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魔王、勇者、神々

魔王

作者: 蟹蔵部

ああ、よく来たのう。待っておったぞ。


ほっほ、今日来ることは、当然わかっておったさ。


立ち話もなんじゃ、ほら、そこに座りな。


焦るな焦るな、どうせ結末は変わらんのじゃ。


少しくらいゆっくりしても、バチは当たらんよ。


どれ、茶も出してやろう。魔女の茶じゃ、味わって飲めよ。


さて、それじゃあ望みを聞こうかね。


……はぁ、本当にお主等は変わらんのう。


いつの時代も、やることは一緒じゃ。


力、力、力、それまた力。まったく、流石に嫌になってくるわ。


まあ良い。わしもまた変わらんのは一緒じゃ。


それで、対価はなんとする?


ほう! 全て! 全てとな!


軽々しく差し出せるようなものではないぞ。


その意味も、わかっておろうな。


血も肉も魂も、そしてお主の想いさえも差し出すということじゃ。


ほほっ、ここで考えを変えるようなタマではないか。


よし、ではやろうか。


うん? 随分あっさりじゃと?


最初に言うたじゃろ、結末は変わらんと。


どれ、ここは手狭じゃ、外へ行こうかの。


ふう……、ああ準備なぞいらんよ。この身ひとつで良い。


痛みは、まああるじゃろうな。


それがどれだけ続いても、感じられても、問題にはなるまい。


覚悟は良いか?


ほっほ、愚問か。


ではゆくぞ……。


……ほう、これまた随分溜め込んだものよな。


血と肉と、魂も逝ったようじゃな。


あとは想いじゃ。


それで全てじゃ。


どれ、最後に抱きしめてやろう。


この馬鹿者が――。



――――――――――――――――――――


かくして名も無き魔王が誕生し、世界は闇に包まれた。

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