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漆黒の姫  作者: あおか
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一話

冒険者になってから二年以上が経とうとしていた。僕たちは共に15歳になった。メリーはより美人となり、少しドキッとすることが増えた。本当のお姫様のようだ。ただ少し困ったことがある。


「ねえガイ、どこ行くの?私から離れないで。」


「ちょっと依頼を見に行くだけだよ、それに一人になる時間も必要だろ?」


「私はガイがいればいい。私を一人にしないで。」


メリーは何故か僕に依存している。正直周りの視線が痛い。その時、ある女性が僕たちに話しかけてきた。


「やあ君たちかい?ガイノス・バーンとメリーは?」


「えっと・・・そうですけど何か?」


「単刀直入に言おう、うちの学園に来ないか?」


「え?あ、あのどこの?」


「帝国にある学園だ。」


話しかけてきたのは灰色の長髪を持った女性だった。そして提案された帝国の学園。あそこは弟と妹が通っているところだ。もしかしたら会えるかもしれない。だかしかし何で僕が・・・


「でもいいんですか?僕には才能なんかないのに・・・」


「いや、君にも才能はある。君の能力は自分自身を見ることは出来ないからわからないだけだ。」


「どうしてそれを?まさか貴女も!」


「ああ、そうだ。私ももっている。」


驚いた。まさか僕以外にもいたとは。確かに僕の”目“見るとそのような能力があるとわかった。まあ全部見えるわけではないが。でそれに彼女が言っていた僕にも才能があるとは言う言葉に希望が出てきた。


「だから僕を招いてくれるんですか?」


「ああそうだ。ここで終わらせておくにはもったいないからな。」


きっとこれはチャンスだ。もしこれを断ればもったいない気がする。自分自身の成長に絶対必要なことだ。それに今は守りたいものが出来た。強くなるのに遠慮なんかいらない。


だが冒険者組合の中、才能ある人物を探しているのならば他を当たればいいのにと疑問に思ったが僕は何も考えず返答をしてしまった。


「ではお言葉に甘えさせて頂きます。」


「そうか!私は学園長のマリエス・クォーツだ。歓迎しよう。」


「はい!宜しくお願いします!」


その時背筋に冷たいものが走る。そういえばメリーのことを忘れていた。


「ねえガイ?私も行けるよね?私もついて行けるよね?私から離れないで。」


普段無表情の彼女だかここまで恐怖を感じたのは初めてだった。油断したら殺されそうな雰囲気だった。


「あら安心してメリーちゃん、貴女も招待するわ。」


「そう・・・・・・ですか。ありがとう。」


なんとかメリーの怒りは収まったようだ。それにしても何故メリーはあんなに怒っていたのだろうか?まあでもメリーが一緒なら僕も安心して帝国に行ける。そう思っている僕もメリーに依存しているのかもしれない。


「それじゃあ二人とも明日の朝に荷物をまとめてここに集合してくれ。」



─────────────────────────────


そして朝、二年間お世話になった家から出る時がきた。


「メリー?本当に俺についてきていいのか?」


「いいの。私は貴方のそばにいたい。ただそれだけ。」


そう言うと僕の腕に抱きつく。甘えん坊なところは変わらないようだ。


「そうか。それじゃあ行こうかメリー!」


「うん。」


相変わらず無表情だか最近は僕の前だけでは笑って見える気がする。まあ気のせいかもしれないが。




「それじゃあ準備はいいかい?」


「ええ、いいですけどどうやって行くんですか?」


するとマリエスさんは呪文を唱え始めた。まさかな・・・


「転位魔法で行くぞ。ほら、私の近くにこい。」


その瞬間、周りが光に包まれ気がつくと見知らぬ場所に着いた。転位魔法は使える人が限られていると本に書いてあったのを思い出した。この人本当はすごい人なんじゃ。周りの景色を見ると、僕たちのいた町よりもにぎやかで店もたくさんある。本当に帝国に来たんだ。そう実感した。


