あとがき
時系列と補足について
雫は8耐に、3回観戦に行っています。
4回目は、入場ゲートに来たところまでの話で終わっているので、観戦自体は3回となります。
1回目は一颯と颯流がペアで出場。雫は結香と一緒に、颯の案内で観戦。一颯と颯流は、マシントラブルにより途中棄権との結果でした。
2回目も同じく、一颯と颯流のペアで、この時、雫が誰かと一緒に見に来たのか等の詳細は書いていませんが、交際相手の一颯のレース観戦に来て、彼は事故に遭います。
そして3回目は、颯流と颯のペアで出場。この時、雫は送られてきた本に挟まれていたチケットを持って一人で観戦に来ています。ここで颯流と颯は入賞等はなりませんでしたが、最後のチェッカーフラッグを受け、完走という結果を残しました。
雫がサーキットの各コースを周る場面では、雫の3回目の観戦をメインに書いていますが、雫が颯からいろいろ説明を聞いたり、結香が出てくる部分は、雫が3回目のレース時に、1回目の時のことを思い出している部分となります。
1回目と3回目のことが、同じエピソードの中で行ったり来たりしますが、2回目の観戦時の話はほぼ出て来ず、2回目のレースについて書いているのは、一颯に起きた事故に関することを雫が思い出した部分のみとなります。
2回目のレースで一颯を失い、時が止まってしまった雫が、颯の支えで、前を向かなければならないことは頭では理解しつつも、心が追いつかず苦しむ中、送られてきた一颯の本を読んで、3回目のレースに何とか足を運び、やっとチェッカーフラッグの時間まで針を進め、颯の励ましで少しだけ先に目を向けることが出来ました。
そして、後日談として聞いた、本に込められた一颯の想いを知り、彼との思い出と共に前向きに生きようと、4回目の8耐に向かったところで話は終わります。
1回目の観戦では、まだ雫は一颯と直接出会っておらず、レースで走る姿を見ただけです。
雫が一颯と初めて会ったのは、レース後、1カ月ほど経った高校の文化祭の時で、ここでの二人の関わりの詳細は書いていませんが、一颯は雫に『優しい走り』と言われたことに引っかかり、思うところはあったものの、一颯にとって雫が気になる人物になったことは間違いないです。
ただ、一颯は誰をどう思っていようと、等しく優しく接するタイプなので、この時には雫の方はすでに、穏やかで繊細な一颯が好きだと先に自覚したと思います。
一颯は、雫が自分の走りについて思っている感想を説明した後、『走り方が好きでずっと見ていたいくらい』ということを言われる直前、すでに雫のことを意識しています。
走り方が好きだと言われたからではなく、おそらく、大人しそうに見えて、自分の考えや意見をしっかり持っている雫に惹かれたが、感情を自覚するまでには至らなかった。正しくは、弟の颯流のことを思い、自覚するわけにいかず、無意識に押さえ込んだというところです。
雫と一颯は、脅迫の件もあって、それを理由によく連絡を取り合い、会ってはいましたが、正式に交際したのは、3月の卒業式が終わって、そこからいろいろあって……なので、実質4ヶ月程度の短い交際期間でした。
ただ、真面目な二人なので、いい加減な付き合いではなく、中身は何年分もあるほど濃かったと思われます。
雫が今後、一颯と似ているようで全く本質が違う、弟のような立場である颯が成長することで彼を選ぶのか、颯流と再度何か接点が出来、他人とはまた違った颯流の良さに気付き仲が発展することがあるのか、あるいは全く違う人と出会って生きていくのかは、想像となります。
本当は、8耐を事故の話にはしたくなかったので、一颯を助ける道がないか、あるいは別の流れでいこうかとも考えましたが、そうなると最初に考えたプロットを少しずつ変えていく必要があるので、結局、思いついたとおりのまま一気に書きました。
8耐が、今後も多くの人に感動を与えるレースとして、ずっと続いてほしいと一人のファンとして願います。
都合上、毎年は観戦に行けないのですが、今年は特にこの話を書いたこともあり、応援に行きたいと思っています。




