緒。私達は白群に飼われているんです。以上。」

「…………なんど?」

「ひみぃ……………つで………………す………………よぅ?」

 納戸はゆらりと揺れる。

「悲しい、哀しいね。それは嫌だ、厭だ。楽しく、愉しくなくちゃ。ね?あけぼのは………。」

 曙の頭の中で思考する。


 そんなものなのか?


 ---大好き。


 ---ならなんで?


 ---あれ?


 ---なんで真っ赤なの?


 曙が何かにさしかかった所でフッと意識が飛んだ。

 倒れる。

 何かに引き摺られるように。

 まるで、誰かが彼女の意識を制限しているかのように。

 倒れる。

 曙が倒れる直前、東雲が目を見開いた。

 クワッと。

 虚ろな瞳で曙を見る。

 なんで?と言いたげな表情で首をかしげる。

「……………………………………………………………………ふふ……………………ふ?…………………お…………はよ…ぅ。」

 納戸が話しかけるが、東雲は反応しない。曙しか見ていない。

 この世界には曙しかいないかのように。

 見つめる。

「………………………………わたぁ……しと…同類ら…し……………いで……………す…ね……………ぇ。…………………………た―の……………しぃ。」

 首をかしげる。

 分からないよ。と言いたげに。

「こ……………ろ…しあ………………い…………………し…………ま……………しょう……………?」

 東雲はこくんと頷き、それが合図だったかのように、納戸を切りつけた。

「………………………………………え?」

 数秒。

 肉眼では確認できないスピード。

 上半身と下半身が真っ二つになる形で。

 納戸は倒れた。

 というより上半身が落ちた。地面に。ドスンと。

 致命傷。

「……い………………やだ。いや……だ。いやだ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!死にたくない!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にタくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくナい死にたくなイ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死ニたくない死にたくない死にたクない死にたくない!」

 東雲は虚ろな目で納戸に近づく。

「ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。なんでもしますから!許してください!赦してください!」

 懺悔の言葉を繰り返す。

 東雲は首を傾げた。

 ワカラナイヨ?


東雲は四人の中で一番恐ろしい。


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