本音
とても目覚めの良い朝。顔を洗いに洗面所へと向かう。下では元々番犬として引き取ったはずの柴犬ココがつぶらな瞳でこちらを見てくる。欠伸をしながら「おはようココ」と言うと「ワン!」朝から元気が良すぎてこちらの元気がなくなる挨拶が返ってきた。顔を洗い終わるとリビングのほうからいい匂いがしてきた、さっきよりは開いた眼で向かうと母さんが朝食の準備をしていた。「あら早いわね先に食べちゃう?」俺が悩んでいる間にテーブルに朝食が置かれていく。「いや強制なら聞くなよ」とつい今日初本音が出る「ごちゃごちゃ言ってないで早く食べなさい」と少しイラっとしたがとりあえず俺はテーブルの上に置かれたご飯をニュースを見ながら腹に入れる。「ココーご飯」という声と同時に窓際で動き回っていた柴犬が俺の足元へと一目散にくる。物凄い勢いで食べているのを見て食欲がなくなったがひとまず目の前にあるものはすべて食べた。「葉今日は入学式でしょ早めに散歩行ってね」「わかったー」と言いたまには俺以外が行けよなと思いながら首輪にチェーンを付けるとココはとても嬉しそうにはしゃぎ回る。そして散歩の準備ができサンダルを履こうと玄関へ向かう。
すると「葉早ぁ」とぼさぼさの頭に黒いヘアバンドを付けた三つ上の姉が起きてきた。「姉貴が遅いんだろ」さっきのイラつきを皮肉と本音でぶつけると「んあぁ」と言いリビングへと向かっていった。朝からまたイラついたが足元で早く行きたいオーラを感じたので散歩へ向かう。ドアを一歩出るとさっきまでのイラつきを忘れさせるくらいのとても気持ちのいい朝だった。それはココも同じようで物凄い力で走り出してゆく。朝から陸上部並みのランニングをし家に帰るとコーヒーの匂いがした。靴を脱ぎリビングへと向かうと父が慌てた様子でコーヒーを飲みながら「おぉ、お疲れさん、今日が入学式だってな頑張れよ!」と言いながら足早で僕の横を通りすぎ靴ベラを手に取った。「早く彼女の一人や二人紹介しろよ~」といいながら急ぎ足で家を出ていく。うるせぇなぁと呆れる気持ちと少しおかしい気持ちでにやける。黒いスーツを着た父の背中を見て俺はあんな父と血が繋がっているわけがないと改めて確信した。俺もゆっくりしている暇はないので新品の少しだぼっとした制服を身に着ける。そして入学式なので対して荷物はないがリュックを背負いまた部屋を出る。下へ降りるとさっきとは別人の姉がパンを食べている。「あら、もういくの?」と母に聞かれたので「葵と待ち合わせをしてるんだ」と言い履きなれない革靴を履き家を出る。駅までは自転車で五分ほどの距離だが自転車がないということは父が使っているのだろう。少しイラっとしたが時間には珍しく余裕があるのでイヤホンをポケットから取り出し今はやっているアニメの曲をかける。駅に着くと見慣れた後姿があったのでイヤホンをしまい背中を小突く「うわぁ、ビックリした葉か、今日は早いねいつもなら今家出たって連絡してくるのに」「さすがに中学のままではいられねえしな」と見たこともない表紙の小説を読んでいたこいつは葵。小学校からの同級生でいつも一緒にいる。高校も二人で決めたいわゆる世間一般でいうところの親友だ。「俺らも高校生かぁ入学式緊張するな」「葉も緊張するんだね」「するわそりゃ、クラス一緒がいいな」「僕は一人でも平気だけどね」と明らかにクラスで孤立するような発言した葵に不安になるがそんな俺も少し不安だった。願書を出した時以来の駅に降り同じ制服の学生たちと同じ方向へ向かう。葵は相変わらず小説をずっと読んでいる。学校へ着くと新入生は体育館に集合と書いてありそこでクラス表が貼ってあった。AからEまである中で僕の名前はBに書いてあり上を見ると葵という名前も書いてあったのでひとまず安心し二人で体育館の自分のクラスのパイプ椅子に座る。十分もするとほとんどの席が埋まり強面のスーツを着た先生が教壇に立った。