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そのサイバー攻撃は防げない

作者: ひろ
掲載日:2025/12/17

※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。

 【サイバー攻撃】



 この言葉を見聞きするたび、私は思い出す。

 

 思い出してしまうのだ。





 サイババの姿を。



 **********

 ❲サティア•サイババ❳


 言わずとしれたインドスピリチュアル界の偉人だ。


 1990年代、その特徴的な風貌と、彼が起こす数々の奇跡(何もない空間から物質を生み出す、不治の病を治す、死者を蘇生する、等々)がメディアで取り上げられるや否や、我々日本人に強烈なインパクトを与え、

 その後日本でのインドスピリチュアルをメジャーに引き上げた偉人である。

 …と私は勝手に思っている。

 **********


 そのサイババが、【サイバー攻撃】という単語を見聞きするたびに私の思考に去来する。

 遮ることは出来ない。


 恐ろしい…。

 


 いつぞや、私がTOEIC試験を受けていた時のことである。


 リスニング中、不意に『サイババハァ…』と音声が聞こえた。


 空耳である。


 だと言うのに、そう聞こえてしまったが最後、サイババが脳に入り込んでくる。

 紙の上に落ちた火の粉が燃え広がるように、脳の思考領域を侵食する。


 サイババの手から、無いはずの砂が零れ落ちる。花びらが舞う。サイババが微笑みかける…


 もう駄目である。

 脳を占領し尽くしたサイババにより、私の思考は千々に乱れ、外界からの情報の流入は遮断される。


 その後10分ほどのリスニングは壊滅的だった。


 恐ろしいことである…。




 私が総理大臣だったとしよう。


 『総理!他国からサイバー攻撃とミサイル攻撃を受けています!!』


 …私は迅速に指示を下せるだろうか?



 私が大企業の社長だったとしよう。


 『社長!我が社の公式サイトがサイバー攻撃を受けました!!』


 …私は的確な判断を下せるだろうか?



 とても無理である。




 しかし、この問題は私個人に留まるものではない。

 私が最も危惧するのは、これが『多くの日本人に共通の現象』という可能性である。



 つまり、現実の総理大臣や企業トップも、同様のリスクを抱えているかもしれないのだ。


 それだけではない。

 【サイバー攻撃】という言葉を見聞きするたび、多くの日本人の思考がストップしているかもしれないのだ。


 今この瞬間も。


 これは『大規模思考障害』とも言うべきものであろう。


 これは、たかが本家サイバー攻撃と違い、対応も防御も不可である。見聞きした時点で終わるのだ。


 なんと恐ろしいことであろうか。




 【サイバー攻撃】


 この単語の裏に潜む本当の脅威。


 …この攻撃は、防げない。



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