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漆黒の姫  作者: あおか
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十四話

メリーの試合当日、試合は唐突に中止になった。ユーテリアさんが体調を崩したそうだ。それに対してメリーが怒っていた。


「なんなのあの男、私のガイをあんな目にあわせたあげく逃げて・・・」


「しょうがないだろ、体調が悪いんだから。」


「次あったら殺す。」


「お、おい。落ち着けって。」


「ガイは優しいね、あんなことされたのに。でもね私は我慢できない。」


ちょっとメリーが暴走一歩手前だ。まあまだ自制してるだけましなのかもしれない。


「そうだ、今日は学園も休みだしデートするか。」


「うん行く。」


思った通り即答だった。僕も久しぶりのデートに心を踊らせる。




「えへへ♪ガイとデート♪」


「そんなに嬉しいか?」


「だってガイとのデートだもん。嬉しい♥️」


そんなこんなでメリーと町へ向かった。ご飯を食べたりメリーの服を買ったりと時間は過ぎていった。






メリーも試合中止についての怒りが無くなっていて良かった思う。でも何故かより僕にくっつくようになった気がする。まあ骨が折れるほどの怪我をしてしまったので心配するのも無理はないが。


「なあメリー、どこか行きたいところあるか?」


「ガイと一緒ならどこでもいい。」


「そ、そうか?ならあそこの高台に行こうか。」


「うん、ガイとならどこでもいい♥️」





僕らは帝国が見渡せる高台へやって来た。周りは夜なので暗く、町の明かりが幻想的に見える。


「なあメリー、僕らも出会ってもう二年以上立つな。」


「私、ガイと出会えて良かった。きっと運命だよね。」


「はは、確かにそうかもな。」


お互い親に捨てられたもの同士でよくここまでこれたものだ。確かに運命と言われても納得出来る。


「私ね、ガイと出会うまでずっと孤独だったの。優しい人は皆私を置いてどこかへ消えてしまう。だからガイはいなくならないでね。」


「当たり前だろ、それに救われたのは僕も同じだよ。」


「うふふ♥️」


するとメリーは僕に抱きつく。この瞬間いつも僕は幸せを感じる。メリーは僕とは違い孤独でいた時間が長い。できる限りメリーには幸せを感じてもらいたい。僕とのスキンシップで幸せを感じてくれるなら嬉しいものだ。


「メリー、“あの事”はあいつらに話すのか?」


「・・・・・・ううん、話さない。ガイが理解してくれればそれでいい。」


「そうか。まあ無理強いはしないよ。でも探すのは大変そうだけどね。」


「ごめんねガイ、私のわがままにそこまでしてくれて。」


「いいんだよ別に。可愛い彼女からの頼みだからな。」


メリーの頭を撫でると目を細め、僕にしか見せない笑顔で喜んでくれる。メリーの見せる表情はやはりどれも可愛くてしょうがない。


「えへへ♪ガイに撫でられるの大好き♥️愛されるって感じる。」


「そりゃ愛してるからな。」


「ガイ♥️」


そのまま僕らは口づけをする。最初は普通のキスだが五秒も立たないうちにメリーが舌をいれてくる。その瞬間メリーの目にはハートが見える気がする。


「じゃあ帰るかメリー。」


「・・・うん♥️今夜はいっぱい愛してね♥️」


「そ、そうか。・・・ほどほどにしてくれ。」


どうやら明日は寝不足になりそうだ。それでもいやとは思わない僕は相当メリーに惚れているのだろう。しかしメリーにはひとつ秘匿された事実がある。





───魔王の娘であり、旧魔王領では漆黒の姫と呼ばれていた事実を。────




今の魔王領とは違った領に住んでいたらしいがその領は今王国の領土になっている。“王国は果たして正義なのだろうか”。






─────────────────────────────


『メリー視点』



私は捨てられた直後の記憶がない。ただ親に捨てられたという事実だけが私の記憶に残っている。そして私はただひなすらに孤独だった。



死ぬことも考えたことはあるがどれも失敗に終わった。死のうとすれば何故か頭に謎の人物がよぎる。そして気がつけば私は眠りについている。


感情すらも失いかけるなか私は運命の出会いをする。



ガイは私に対してすごく優しかった。そして私を守ってくれた。ずっと側にいてくれた。生きる希望をくれた。私はガイに惚れてしまったのだ。



今ではもうガイがいないと生きていけない。ガイが私にとっての生きる意味になっている。



ガイは私に好きと言ってくれた、愛してると言ってくれた。私も大好き♥️愛してる♥️ガイを愛していいのは私だけ。他の女には決して渡さない。



でも少し不満がある。最近私に頼ってくれなくなった。他の人と話すようになった。私といる時間が減った。私に対しての隠し事が増えた。


この学園に来てからガイとは恋人になれた、私の体を求めてくれた。でもまだ足りない。もっと、もっと私を求めてほしい。どうやったら私だけを見て私だけを求めてくれるだろうか。






──私だけいればガイは幸せだよね──





ガイは私にもっと甘えてほしい、私だけに頼ってほしい。そして私だけに依存してほしい。そして私だけがガイを愛する♥️こんなに幸せなことは他にない。



ここに来てからガイは狂わされた、だから私が救ってあげる。私だけを見てくれるように、私だけを愛してくれるように♥️




──絶対に離さないから♥️──





ちょっと短め

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