闇夜にクライ!
夕日にシャウト!の元カレ視点
先にこちらを読まないとわからないと思います…。
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【あらすじ、可愛いい→可愛い】何を間違えたのか、圭は呆然と教室を飛び出して行った茉莉奈の背中を見送った。
去年、茉莉奈を好きになって付き合い始めた。
茉莉奈はこの1年で見違えるほど可愛くなって、圭は茉莉奈をどんどん好きになっていったが照れ臭くて素直に口したことはあまりなかった。
1週間前くらいから、隣のクラスにきた転入生がよく話しかけてくるようになった。
ルイはふわふわした女の子で、茉莉奈とは違う可愛さがあった。
潤んだ瞳で見つめられた圭は、ルイが好きなのは自分だと思い込んでいた。
気持ちには応えられないが、茉莉奈がちょっと嫉妬してくれて嬉しかったのは事実だ。
本当は今日の放課後は茉莉奈と遊びに行く予定だったが、ルイに誘われたからルイを優先しようとした。
茉莉奈はいつも少し悲しそうな顔をするから、圭はそれが嬉しかった。
埋め合わせはまた夜に連絡すればいい、と軽い気持ちでルイと教室を出ようとした。
それが…。
『そんなに人のお古が好きならくれてやるわ!見る目のない古物商が!』
演劇部で主役もやっている茉莉奈の声はよく通る。
隣のC組にいる舞香もきっと聞こえていたはずだ。
「ひどーい!圭君にあんなこと言うなんて、ルイだったらそんな事言わないし!」
「圭、あんた何やった」
ルイが甲高い声で怒る声をものともせずに、低い声が圭の教室に響いた。
舞香の目は圭を睨みつけている。
「やだ~怖いよぉ」
「黙んな養殖天然女。これは私がそこの奴に聞いてんのよ」
舞香の迫力に全員黙り、圭も何も言わなかった。
「つーかさ、茉莉奈の誕生日に何やってんの」
「……誕生日……!」
「まさか忘れてたとか?脳味噌の代わりに錆びた鉄屑でも詰まってんの?
いや、鉄屑のがまだ役に立つわこの役立たず。
皆!悪いけど残れる人ちょっと残ってて!帰るタイミングは分かると思う!」
舞香はそれだけ言うと教室を飛び出した。
呆然と立つ圭に舞香の彼氏の拓真が声をかけた。
「えー、圭は茉莉奈の誕生日忘れたの?
彼氏なのに彼女の特別な日忘れんの?ちょっと俺お前と感性違うかも」
わざわざA組から来て言うことかと圭は言い返そうとしたが、拓真もまた鋭い目で圭とルイを睨みつけていた。
軽そうな見た目と裏腹に拓真は一途で、そこが人気のあるところだった。
『ルイはぁ、拓真君ちょっと怖いから優しそうな圭君が話しやすいなぁ』
ルイが選んだのは拓真ではなく圭だと言う事も圭を優越感に浸らせた。
茉莉奈は決して比べることはなかったが、圭の一方的なコンプレックスだった。
「そこの転入生もさぁ、俺に二度と話しかけんなって言ったこと守ってんのは偉いけどさぁ、舞香の親友に何してんの?」
「えっと、ルイそんなつもりなくてぇ」
「そんなつもりねぇならただ痛ぇ奴か」
辛辣な言葉に絶句していると茉莉奈の声が響き渡った。
恐らく河原にいるのだろう。
茉莉奈にとって、圭の立ち位置が変わったと理解した瞬間だった。
「ははっ!あいつ声でかっ。
いいね、不用品回収業者だって」
拓真が怖いのは拒絶されたから話しかけられないだけか、と圭もやっと気付いた。
「そうそう。誰が声かけられるかトーナメントやってんだよ。
声かけられない奴泣いてるから平等に声かけてやれよ」
ルイが声をかけるのは可愛らしい彼女がいる彼氏か、イケメンだけなのは広がりつつある事実だった。
「終わったみたいだから俺帰る」
拓真は最後に圭を一瞥して教室を出た。
ノロノロと、圭はルイを置いて教室を出た。
茉莉奈のSNSの圭のことは全て削除されていた。
「……早すぎんだろ」
馬鹿なことをした。
誕生日だって、ルイに纏わりつかれるようになるまではちゃんと覚えていたのに。
「だっせぇなぁ俺…」
ちょっと持ち上げられていい気になって。
乾いた風を感じながら圭はひっそり歯を食いしばった。
終
ご覧いただきありがとうございます!
さくっと終わるお話でした。
17歳、まだまだこれからですが元サヤはないかなって。
頑張れ若造(元ネタわかる人は多分同年代)
夕日闇夜ときたら次は何だろう。
深夜にダンス?誰が踊るんだ。