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2 出会い


「どういたすのじゃ。手違いとはいえあろう事か三人も召喚してしまうとは・・・

こちらに責任がある上に、勇者様に準ずるかもしれない方々なのだぞ。

ぞんざいには出来ん。」

「一人、二人なら兎も角・・・」

別室で国王を始めとするお偉方が三人の待遇をどうしたものかと

顔を見合わせ議論している。


「書物によりますと、先代勇者様は金の髪に青い瞳と記載されております。

桃髪に金目、金の髪に紫の目のお二人は勇者様の可能性が高いかと存じます。」

識者がここぞとばかり意見する。


「そうじゃな。あのお二人は城に滞在いただくとして

ありふれた黒髪黒目の者は如何したものか。」

「丁度、シュナイダー辺境伯爵が上都しておられるのでは?

彼の領地は奇しくも勇者様が魔王を討伐された歴史ある地。

シュナイダー領で引き取って貰っては如何かな。」


「それは名案であるな。都合の良い事に彼の地は辺境。

王都から離れておるから簡単には戻ってこれまい。」

「”元居た場所に帰らせろ”などと色々煩くされてもたまりませんからな。」


そんな話し合いが成されたとも知らない三人の待つ部屋へ

ぞろぞろと煌びやかな団体が移動する。


大きな扉が開き、神殿長と呼ばれていた老人、立派な髭に豪奢な衣装の壮年の男性

続けて国の有力者らしき人々。最後に騎士が扉近くに控えた。


「重鎮たちとの話し合いで、そちらのお二方は城にご滞在される様に

黒髪のあなた様は勇者様の活躍の地を訪れ、勇者様のご功績を讃えた

記念の碑に参拝して頂いたのち、しばしシュナイダー領にご滞在い頂きたい。」


「私だけですか?」…まあ、あの二人と一緒ってのも不安しかないんだけど・・・

「そのようにして頂きたい。勇者様が魔王討伐を果たした領地であれば

異世界に帰る手掛かりが見つかるやもしれんでのう。」


私達三人の待遇は話し合いの通りに決まり

私は時を置かずしてシュナイダー辺境伯との面会となった。


「はじめまして。わたくし、ヘンリー・シュナイダーと申します。

王命によりあなた様とシュナイダー領迄ご一緒させて頂きます。

途中勇者様記念の碑にご参拝の後わが館にてご滞在いただきます。」


「ご丁寧にありがとうございます。私は凜香リンカ篠山シノヤマと申します。

これからよろしくお願いします。」


「それではこれからご案内致します我がタウンハウスで今日の所は一泊して頂き

明日の朝の出発となります。今回は12歳の愚息も同行しております。

十日ほどの道中、煩いかもしれませんがよろしくお願いいたします。」


「そんな煩いだなんて。こちらこそよろしくお願いします。

賑やかになりそうで楽しみです。」


馬車で城門を抜けタウンハウスへと向かう。

王都の街並みは映像でよく目にする古いヨーロッパのそれに似ている。

多分厄介者払いされるのだろうから此処に戻って来る事は無いのだろう。


暫く車窓を眺めていると街並みを抜けて一つのお屋敷の門を通った馬車が停まる。

先に下りた辺境伯から差し出された手を取り馬車から降りて

案内されるまま立派な扉を潜るとエントランスで使用人達に出迎えられた。

その中からプラチナブロンドにダークブルーの瞳を持つ驚くほどの美少年が

前に出て挨拶をしてくれた。


「はじめまして。キース・シュナイダーと申します。

これからよろしくお願いします。」


「ご丁寧にありがとうございます。リンカ・シノヤマと申します。

リンカと呼んでね。道中仲良くしましょ。」


「はい。」


キースはほんのりほほを染めて照れながら返事を返してくれた。


~~~  ~~~  ~~~ 


リンカを最初に見た時は綺麗な男の人だと思った。

髪が肩の下で綺麗にそろえて切ってあったから。

年も僕の2,3歳くらい上にしか見えなかった。

背だって僕より頭一つ分も高くない。服装も変わっている。

ひらひらのシャツにトラウザーをはいている。


女性に年は聞けなかったけれど自己紹介で17歳って教えてくれた。

聞いて驚いた。あと1年で成人じゃないか。

僕の14歳の姉と同じくらいにしか見えない。

一緒に食事したけど、きれいに食べるのに時々困った様な顔をする。


次の日馬車に乗って暫くして普通に会話が出来るようになった頃

「これ、食べてみる?」と銀色の小さな四角い物を渡された。

手渡されたそれを不思議に思って眺めていると

「こうやって食べるの。嚙まないで舐めているのよ。」

と銀色のものをめくってミルクティー色の中身を口に入れて見せてくれた。

真似して銀色の物を剥がして口に入れたとたんに甘くて

コクの有る不思議な香りと味が口の中に広がった。


「キャラメルっていって、ミルクとお砂糖、バターでできてるの。

ここにもあるのかしら?」

「初めて食べました。とってもおいしくて不思議な味です。」

「粘り気があるから噛むと歯にくっ付いちゃうからね。」


にっこりとそう教えてくれた笑顔はどこか寂しそうで

胸がきゅんとなった。

リンカが楽しいと思える事をしてあげたいと思った。



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