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柘植みお




柘植みお。


それは、死んでしまった俺の彼女の名前。




中2の頃からずっと付き合っていたけれど、中学を卒業して高校生になるまでの春休み。


彼女は血を浴びるように死んでいた。




まあ、これは聞いた話だけど。








俺がみおが死んだと知ったのは、高校の入学式。



『首席入学なんて夢みたいだなー!入学式で生徒代表の挨拶とかあるみたいなの。今から緊張しちゃうー。』



そう言っていたはずなのに、当日の挨拶をしたのは知らない男。







一緒に登校しよう、というメールにも返事がなかった。


でも、挨拶に緊張してメールなんて返してられないのかと思った。



そのくらい、恥ずかしがり屋な子だった。







「先生。」


「なんだ?」


「あのー、新入生代表挨拶って…柘植みおって子じゃなかったんですか?」




みおは、人に嘘がつけるようなタイプじゃない。





「あ、あぁ。君は西中学校かい?」


「はい。」


「そうか。それで柘植さんのことを…。」


「みおは今日は休みなんですか?」


「いや……。」


「?」


「大変言いにくいんだけど……柘植さんは亡くなったんだよ。」










「……………は?」




この時、ちゃんと声が出せていたのか疑わしい。


時間が止まった気がした。


全ての色を失った気がした。





先生のその言葉で、全ての辻褄があった気がした。










全てを知ってしまった俺は、涙も出なかった。




俺とみおが付き合ってたこと、そういや藤宮ぐらいしか知らねーな。


そっか。


だからみおが死んだってこと、俺に伝わってこなかったのか。







まるで客観的に自分を見ているような感覚。


引くくらい冷静な自分。








「笑わせないでくれ。」



誰も笑っちゃいないのに。


こういう時に出る言葉って、不思議なくらい何の意味も持ってはいなかった。







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