「新入生諸君まずは入学おめでとう」とごく普通のスピーチをして新入生代表挨拶として華奢な女性がステージに上がりごく普通のスピーチをする。ここまでは何事もなく喜ばしかったのだがその後の生徒会長のスピーチで俺は顔を伏せた。ステージには朝ボサボサの頭でボケーとしてる見慣れた顔ではなく俺ももし血が繋がっていなかったら惚れていたであろうほどの女性がいた。後ろが少しざわついてるのがわかる。その見慣れた女性は先ほどのスピーチとは違いジョークも混ぜながら話をし、終わる頃には周りの緊張がいくらが解けるのがわかった。俺以外はあれの本性を知らないんだろうなと思いながらぼーっとしていると入学式が終わり、クラスへ移動することなった。クラスへ着くと俺の席は窓側の席で当たりだと喜ばしかったが葵とは真反対になってしまい少し不安になる。最初が肝心なことを知っていた俺はまず最初の自己紹介は外せないと家で考えてきたものを心で暗記する。すると前のドアから当たり障りのない女性が入ってきた。「はーい。みんなさんこんにちは1-B組の担任を務める山下です一年間よろしくね!」と元気に挨拶していたが緊張感漂うこの教室には冷たい空気が漂うばかりだった。一通りの学校に関する説明が終わった後「じゃあ自己紹介してもらおうかな」と山下先生が言った。ついに来たか、と下を向き深呼吸をし、自分を落ち着かせる。葵の方をチラッと見ると相変わらず小説を読んでいた。あいつはほんとに...と少しにやけそうになるがそんなこと気にしている暇はない。ここでできるだけ変な印象を与えず三年間を平穏に過ごすための最善の初手を出さなければ終わりだ。何度も暗記した自己紹介をもう噛まずに言える自信がついたところで初めて前を向く。「わっ!」
とクラッカーを目の前で鳴らされた感覚に陥り頭が真っ白になる。目の前に顔を近づけ大声を出されたからだ。僕は思わず「うわぁぁ」と声をあげ後ろに倒れかけると「あはははぁ」と甲高い声で笑っている。クラス32人プラス先生一人あの小説を読むと周りが見えなくなる葵ですらこちらを何事かと見ている。すると前のイかれた女は笑いながら何事もなかったかのように前を向いた。「え?」と驚きのあまり本心が声に出た。周りがこちらを横目で見ているなか「はいはい仲がいいのはわかったけどはしゃすぎすぎないでね!」と山下先生に高校生活いやこの学校最初の軽い説教をもらった。いや初対面だし、これ俺が怒られているのか、いやなぜ?などと考えているうちに「はい、じゃあ気を取り直して自己紹介始めるよー」と山下先生が注目を自分に集めてくれたおかげで衝撃が少し和らいだのを感じた。しかし自己紹介が始まったというのに俺は誰の声も頭に入らなかった。葵のでさえ聞こえなかった。さっきまで頑張って暗記した自己紹介用の心の原稿なんかどっかにかいってしまい、もう終わりだ前の人のをパクろうと決めた。少し、いやだいぶ不安だったがそして僕の二つ前の人の自己紹介が終わった。「はいじゃ次は茜さんお願いね!」と優しく声をかけた山下先生に「はい!」と大きな返事をし、前の茶髪で中学生までだろというヘアピンをつけたイかれた女が立ち上がった。「中原茜って言います!えーと好きな食べ物はいちごのジャムで好きな芸能人は勝慎太郎!座右の銘は世界平和で!最後の一言わぁ...」と少し沈黙があった。俺はもう自己紹介を諦めることにした。
