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自殺したら一目惚れの人妻になっていた

作者: ろいど

僕は何の変哲も無い普通の会社員…

会社にはいい思い出が無い。

 考えてみると浜崎という元ヤンの上司から人事異動お局様で有名な佐藤というおばさん上司に変わってから凡ミスやケアレスミスが多くなった気がする…

浜崎部長はミスをしたら建設的にでは、なぜこんなミスをしたのか理論的に考えてくれるし、僕が成果を上げる事が出来たらミナミのバーで一杯祝ってくれた。浜崎部長は喫煙者でよくタバコについて語りあったりしたっけ…

 しかし、この佐藤という部長は何をやっても怒るばかりである。仕事が早く片付いても何時間何分かかりました。遅すぎます時間内に終わった事は評価するけどこんなんじゃ新入社員入ってきた時バカにされるわよ。と嫌味を言うばかりである。

 家族に相談して僕、会社辞めようと思うけどと言うと母は『何行ってるの!自分が希望して入った会社でしょ?それに大学の奨学金も返して貰わなくちゃいけないのに』と怒られるばかりで何の解決にもならなかった。

 それから2年経った…ある日の事、佐藤部長が朝礼の時にみんなを呼び出した…『それじゃ、松永さんみんなに挨拶して』

ドアの向こうから若い…と言っても僕よりは年上の女性が入ってきた。

 彼女は部署に入ると自己紹介を始めた…『松永です。皆さんの足を引っ張らないように頑張りますので、よろしくお願いします』

彼女がそう自己紹介を終えて、にっこり笑った瞬間、僕は彼女に一目惚れした瞬間でもあった。

そこから彼女にアタックしてみたが彼女は既婚者だった。そうして僕の恋は終わった。

 しかし、これからは違う性欲が溢れてきた。これまでは『彼女』を『自分』の物にしたかったが、これからは『彼女』になりたい。と言う感情だった。その性欲はますます僕を困らせた。

彼女になりたい。どうすれば彼女になれる?取り止めもない感情が僕を支配していった。

それから約一年が経った時彼女は産休を取って会社に来なくなった。

 そうして僕はほとんど何も仕事が手に着かなくなった。会社でも家でも誰かに監視されているような気分になった。これはおかしいと思った僕は会社を休み、精神科を受診することになった。

 監視されていると医師に伝えると統合失調症だと言うことが分かった。医師に会社の状況、日々の暮らし、食生活、睡眠時間を聞かれてそれに答えると医師は今すぐ会社を辞めたほうがいいと言われて診断書をもらった。会社に行って部長に説明すると、『やっぱりね、だってあなたおかしいんだもん、デスクに向かっていると何か独り言をずっと言ってるし、君もう辞めていいよ』そこで僕は会社を辞めた…

 会社を辞めた僕にはもう居場所はない。そんな自分が嫌になって家の近くのドラックストアでカフェイン錠を80錠買って家路についた。晩御飯はカレーだった。これが僕の最後の晩餐になろうとは。せめてうなぎが食べたかったなぁ…

そして、僕はカフェイン錠をエナジードリンクで一気に飲み込んだ…

30分くらいしてからこれまでの記憶も無くなっていった…そして僕は意識を手放した…


どれくらい経っただろう…僕は目を覚ました。ここは病室のベットの上…そして口や胃ではなく股がズキズキする…何だか体が火照っているような感じもする…

右手にナースコールが握られていた…鳴らすと僕が高校生の頃によく聞いていたクラシック…メヌエットが鳴った…

程なくして看護師さんがやって来た。

若い女性の看護師さんだ。

僕は蚊の鳴くような声で『ここどこの病院ですか?やっぱり自殺…失敗したんですよね…ごめんなさい…迷惑かけてしまって。』

すると彼女は『松永さん?どうしたんですか?赤ちゃんは無事ですよ。2783グラムの元気な元気な男の子の赤ちゃんですよ。今は検査中なので会えないですが。うん!無事です!お熱測っときましょうか?』

彼女の言ったことが僕は理解出来ない。

『松永…?僕は阿部ですけど…それに僕は男ですよ?』

彼女は少し待っててください。といって僕のいる個室から出て行った。

何分かしてから白衣を着た医者が来てこう言った『少し、記憶の混乱が見られるな…松永さん、赤ちゃんは無事に生まれました!検査の結果どこも異常ないです。安心してください。』

そしてカートに乗せられた赤ちゃんが来た、医師は僕に耳打ちした『いい名前旦那さんと決めてくださいね、もう旦那さん来ますから。』

そして赤ちゃんを抱き、1時間が経った頃個室のドアが開いた、『裕美!よく頑張ってくれた!二人でいい名前を決めよう!』と旦那と思われる男性が、男性のの足元には小さな女の子もいる。

『ママ!あやの!お姉ちゃんになるんだよね!ママ!プレゼントありがとう!』とあやのと名乗った女の子が僕と赤ちゃんの顔を覗き込む…



…私、変な夢でも見てたのかな?


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