「ようこそ帝国へ!まあまずは学生寮に案内しよう。こっちだ。」


案内されるがままついていくとすごくでかい建物に着いた。内装も豪華ですごく綺麗にされている。食堂もあるらしく、トレーニング施設もあるそうだ。

そして部屋に案内されるとこれまたすごく広い場所だった。


「ここは二人部屋になる。“お前たち”にはここで生活してもらう。」


「え、メリーもここなんですか?」


男女が同じ部屋とか不味いだろ。周りに知られたらどんな反応されるか。不安だ。


「しょうがないだろ部屋が足りないんだから。我慢してくれ。」


するとメリーが僕も真正面にして抱きつく。僕の胸に顔を埋めている。そして頭をぐりぐりし始めた。


「何してんだメリー?」


「マーキング。」


「は?な、なんで今?」


本人は気づいてないのだろうか。その立派な胸もぐりぐりあったってすごく変な気分になりそうだ。


「ここ変な人がいる。だからマーキングした。ガイは私のものだから。」


「おいおい、心配しなくても僕はモテないから安心しろよ。」


それでもメリーはしばらく離してくれなかった。


「ふふ、二人ともまるで夫婦みたいだな。まあ今日はゆっくりしてな。明日のことはまたあとで連絡するから。」


「そ、そうですか。」


「夫婦。私とガイが夫婦・・・・・・えへへ♪」


よっぽど夫婦みたいと言われたのが嬉しかったのか抱きしめる力が強くなる。それに滅多に見れない笑顔まで見せていた。僕は無意識に頭を撫でていた。


「ガ、ガイ?・・・っ♪」


「可愛いなメリーは。そんな笑顔までして。そんなに俺と結婚したいか?」


「ガイは私と結婚してくれるの?」


「・・・考えておく。」


「っ♪」


正直メリーは可愛いし美人だから結婚出来たらどれだけいいかとは思う。けどこれからいろんな人たちと会っていくなかでもしかしたらメリーに好きな人が出来るかもしれない。そう思うと見守ることしかできないのかなあと思った。




─────────────────────────────



次の日、マリエスさんに転入について話を聞いていた。クラスについてはメリーの要望により同じになった。そして制服を着ていよいよ学園に通うという実感が出てきた。


「おっとガイ君、君に渡すものがある。」


するとでかい鎌をもらった。まるで死神が使うような大きくて真っ黒の鎌だった。持ってみると重さを感じることはなかった。


「その鎌は持ち主の意思で消えたり現れたりする鎌だ。それを君にあげよう。」


「そんなのもらっていいんですか?」


「ああ、遠慮するな。」


そんな貴重な物を貰うのは嬉しいのだか一つ困ったことがある。それは僕が鎌を一度も触ったことも使ったことも無いことだ。まあ使いこなすのはこれからの課題かもしれない。能力で鎌を見てみるととりあえず質は高いことは分かった。まあ俺の能力だとこれが限界だろう。それしか見れない。

でも何故才能があるだけでこんなものをくれたのだろうか。


「ガイ、カッコいい。」


「そ、そうか。」


「うん、カッコいい。」


メリーに素直に褒められるので少し嬉しくなる。まあ今そんなことを考えていてもしょうがないと考えた。


「ほら二人とも、行くぞ。」


マリエスさんに連れられ教室まできた。メリーと一緒に入るのでそこまで緊張はないがやはり不安である。主にメリーが。


「ほら二人とも、入って。」


「は、はい!」


教室に入ると一斉にこっちを向くので少し驚く。


「えっと、僕はガイノス・バーンです。宜しくお願いします。」


なんとか自己紹介は出来たが問題はメリーだ。何もなく終わればいいが。


「メリー。宜しく。」


なかなかに質素な自己紹介だかまあいいだろう。下手に騒ぎになるよりはましだ。


そのあとはクラスからも軽く自己紹介をうけた。みんなから歓迎されていたので嬉しかったがメリーはずっと不機嫌そうだった。



何もなければいいが。












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