キッツイにも程があるだろこの女と思っていると「なんで戦争なんてあるんだろうってよく思います!みんな幸せになって欲しいし生きることって素晴らしいと思うんだよね!」と言いだした。俺は鳥肌が立ち背筋が凍った。この人間とは関わっていけない。と全細胞が言っていた。案の定明るそうな山下先生も苦笑いでクラスには小さな笑い声が聞こえた。そしてなぜか満足そうに座ったこの女は今度はじっと俺の方にお腹をむけてきた。やめてくれ、もうこれ以上、俺が何をしたっていうんだ。僕は頭の中が真っ白になり言葉を発していることすらわからない状態になり喋り始めた「葉って言います。好きな食べ物はいちごジャム好き俳優は勝慎太郎僕も世界平和がいいと思います」と至って真面目な顔で答えてしまった。俺は膝から崩れ落ちた。いや何をしているんだ俺はここでまだ笑いながらでも言えばまだ笑いが取れたかもしれないしかし至って真面目に言ったらこいつと同類じゃないか、あぁ終わった僕の学校人生が終わったんだと実感し顔を伏せた。「まぁ世界平和はいいことですからね...」と山下先生が苦笑いでコメントをくれた。もう黙ってくれあんたらと顔がほてっているのを感じ、余計顔を上げれなくなった。それから何分経ったのかチャイムがなり「はいじゃあ今日はここまで!教科書配ったら解散ね。楽しいクラスになりそうね」とさらに追い打ちをかけきた。もう学校やめようかなってところまで考え始めた時「ねぇあなたも世界平和派!?」と生涯で一度しか聴かないであろう言葉を聞いたことに驚く。「あなたとなら仲良くなれる気がするのよろしくね!葉」そんなわけないだろう一番君みたいな人とは俺は合わない。こんなやつと関わっていいことなんてない優しく遠ざけよう。「いやあれは冗談だよ笑 まぁ世界平和はあながち間違ってないかもだけど」「なら同志ね!葉は部活決めた?」と葵よりも仲がいいかのように接してくるこいつに苛立ちが募る「いや部活は入らないつもりかな」僕はバイトをして適当に三年間過ごすつもりなのだ勿論本音である。「ならよかったなら放課後世界平和について語りたいの!誰もが幸せに生きていける世界について!」今日2度目の鳥肌が立った。俺の細胞、爪、髪の毛までもが反応する。「あなたみたいな人を探していたのよ!」「ごめんだけど今日は葵ってやつと遊ぶ約束があるからまた今度ね」とわかるはずのない嘘をつき席を足早に立ち、「葵帰ろーぜ」と呼ぶがクラスには知らない顔と嫌な顔しかない。「葵くんってあの本読んでた子?ならさっきどっか行っちゃったよ」となぜか少し嬉しそうにしているのを見て腹が立つ。「あっ駅で待ってるんだそういうことだからまたね」ともうとにかくここから消えるための口実を作る。「なら私も駅まで行くところだから一緒に行こ!」なぜだろう、なぜ僕にここまで執着するのだろうと頭が少し痛くなる。まだ出会って数時間ほどの関係で僕は君とは正反対なのがすぐにわかる。絶対に合わない。いや合ってはいけないのだろう。「じゃあ早く行こう!この後雨らしいからさ!」とまた勝手に話を進めていることにもう驚きが勝つようになってきた。結局靴箱まで一緒に来てしまっていた。確かに空は朝と変わって今にも雨が降りそうな天気に変わっていた。「うわぁゲリラ豪雨が来るらしいよどうする?」ともう一緒に帰る前提なのかとツッコむこともせず「傘がないから急いで帰るよ」と言うとなぜか口角が上がり誇らしげな顔をしだしたこの女が「テッテレー!」と言い折り畳み傘を出した。「葉くん感謝しなよぉ」と言うのを横目に「じゃあまた明日ね!」と俺はいい足早で駅へ向かうもう一刻も早くあの未確認生物から逃げなければ僕もおかしくなってしまう。一度も振り返らず校庭を抜けると急に先ほどまで鳴っていなかった音が鳴り始めて次第にゴーということをたて僕の体に打ちつけた。リュックは防水なので教科書の心配はないが先ほどから僕と同じスピードで後ろを走っている音がするのがとても気になる。3分ほど走り続けると駅につき朝の散歩の成果が出ているなと誇らしげになっていると、前から見覚えしかない茶髪の女が走ってきた。「え?なんで」本音がでる。「葉くんはやすぎ...」とゼェゼェ言いながらしゃがみ込みこちらを見てくる「いや傘の意味ないじゃん」と本音がでしまった。「いやだから話したいことあるんだって」いや本当にやめてくれと言いたいところだが不用意に人を傷つけるのは僕もあまり好きではないので「ごめんもう電車の時間がないから今度時間ある時にお願い!」