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転生先でヒロインと入れ替わりました!

王子 エリックルート

作者: あいら

「転生先でヒロインと入れ替わりました!」

の分岐後の話になります。


最初に本編を読んでからお楽しみ下さい。

「私の妃となって下さい」


その言葉に


「はい」


と答える。



お祭りに集まっていた人達から歓声が上がり、

大賑わいになった、


国中の人が祝福してくれているのが本当に嬉しい。



それから数か月、

王宮に住まいを移し、王子妃としての教育を受けている。

元々ステータスはカンストしているので、

教育担当者も優秀だと褒めてくれている。



王子とラブラブ、いちゃいちゃ・・・

といきたい所だが、

ここ最近はほとんど顔も合わせていない。


婚約式に向けて、隣国との調整など、

仕事が忙しく、夕飯に数日に一度会う程度だ。


それでも、会えれば笑顔で、

できるだけ話そうとしてくれて、

私を思っていてくれている事に嬉しくなる。


それでも、もっと一緒にいたい・・・


相手は王子だ、スケジュールが管理されていて、

我儘を言っていい相手ではない。


そう思いつつも、どこか寂しい思いをしていた。



侍女達は教育の合間を縫って、

私の美容を磨く事に余念がない。


髪のトリートメントに、全身エステ、

顔のメイクも、自分がしていた頃とは大違い、

服に合わせてメイクをしてくれるので、

本当にプロは凄いと思う。


「本当に美しいですわ」


侍女に手放しで褒められて、

笑顔を作ろうとして、失敗した。


「何かお気にいらない事でも?」


侍女に余計な気遣いをさせて、駄目だと思う。


「ただ・・・」


そう言おうとして、言葉を飲み込んだ。


侍女は、笑顔で優しく言ってくれる。


「何でしょう?なんでもおっしゃって下さい」


その笑顔につい弱音が出る


「王子にも見てもらいたいなって」


はっとした顔をする侍女、


困らせてしまったかなとすぐに謝る。


「何でもないの、ごめんなさい」


「いいえ」


侍女との会話はそれで終わり、

婚約式で着るドレスに合わせるジュエリーの話に移った。




その日の晩、王子が訪ねてきた。


「少し時間いいかな」


この所、時々夕飯が一緒なだけだったので、

びっくりするが、嬉しくて王子についていく。


案内されたのは、噴水が見えるバルコニー


「寂しい思いをさせてしまったね、ごめん」


「いいえ、私こそ我儘ですみまません」


「謝る事はない、実は告げないといけない事がある」


「はい、なんでしょう」


王子の今までのない真剣な表情に、

幸せな気分から一転、別れの話かなと、

苦しい気分に襲われる。


「私には、兄がいる」


「はい、王太子殿下ですね」


「そうだ、兄が王となり、この国を継ぐ予定だった」


私はだったと過去形である事に不安を覚える。


「兄にはまだ婚約者はいない、

 運命の相手を探すとロマンチストな所があるから・・・

 そして、そのロマンの相手が、

 ルナソルティアの皇女だったようなんだ」


ルナソルティアは少し離れた砂漠の国、

確か国の跡継ぎは皇女だけだったはず。


「実は子供の頃から思い合っていたらしい、

 ただ、お互い立場があるから、

 なかなか言い出せないでいたようなんだ。

 

 王と王妃、そして兄上と数日話し合った、

 私は恋する者と結ばれる幸せを知っている、

 なので、兄にも叶えて欲しいと思っている、


 兄はルナソルティアに嫁ぎ、皇帝となり、

 俺がこの国の王となる覚悟を決めた」


そこまで言って、私の前に膝をつく。


「改めて、求婚したい、

 私は王となり、この国を支える、

 なので王妃として、その私を支えてはくれないか」


「はい」


私の目には涙が浮かんでいた。


「王妃となるからは、今後は何でも話し合っていきたい、

 今まで寂しい思いをさせてしまったが、

 今度は逆にこんな事まで知らないといけないのかと、

 思わせてしまうかもしれない」


「覚悟はできています」


王子が入口にいる侍従に合図をすると、

侍従が小さな箱を持ってきた。


「これは、代々王妃に贈られるものだ」


そう言って、王子は私の左の薬指に指輪をはめる。


サイズはすでに調整してあったようで、

私の指にぴったりだった。


「ありがとうございます」


指輪を眺める私に、王子の唇が近づき、

そのままキスをした。



しばらくして、そっと唇が離される。


胸はどきどきいって、呼吸がしにくい程・・・


ああ・・・私、本当にこの人が好きなんだ・・・


「お願いがあるんだ」


「なんでしょう?」


「公式の場では、仕方ないと思う、

 でも2人だけの時は名前で呼んで欲しい」


どきどきする胸を押さえ、何とか唇を動かす。


「エリ・・・ック・・・・・様」


「ありがとう」


その笑顔に、また胸がきゅんとなる。


あああ・・・ゲーム終わったけど、

このシーンスチルとかなりません?


思わず思ってしまいながら、幸福に包まれていた。

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