そのサイバー攻撃は防げない
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
【サイバー攻撃】
この言葉を見聞きするたび、私は思い出す。
思い出してしまうのだ。
サイババの姿を。
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❲サティア•サイババ❳
言わずとしれたインドスピリチュアル界の偉人だ。
1990年代、その特徴的な風貌と、彼が起こす数々の奇跡(何もない空間から物質を生み出す、不治の病を治す、死者を蘇生する、等々)がメディアで取り上げられるや否や、我々日本人に強烈なインパクトを与え、
その後日本でのインドスピリチュアルをメジャーに引き上げた偉人である。
…と私は勝手に思っている。
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そのサイババが、【サイバー攻撃】という単語を見聞きするたびに私の思考に去来する。
遮ることは出来ない。
恐ろしい…。
いつぞや、私がTOEIC試験を受けていた時のことである。
リスニング中、不意に『サイババハァ…』と音声が聞こえた。
空耳である。
だと言うのに、そう聞こえてしまったが最後、サイババが脳に入り込んでくる。
紙の上に落ちた火の粉が燃え広がるように、脳の思考領域を侵食する。
サイババの手から、無いはずの砂が零れ落ちる。花びらが舞う。サイババが微笑みかける…
もう駄目である。
脳を占領し尽くしたサイババにより、私の思考は千々に乱れ、外界からの情報の流入は遮断される。
その後10分ほどのリスニングは壊滅的だった。
恐ろしいことである…。
私が総理大臣だったとしよう。
『総理!他国からサイバー攻撃とミサイル攻撃を受けています!!』
…私は迅速に指示を下せるだろうか?
私が大企業の社長だったとしよう。
『社長!我が社の公式サイトがサイバー攻撃を受けました!!』
…私は的確な判断を下せるだろうか?
とても無理である。
しかし、この問題は私個人に留まるものではない。
私が最も危惧するのは、これが『多くの日本人に共通の現象』という可能性である。
つまり、現実の総理大臣や企業トップも、同様のリスクを抱えているかもしれないのだ。
それだけではない。
【サイバー攻撃】という言葉を見聞きするたび、多くの日本人の思考がストップしているかもしれないのだ。
今この瞬間も。
これは『大規模思考障害』とも言うべきものであろう。
これは、たかが本家サイバー攻撃と違い、対応も防御も不可である。見聞きした時点で終わるのだ。
なんと恐ろしいことであろうか。
【サイバー攻撃】
この単語の裏に潜む本当の脅威。
…この攻撃は、防げない。