と完璧な返事をしたやく7秒後「ただいま大雨の影響により運転を見合わせております...」「だって」と本日一番イラつく顔をまた見ることになったことにもうどうにでもなれとやけくそになり「じゃあ電車までの間ね」と最小限に済ませることにした。「いやJKが服透けてるのに立ち話なんてありえないんだけどそこのカラオケでも行こう」と反論できない問題がきた。ついていくがまま結局カラオケまで行くことになり受付に並び始めた女に「はぁ誰かさんのせいでおニューの制服がびちょびちょだよ」と確実に反論できることを言われるが軽く無視し「電車もう来ると思うんだけど」と疑問系で聞いたのにも関わらず「もーううるさい!さっきからいいから制服が透けてるJKなんて君みたいなチェリー君には滅多に見れないんだからしっかり拝んどきな!」今日一番むかつくことを言われたことに腹を立てているうちに受付の順番が来てしまった。手慣れたスピードで受付を済ませた彼女は「八番だって、広い部屋がいーな」ともう一人で来ているのかと思うくらい気ままに過ごしていることに余計にイラつく。部屋に入るとまぁまぁの広さの部屋につき「ふぁぁぁ、誰かさんのせいで疲れたなぁ」ともうツッコむことをやめた僕すら「いやなら傘させよ」と初めて会ってまだ数時間の子にタメ口で本音を言ってしまった。「うわひどーい」と制服の上を脱いでいる彼女にリュック入っているタオルを差し出す。「え、優しい気がきくね」と言われ少しも嬉しくないが「まぁね」「じゃあ何歌う?」「いや20分もすれば電車来ると思うんだけど」予定はないがこの女と一緒に遊ぶことに抵抗しかないので早く帰りたい。「GLAYとL'Arcどっち派?」ともう無視することにしているこいつにまたイラつく。「どちらかといえばGLAY」と父親がファンなので知っていたGLAYの名前を出すこれも本音だ。今時の女子高生というのはGLAYを歌うのだろうかと思っているうちに「鏡の中のmarionnetteほつれた糸を〜」と僕がまだ小学生低学年の頃車で聞いていた曲に初めて少しだけ興味が湧いた。「いや選曲よ...」と本日4度目の本音かつっこみを入れる。歌い終わると「はぁ気持ちよかった次葉くんね!何歌う?」となぜ葵とすら滅多に行かないカラオケでここまで馴れ馴れしく接してくるのかと疑問をもつがもう諦め「いや歌うより聞く派」嘘ではない本音だ。僕は歌に自信がない。下手でもうまくもない一番つまらないタイプだ。「じゃあ私が歌うね」とタッチパネルを操作し始める。「Get wild and tough〜」ともツッコむことをやめた僕は自然に笑みが溢れた。何曲か歌っているうちに彼女が歌が上手いことに気がついた。自分の中で勝手なイメージとして植え付けられたものとは違いカラオケ大会などでよく聞くこえだったので少し驚いた。まぁ選曲がなんともいえないが、僕はスマホをいじりながらたまに合いの手を入れるだけであとはアイスを食べていた。一時間ほどしたら彼女も疲れたのか半乾きの制服を来て「よし世界平和について語ろう」と忘れていたのかと思っていたことを突然言われジンジャーエールを吹き出しかけた。「いや、世界平和は大事だと思うけど僕が何かしたところで何も変わらないよ」と本音を口から出した。「確かにそれもそうよ、だけど私たちが何かしなきゃ何も始まらないじゃない。待っているだけじゃダメだと思うの」と私たちになっていることに疑問を感じるが「なんで世界平和にこだわるの?」「だって今も世界のどこかで誰かが殺し合っているんでしょ、本当は後何十年も生きれる人が無駄な争いで死んでしまうのは悲しいことだもん」と真面目に語っているのを聞き反応に困る。「まぁそれもそうだね...」と話を合わせる「あなたも世界平和がいいんでしょなら意見を交換しましょう!」