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漆黒の姫  作者: あおか
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三話

僕はメリーと一緒に商店街へ行こうとしていた。だがしかし困ったことがあった。


「なあメリー?ここはどこなんだ?」


「私に聞かないで。」


僕たちは道に迷ったのだ。勢いで出てきてしまったのでその事については考えてもみなかった。正直すごく焦っている。するとメリーが手を強く握ってきた。


「ガイは一人じゃないよ。」


その言葉に僕は少し気が楽になった。一人じゃない。今はそれだけで十分だった。そしてしばらく歩いていると無事に商店街へ着くことが出来た。


「やっと着いたな。」


「ねえガイ、あっち行こ。」


僕はメリーに手を引かれるまま商店街を回った。バザーを見たり食べ物を食べたり、まるでデートをしてる気分だった。その中で一つ、気になる店があった。それは髪飾りを売っているお店だった。


「へいらっしゃい兄ちゃん!隣の嬢ちゃんは恋人かい?」


「ええ、僕の恋人です。」


「へへっ若いっていいねぇ!」


僕は堂々と言ってやった。メリーを恋人と言うのはまだ少し恥ずかしいが、それでも嬉しさが勝っていた。何せ二年間も恋をしていたんだ。今は本当に幸せを感じている。


店の商品を見ると綺麗な花飾りがたくさんあった。特に薔薇の花飾りに目を奪われた。


「この花飾り、たくさん色があるんですね。」


「そうだろ!そいつは俺の自信作なんだ。」


赤に青、黄色に紫と様々な色があったが僕は黒の薔薇に目がいった。まるでメリーを表しているようなそんな感じがした。そして黒薔薇の花言葉は『決して滅びることのない愛、永遠の愛』


僕は迷わずそれを選んだ。


「おう兄ちゃん!いいセンスしてんねぇ!嬢ちゃんのこと、大事にしてやれよ。」


「いいのガイ?この髪飾り、貰っても?」


「いいんだよ。初デートの記念品だ。受け取ってくれ。」


メリーは喜んだ様子で髪飾りを着けた。その姿は本当に“漆黒の姫”を連想させる姿でとっても美しかった。


「でもガイ?何で黒の薔薇なの?」


「え?えーと・・・メリーに似合いそうだと思ったから?」


「何で疑問系なの?」


「な、何でもいいだろ!」


黒い薔薇に込めた想いは気恥ずかしくて伝えられなかったけどいつかこの想いを伝えよう。


「なあメリー?手、繋ごう?」


「うん♪」



そう言うとメリーは指を絡ませて手を繋いできた。今はこの瞬間がとても幸せだった。その時、見覚えのある人物に出会った。


「やあガイ君。さっきぶりかな?」


「おうベーラル。」


隣には見慣れない女性がいた。確かクラスメイトではなかったはずだ。


「なあベーラル?そこの人は誰だ?」


「ああ、俺の双子の妹だよ。」


「初めまして。私はハーシィです。」


見た感じは双子とあってベーラルと目元がそっくりだった。能力もほぼ類似している。さすが双子といったところだろうか。


「そうそうガイ君。ハーシィが俺と班を組んでいるんだ。だからこれからよろしくなガイ君、メリーさん。」


「兄妹二人で班組んでたのか。仲良いな。僕たちは邪魔じゃないか?」


「そんなことないですよガイノスさん。二人だけでは出来ないこともありますし。」




確かに僕もメリーと二人だけでは限界を感じている部分はあった。考えていることは同じということだ。


「そういえばガイノスさん?もしかして中等部にいるレックス・ノックとヴェルディ・ノックのお兄さんですか?」


久しぶりに聞いた弟と妹の名前に本当に帝国にいるんだと実感した。


「そうですよ。僕の弟と妹です。」


「へぇーそうなのかガイノス君。あの二人は本当に強いって有名だからね。そのお兄さんなんて君はもしかしてすごい人?」


「そんなことないよ。」


まあでも弟と妹に基礎を教えたのは僕だ。二人とも口をそろえて

『兄さんの為に強くなりたい!!』と言って夜まで遅くまで鍛練したものだ。二人は今元気だろうか。


「ガイ?そんな悲しい顔しないで。」


「え?あ、ああ。すまないメリー。」


「そんなに弟たちに会いたいのかいガイノス君?そういえば来週レックス君たちの班が遠征から帰ってくると聞いたな。」


「そ、それは本当か!?」


思わず素っ頓狂な声を出してしまった。弟は今年で15歳。今から会えるのが楽しみだ。


「そういえばメリーちゃん。その髪飾り凄く似合ってるね。」


「そう?」


「うん。その黒薔薇の髪飾り、凄く似合ってるし、なんというかお姫様みたいだね。」


「この髪飾り、ガイからもらったの。似合ってるなら嬉しい。」


「うんうん!すごい似合ってるよ!!あ!もしかしてガイさんってメリーさんの恋人?」


「今日、ガイから告白されて・・・オーケーした。」


まさかメリーの口からバレるとは。まあ隠してるわけではないが。


「ガイノス君、結構大胆だね。」


「うるさい、ニヤニヤするな。」


すると一瞬彼の右目が光って見えた。それも赤色に。微力の魔力を感じた辺り、あれは魔石の可能性が高い。


「どうしたガイノス君?ぼーっとして?」


「いや、何でもないよ。」


あまり触れない方が良さそうなことだと思い、一応は誤魔化した。









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