とキラキラした顔で聞いてくる彼女に呆れた。「僕は今僕が平和に過ごせたらいいんだ何事もなく平和にね。僕の中の平和は何もないこと変化なんてなくていいこのままが一番いいんだ」と本音を口にする。「そうね、そういう人もいるわね。私は逆!変化が大事だと思うの!なんでもいいの朝早く起きるとか筋トレを始めるとかいつもは読まない本を読むとかそういうことでちょっとずつだけど変わっていくと思うの!」と熱弁したが僕は理解することはなかった。「まぁそれもそうだね」と適当に答える。「わかってもらえたみたいね!じゃあそろそろ帰ろう!」と今日一番聞きたかった言葉を聞けた。「うんそうだね!」と初めて今日元気よく本音が出た。お会計を済ませアイスクリームに600円...と落ち込んでいると「あのね、私同好会を作ることにする!」「うんいいんじゃない」と早足で改札に向かう「あなたもよ葉」と腕を掴まれる本当にやめてくれ時給が出ても断る「最低3人いるんだってだからお願い!」と言われたがもう優しくする必要を感じないので「ごめん俺バイトしたいから」ときっぱり断った。すると彼女はしゃがみ込み手のひらを顔に当て周りに聞こえる声で「あなたも世界平和がいいって言ったじゃん!」と叫び出した。もちろん周りの人たちはこちらを見ている。僕はいても立ってもいられず彼女の腕を掴み自販機の横へと急いで向かう。「お前ほんとにやめてくれ」と本日一番疲れた声の本音が出た。「じゃあ入ってくれる?」とさっきまでの嘘泣きをやめにやっと笑いこちらを見てくる。「ちなみに週一回でいいわ、で、しかも三年間入れば部活動扱いになるから進学にも強いわ!」と自慢げにいうがデメリットの方が圧倒的に強い。とりあいずここから逃げようとするが結局逃げたとしても十時間後にはこいつは目の前にいるだろうと考えていると「あなたはどこか悲しい感じがしたのよ」と言い出し「私は見ただけでその人がどんな人かわかるのオーラっていうの?」何を言ってるんだと思っていると「あなたは犬を飼っているでしょ!後お姉さんもいる。」と正確に当ててきたことに驚く。「だからあなたのオーラは悪いものじゃないの!」と言われ少し笑ってしまった。「なんで笑うのよこっちは真剣なのに!」と言うのに対し「じゃあお試しってことなら」と妥協してしまった自分に呆れる。「まぁいいわそれで今は」となぜ上からなんだこいつとイラつくがもうここから抜け出すことしか考えてない僕にはどうでもよかった。適当に流し続けて、明日からは葵といればいい帰りも葵と二人で帰ればさすがのこの女も察するだろう。「じゃあ明日からよろしくね!相棒!」と言ってきたこいつとは関わらないことを決めた。「誰もが幸せな世界を目指して頑張りましょう」と満足げに手のひらを差し出してくる。一つ言えることはこの女と僕は正反対だ合うはずがないなのになぜ僕に執着してここまでするのだろうと少し興味が湧く自分もいた。「まぁお試しですけど」と少し躊躇ったが手を握ると嬉しそうに「じゃあまた明日ね!」と走って帰っていた。その茶髪を見届けて僕も電車に乗る。疲れたのか少し眠っていた。夢にすらあの女が出てきて嫌気がした。家に着くとココがまず迎えにきてくれ、リビングから母が顔を出してきた。「学校どーだった?」「災難どころじゃなかったよ」と本音が出た。まぁそんなもんよねと言うとキッチンに戻っていく母にそんなもんとはなんだと思うが疲れたので部屋に向かう。部屋の電気は消したまま制服をハンガーにかけ中学のジャージに着替える横でココがベットで跳ねている。疲れたのでベットに横たわり深呼吸をし天井を見る。ココの息遣いが真横で聞こえる。僕はココの方を見て呟く「ココ今日も誰も殺せなかったよ」と本音が出た。ココは「ワン!」と元気に返して走り回るするとしたから「葉ー、ご飯!ハンバーグだよ〜」と声が聞こえた。「よっしゃ」と本日最後のの本音がでた。 Fin